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各3DCGソフトについての印象2019

トップ画像がC4Dなのは元過激派C4D原理主義者なので許してください。今は過激じゃないC4D原理主義者です。どうも俺です。
というわけで、3DCGソフト論争はCG・映像業界の方、CG・映像を勉強している学生さんにとっては非常に馴染みの深い論争だと思います。ここ最近ではBlender VS Mayaの構図を良く見かけますし、過去には僕もC4D最強、C4D以外クソ、他のソフトとか(笑)くらい思っていた時期がありましたが、歳を重ね、CG歴を重ねるにつれて各CGソフトには各CGソフトのメリットデメリット、向き不向きがあり、作り手側としてもそれに対応して仕事や制作をこなすことが一番クレバーだなと思うようになってきました。
もちろん僕は基本C4D一択ではあるのですが、仕事上では他のソフトからのデータ受け取りをしたり、逆に相手側のソフトに合わせてこちらから最適なエクスポートをしたりすることもあるため、その上ではどうしても他のソフトの特徴を知っている必要があったりもします。
さて、SNS上では個人クリエイターの多いC4DことCINEMA4Dやオープンソースで無償で使えるBlenderユーザーが多く見受けられますが、CGプロダクションにお邪魔すると依然Maya、MaxといったAutodesk製ソフトを使用しているところがほとんどです。なぜこういったことになるのか、という点も含め、2019年夏現在の代表的な3DCGソフトの印象を独断と偏見で語ってみようと思います。
※基本的にはC4D以外のソフトの習得レベルが低いため、かなり独断と偏見が含まれておりますのでご注意ください。新規導入の参考にされる際にはより詳しい方に伺うことをおすすめいたします。

CINEMA4D

まずは僕が主に使っている3DCGソフトウェアです。ので、どうしてもちょっと贔屓した視点になってしまうことを予めご了承ください。
CINEMA4D(以下C4D)の大きな特徴として、モーショングラフィックス表現に特化していることや、Adobe AfterAffectsを始めとしたAdobe製品との連携が強いこと、各機能へのアクセスが容易(=UIが優れいている)なため、個人レベルのクリエイターが使用するには非常に素早い制作が可能であること、各機能同士を結びつけていくことで複雑な表現が可能だったり、トライアンドエラーのし易い構造のため作りながら手探りで色々検証したりといったことがしやすい等、C4Dユーザーとしては挙げればキリがないくらいメリットがたくさんあるのですが、総合すると「完パケまで一人でこなす個人クリエイターに強い」ということに尽きると思います。
反面、やはり大規模制作系にはまだちょっと弱いのかなと思う箇所が散見されます。このあたりはソフトの設計思想もあると思いますが、複数人で同一プロジェクトを進めていくような場合のときにやや面倒だと感じる部分があったり、上述した「トライアンドエラーのし易い構造」というのは、言い換えれば「他のクリエイターが見た時にどういう構造でこの表現になったかがわかりづらい」ということも発生します。個人単位での柔軟性は素晴らしいと思いますが、反面個人クリエイターのスキル依存も大きくなりがちなので、マニュアル化はしにくいのかもしれません。

MAYA

もともとはAlias Power Animatorを前進とする、元祖大規模CG制作向けソフトウェアです。Power Animator時代から脈々と受け継がれた大規模制作向けのノウハウや拡張性を持ち合わせており、今もなおハリウッドを始めとする映画・ゲーム等の大規模CG制作の現場では間違いなく100%導入されているツールです。ゲーム開発の際にも、Power Animator時代から「Game transfer」マニュアルが用意されており、当時のPS、SS、64等へのコンバートやワークフローが確立されてた経緯もあり、今もなおMayaへ以降しても根強くゲーム開発の現場で使われています。
そんなMayaの最大限の強みはここまで書いたとおり「大規模制作」に尽きるでしょう。膨大なノウハウやインハウスツール・インハウスツールを元に産まれた各種プラグイン・パイプライン・スクリプト等、プロダクションが変わると同じMayaなのに全く違うソフトにさえ感じられると言われていますが、そのくらい熟成された土壌を持っており、今もなお現在の大規模製作のトレンドに合わせて様々な改良が加えられているソフトウェアです。
反面、個人ユーザーにとっては非常にとっつきにくい印象があります。膨大な機能に対して、一つ一つにかなり詳細な設定を組むことが可能ですが、それは逆にいえばスピード感を求められる個人クリエイターにはブレーキになりがちです。また、大規模プロダクション向けということもあり、価格がそもそも個人クリエイターが使うには高価すぎると思います。(こちらはindie版を出したり学生無料等、色々しているみたいですが・・・)大規模製作に携わるタイプのフリーランスの方には必須ソフトウェアとも言えるので、自身の案件や目指すところによっては導入を検討することになるのだろうなと常に考えております。

Blender

色々複雑な経緯をたどった結果(このへんほんと説明長くなるのでwikipedia等参照してください・・・)、オープンソースの3DCGソフトウェアとして約20年の歴史をもつ3DCG統合環境です。非常に独特な操作性を持つため、決してとっつきやすいソフトウェアとは言いづらかったのですが、反面オープンソースということで最新の機能やトレンドの機能等もいち早く使用することが可能だったり、各種ソフトウェアとの互換性を強めることで他の高価で導入が難しい3DCGソフトの代用を可能にしたり、開発が非常に活発で他の高価な3DCGソフトでも乗らないような機能をいち早く搭載したりと、オープンソースの強みをフルに活かしたソフトウェアと言えます。
昨今ではUIや操作性がかなり改善され、他のソフトウェアからの乗り換えもしやすくなり、個人的な感覚ですが他のCGソフトを使っていればそれほど乗り換えには苦労しない印象があります。また、UnityやUnreal等、VR、Web3Dコンテンツ向けの連携もかなり強力になっている印象のため、そういったコンテンツクリエイターの方々にとっては非常にありがたい環境を無償で手に入れることが可能でしょう。もちろん3DCGソフトウェアとしても基本的な機能はもちろんのこと、高機能なレンダラ・シミュレーション・リアルタイムレンダラ等を搭載しているため、映像制作にこまるようなことは無いと思います。
こう書くといいこと尽くめの最強ソフトウェアに見えますが、反面オープンソースである以上、サポート等の類いを受けることが現状難しいことや(ある程度のサポートはコミュニティ内で受けられますが、開発レベル等でベタ付きというのは難しそう)不具合への対応等が難しい印象があります。
これはBlenderに限らずオープンソースの良し悪しだとは思いますが、ある程度自力でなんとかする、というのを求められる環境だなと思いますが、正直羨ましいと思うくらいの開発スピードは他のソフトには無い強みでしょう。

3ds Max

3D studio→3D Studio Max→3ds Maxと変遷をたどってきた3DCG統合環境です。UIが非常にCAD系に近い印象で、主に建築系 やプロダクト系のCGクリエイター・プロダクションに愛用されている印象がありますが、もちろんCAD系に特化しすぎているというわけではなく、一般的な映像クリエイター・プロダクションでも使用されており、今なお根強くユーザーの多いソフトウェアと言えるでしょう。特に各種プラグインが非常に豊富なため、使用したいプラグインに合わせてあえて3ds Maxを選ぶといったような使い方も見受けられます。そのため3ds Maxユーザーの方々には特化型の人が多い印象があり(あくまでも印象ですが・・・)各ジャンル特化型のクリエイターの方々は他のソフトウェアの同ジャンルの方々よりも尖っている印象があります。
CADデータ系のやりとりが非常に優秀なうえ、各種のレンダラも3ds Maxにはほぼ確実に対応してくるため、ビジュアリゼーション系に最も最適化されている印象があります。
使用者の皆様にとっては「よく落ちる」等の評価もあり、使用感としては様々な部分があるかと思いますが、やはり各種プラグインの豊富さや、ビジュアリゼーション向け素材等が非常に豊富なこと、また、一時期はビジュアリゼーション=3dsMaxという時代もあり、また、3DCGソフトとしての基本的な機能はすべて網羅していることもあり、良質なチュートリアルが豊富なため、Max向けのチュートリアルを自分の使用ソフトに置き換えて勉強するといったこともしていました。

Houdini

かなり特殊なソフトとしての代表として記載いたします。Houdiniは上述する3DCGソフトとは方向性がかなり変わりまして、およそすべての機能をノードベースで組み上げていく類のソフトウェアです。じゃあ何が違うの?というと、あらゆるシミュレーション系を始めとする計算式が必要な表現を視覚的に組んでいくことが可能というのが強みで、どちらかというとVFX、シミュレーション系のプロダクション・クリエイターが使用しています。たとえばC4DのMographのように「お手軽簡単にすごいモーショングラフィックスが組める」ということは出来ないのですが、表現のゴールさえ定めれば表現力はMographの比ではないレベルで作り出すことも可能です。
反面、非常に特殊なソフトなため、習得が用意ではないこと、価格が非常に高価なことがあり、なかなか個人レベルでは用意が難しいかもしれません(こちらもIndie版が用意されていますが、使用条件がまぁまぁ厳しかった印象があります)ただ、VFX系のクリエイターを目指したい方向けには商用利用不可のバージョンも用意されているため、学習することは個人でも十分に可能となっております。

他のソフト(Zbrush、UE4、Unity、MMD等)について

今回はこれらのソフトは割愛いたします。というのもこれらは「3DCG統合環境」とはまたちょっと違う部分があり、それぞれ単品だけでは成立しづらい部分があります(もちろん単品で成立させている方もたくさんいますが、趣旨とちょっとずれてしまうため・・・)また、Softimage、Shade、Modo、Lightwave等の統合環境については僕個人が現状でも語れるレベルまで詳しくないため割愛いたしました。
いずれのソフトも、ここに上がっていないソフトも状況や目的に応じて取捨選択の範囲に入ってくると思うので、気になった方はそれぞれ調べて見てください。

で、ソフト論争については

と、ここまで書いた理由としては「どのソフトにも得手不得手があり、一概に否定も肯定もできない」ということを知ってほしいなと思ったからです。もちろんユーザーのテンション感といいますか、ソフト愛みたいなものもあり、表に出てくる情報では「C4DとBlenderは自分のソフトへの愛が重い」「Maya勢は総じてMayaが嫌い」といった印象は持たれているかもしれません。そしてそれは大枠間違ってないと思います。
が、実際に業務レベルで使用することを考えるとなかなかソフト愛のような感情だけで決定できるものではない部分が多く、各ソフトや製作ジャンルに向けた得手不得手を見極めた上で使用することが大事なのかなと思います。
もちろんその上で、例えば「大規模シミュレーションのためにblenderを使って機能レベルから開発していく」「CINEMA4Dを使ってゲーム用コンテンツのCG一式を製作する」「Mayaでモーショングラフィックスを完結する」「Maxで・・・(Maxの異端例を出そうと思ったけどMax、マジでなんでもやろうと思えばできるなって思った)」というのも可能だとは思いますし、やっていく価値はあると思います。が、仮に・・・個人的には「CINEMA4D完結で大規模群衆シミュレーションを含めた爆発等のあるVFXカット」と言われたら「えっ・・・・・」ってなります、多分。

「なんでこのソフトでやるの?こっちでもできるけど?」という論争について、多分実際に使っている人たちや作っている人たちも全員わかってると思います。それでも移行しないのには移行しないだけの理由があるということだと思います。いずれ各ソフトが様々な進化を遂げていけば、おのずと「実はこれをやろうとしたら、こっちのほうが今ではいいのでは?」となったタイミングで自然と移行していくのだろうと思います。

C4Dユーザーの自分の目線から見て
・Blenderのこれ、いいなぁすごいなぁ、C4Dに載せてくれないかなぁ
・MayaのこういうところはC4Dでもできたらいいのになぁ
・Maxくらいプラグインが豊富でバンバン色々追加できたらなぁ
・いっそHoudiniくらいC4D内であらゆるシミュレーション系が完結できたらなぁ

とか無いものねだりがあり、恐らくそれは他のソフトを使っていても思うことだと思います。なので結論としては

文句があるなら全部使えば解決!!!!!!!!!!!!!!!!

というわけにもいかないと思いますので
自分のやりたい表現や制作物に合わせて選んでいくことが大切なのかなと思います。また、例えばあなたの目線から見て「この人なんで○○使ってるんだろう・・△△でも同じことができるのに」と思ったとしても、その人は○○を使う理由があることがほとんどだと思うので、一概に否定しないようにしてくださいね。

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