見出し画像

サイバー地獄【 サイバーウォー 】(PS1)

全ての始まり、もとい諸悪の根源

実は僕が初代プレステが大が付くほど好きになったきっかけを作ってくれたのは本作だったりする。PS3とXBOX360そしてWiiがシノギを競い合う当時、PS1を完全に過去の産物のような冷たい見方をしていた僕にPS1の奥深さと味わい深さを教えてくれた作品なのだ。もちろん良くも悪くも。

にしても本作をクリアするまで途方もない時間がかかった。いや、クリア自体は二日でしたのだが。出会ってもうすでに六年は経った気がする。
初めて出会ったあの頃からコイツは名前もパッケージも今と変わらずダサかった。
側面のPlayStationのロゴが水色なのには今でも鳥肌が立つし、パッケージCGの解像度の低さもたまらないし、ロゴデザインはどこか懐かしさすら感じる素晴らしいデザインだ(特に濁点がカクカクしている所)。そして、裏のキャッチコピー「ゲームと映画の最強タッグ!」も哀愁が漂うオーラを放っている。そしてこのディスク三枚組の分厚さがたまらないじゃないか!

今までなぜ僕が真面目にコレをプレイしようと思わなかった理由の中には絶対「パッケージでお腹いっぱい」が入っている気がする。
決して貶しているわけじゃないぞ!

ゲームと映画の繋がりはVHSで!

ストーリー  
私は誓った・・・二度とバーチャルリアリティの世界に戻ることはないと。ジョーブは死に、私の研究も彼の死とともに、永遠に葬られたはずだった。だが、今になって思えばあれほどまでに残酷な悪魔の息の根を本当に止める事ができたのだろうか・・・?おりしも、ジョーブはわたしの研究を盗み、そのプロジェクトを北方基地へと映したのである。どこかで、私のプログラムは塗り替えられ、狂気に満ちた巨大な破壊力を生み出そうとしていた。私の研究の全てを消し去るために、再び戦場へと戻って来たのだが・・・成功するかどうか、今はただやってみるほかなかった。

はたしてアンジェロ博士の運命はいかに!!
これはゲームではなく、サイバージョーブからの宣戦布告である!

本作説明書より引用

これが説明書に書かれたストーリーなのだが、ご覧の通り意味不明だ。残念ながら本作のみだとエンディングまでずっと意味不明である。どうやらストーリーを深く理解するには、原作であるSF映画「バーチャルウォーズ」を見ないとダメのようだ。DVDにすらなってないみたいだけど。  
なのでVHSを購入して観ました。
まぁこれを見たらアンジェロ博士とジョーブとの因縁がわかるだろう。そもそも諸悪の根源は主人公の博士だぞ。

20回くらい死んで覚えろ!

ゲームの流れとしては、立ちはだかる様々なミニゲームをクリアしていくというモノ。
ミニゲームの中身は迷いまくる迷路や、とてつもなく脆い乗り物の運転、10秒(?)で解かなきゃいけない謎解き、操作が理解できるまで死にまくる射撃などで、当時の洋ゲーには良くあった流れるプリレンダCGムービーの状況に応じて指定のボタンを押す事で進展していく古き良き(?)システムだ。
ゲームオーバー時の無駄に長いムービーが面白すぎるぞ。

もちろん当時の洋ゲーらしいシビアなボタン判定や時間制限のおかげで難しい上に死にやすく、ストーリーもよくわからないまま何度も何度も死にまくる。当然途中で投げ出したくなるが、ここで諦めてはいけない!
いや、諦めても別にいいけど、本作をクリアしていくには見落としがちな彼の力が結構な具合で必要なのだ。そう、それは説明書!

本作は進めていく上で必ずと言っていいほど説明書を読む必要がある。
最近のゲームは説明書を読まなくてもチュートリアルがあり、だいたいの事はプレイしていく過程で理解できるが、サイバーウォーは説明書を読んでいなければ一歩も先に進む事が出来ない。
当時の洋ゲーの説明書の重要性は日本のゲームの比ではないのだ。なぜならラスボスの全クリ条件まで載ってるのだから。
まぁ読んでもわからな事だらけなんだけどね・・・。

メモリーカードはいらない!

そして驚く事に本作ではプレイステーションというハードでは珍しくセーブ、ロードはメモリーカードを使用せずなんと古き良きパスワードを使っている。なんとも古めかしさを感じるが死にまくる本作では意外とこれがハマっているのだ。

一度でも死ぬと最初からリトライという厳しい仕様のため、いちいちメモリーカードからロードするよりパスワードを打ち込んだ方が早いのである、しかも次に死んでも前に打ち込んだパスワードを覚えていてくれるのでメモリーカードより早くやり直す事ができるのだ。(コンティニューがあれば良いだけの話なんだが)

しかしセーブ(パスワードの表示)は甘くない、セーブには回数制限が設けられており難しいミニゲームを後回しにして、簡単なゲームをノーミスでクリアしてからセーブして難しいゲームに挑むなどと段取りよくセーブしていかないとクリアできないのだ。
意外とこれが曲者で本作の難しさをさらに底上げしている。難易度はセーブ回数によって変わるようで、僕は悔しいがイージーでプレイしてしまった。なにはどうあれメモ帳必須である。

振り返れば・・・

それにしても驚きや謎が残る作品だ。
死ぬと必ず流れる謎の長いムービー、ゲームをクリアしても延々と繰り返されるスタッフロール、やっとの事でクリアしたというのに達成感は微塵もなく、残されたのは繰り返されるスタッフロールを虚しく見つめる僕だけであった。

サイバーウォー。最後までプレイヤーを突き離し、魅せてくれる作品であった。こういう作品はやはりプレイステーションという魑魅魍魎メーカーが最も集ったハードだからこそ生まれたのだろう。
もうこの先、このような作品が生まれる事はないかもしれないと思うと少しだけ、ほんの少しだけ寂しい気がしなくなくもない。  

そして所々顔が出てくる現実世界のアンジェロ博士の役者が五代目ジェームズ・ボンドの「ピアーズ・ブロスナン」という事にホント驚いた。  

(本レビューは2012年12月1日に書た文章に加筆修正を加えたモノです)


DATA

サイバーウォー
発売:ソフトビジョン・インターナショナル
開発:Sales Curve Interactive
販売:ココナッツ・ジャパン・エンターテイメント
対応ハード:PS1
発売日:1995年7月21日
ジャンル:未来型バーチャルアクションゲーム


映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん