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25歳でセレクトショップを開業して黒字倒産した話 後編その2

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後編その1はこちら

上顧客の父だと思ってお金を渡してしまった僕は、不安になり、すぐに、名刺でもらった電話番号へ電話をかけてみました。

すると、会社にはつながるのですが、話が噛み合わない。

次第には、イタズラか!と怒られる始末。

名刺にあった携帯番号に電話をかけると「現在つながりません」となり、ここでようやく騙された!と気付きました。

その瞬間全身に冷や汗が出て、身体の力がなくなり、そこからその日の記憶はありませんでした。

勝手に上顧客の父だと思って、また、沢山買ってくれると思っていた自身の欲が招いたことだと今は、思っています。

多少の波はありながらも、売り上げはトントン拍子に上がっていた中に起きた試練でもありました。

運転資金がなくなったことで、借り入れの返済もあるので、完全な自転車操業に陥りました。

そこから毎月の支払いに追われる日々。

毎日忘れたい為に、意識が飛ぶまで酒を飲み、二日酔いで店を開ける。

次第に店を開けたくなくなっていき、店に行ってもシャッターを開けずに電気も付けずにうずくまっている時もありました。

毎日資金繰りのことばかり考えてしまい、どうやって支払いをすればいいのか?

支払いの為にお店をやっている。

こんな状態です。

新規の仕入れの売り上げで、前月仕入れや、家賃などの支払いをしているので、全てに余裕がなく、後手後手になっていました。

まだ売り上げは好調だったものの、仕入れ金額に対しての売り上げが追いつかなくなって来てました。

これでは、いつかパンクする。

そう思いながら、毎日を過ごしていました。

次第に増えるお酒の量。

多分、僕は毎日から逃げたかったのだと思う。

毎日、毎日記憶が飛ぶまで飲んでは、翌日お店に行く生活。

毎日お金のことしか考えられなかった日々

段々と思考が短絡的になっていきました。

スポーツ新聞を買い、お金を貸してくれるところを探していました。

スポーツ新聞に載っている金融は大体ヤミ金です。

しかし、お金が無い不安は、人の思考を停止させます。

売り上げ推移は伸びていて、そんな状態でも売れてるのが奇跡でした。

お金に執着するから、お金を失っていく思考になる

毎日お金のことばかり考え、それもネガティブな考えです。

ある日売り上げがなかなか伸びない週があり、ネットで調べたとにかく貸してくれるという会社に電話をかけました。

すると、すごく丁寧で、親身に話を聞いてくれるのです。

手持ちは支払い用の100万。

あと、20.30万でよかったので、本当は売り上げでなんとかなったはずです。

しかし、不安な僕は安心したかった。

だから、言われるがままに、動きました。

僕と電話をしているヤミ金の人が、ここの消費者金融の役員と私は仲が良いので借りられる話をつけておいたから、私が言う通りに、消費者金融で入力、また、オペレーターと話をしてくださいと言われました。

その通り話をしたら100万すんなり借りられました。

で、その100万をこっちに送ってくれたらさらに枠を増やし低い利率で、元々借りてお金を借り換えさせてくれるというのです。

コンビニでレターパックを買い、現金100万を入れ、コンビニのポストに投函しました。

その瞬間、僕の借金はさらに100万増えたのです。

気づいた時はもう遅く、連絡もつきません。

残ってしまったのは、利率が高い消費者金融の100万借りた事実のみ。

僕は、さらにその支払いまで増やしてしまったのです。

** 一発逆転の雑誌掲載!のはずが…**

この写真の頃はすでに閉店末期の時でしたが、短絡的思考で、また、雑誌に載りさえすれば売れる!

という思考で、払えるかわからないのに、雑誌掲載を依頼していました。

雑誌に載るからその売り上げで払えばいい!となんの保証もないのに売れた気でいたのです。

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結果は、大した売れず、雑誌掲載のお金まで大きな不安要素になってしまいました。

追い討ちをかけるように、お店の家賃が3万値上がり、支払いが増えていきました。

ポケットに数百円しかない日々

この頃も毎日、毎日飲んでいました。

ある日支払いを済ませたら、家の家賃が払えなくなりました。

銀行の口座には数十円。

財布にもお金がない。

あっ、昨日の夜にコンビニ行ったお釣りがあるはず!とパンツのポケットをみたら、768円入ってました。

今日、明日でなんとか売り上げないと生活すらできない。

そう考えれば、考えるほど追い詰められ、誰にも会いたくなくなりました。

完全な資金ショート

売り上げ推移はよかったはずが、精神状態がお店にも影響してきました。

なんせ、毎日起きれない、お店に行きたくない。

そんな状態で店を開けるのが遅くなっているので、集客も安定しなくなってきました。

いままでは、店が売れていたから自転車操業ながら回っていたのです。

それが止まり、メーカー支払いも遅れだし、支払いは請求書来るとすぐに支払いしていた比較的金払い良い方でしたが、遅れると、メインメーカーが容赦なく取引停止させられました。

かなり痛かったのですが、金だけの付き合いはこんなもんなんかと勉強になりました。

このメーカー停止が売り上げ不振を生み出しました。

完全に支払いが足りなくなったのです。

売り上げだけでは支払いができなくなりました。

家に借金取りが来る恐怖

毎日お金のことばかり考え、お金の不安がさらに増えました。

自転車操業すらできない状態。

毎月150万近くの売り上げはあるのに、それ以上の支払いがあるのです。

それでもなんとかやってきましたが、次第には、店の電気代も2カ月遅れになり、全てが後手後手になりました。

そして、とうとう借りたお金の支払いも遅れたのです。

ある日、家のチャイムが鳴りましたが、知らないスーツの人が三人くらい。

居留守を使っていると、ドアを叩き、名前を呼ぶ声。

あっ、良くドラマでみる光景だ!まさにいま、僕がそれをしている当事者になったのです。

お金への不安はさらに増し、毎日生活できるのかすらわからない日々。

しかし、やめたら収入がなくなる。

でも、売れない。

でも、辞められない。

と完全に負のスパイラルでした。

その時は、毎日もう死んでもいいんじゃないか?と考えるようになっていました。

辞めたいけど辞められない不安

本当は今すぐに辞めて、楽になりたい。

毎月の支払いに怯えるは嫌だ。

安定した収入が欲しいなんて考えるようになりました。

しかし、辞めて、他をやるなんて考えたらそんなことはできないと、へんなプライドと、自分を変えたくないという考えが邪魔をして、より苦しむ継続という道しか見ないようにしていたのです。

その2で完結予定が、長くなったので、その3まで続きます。






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