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闇き森の果て【 THE サウンドノベル 】 (PS1)

全く期待していなかった

何気なくプレイしてみた。まぁ悪くてもシンプルだしいいか・・・そんな感じに。だけどここまでそんな気持ちを裏切られたのも久しぶりのような気がする「THEサウンドノベル」はそういう作品だった。
本作の本当の作品名はパッケージにも説明書にもなく、ゲーム中に現れる。この作品の本当の作品名はパッケージのような安っぽい名前ではない、本当のタイトルは「闇き森の果て」…この禍々しい名前の方が本作にあっていると思える。

主人公は屋敷の家庭教師として働くヒロインであるガールフレンドに呼ばれ、街から離れた山奥の洋館に車で迎えに行く。しかし車はパンクし屋敷の着いたものの帰れなくなってしまう。主人公とヒロインは仕方なく屋敷に留まる事になり、そして事件が始まる・・・。

コレだけ書くとどこにでもありそうなサスペンスや、ミステリーに見えてしまう事だろう。それに主人公とヒロインの関係は、名作「かまいたちの夜」の友達以上恋人未満な透と真理のようなキャラクター設定、しかもそれに追い討ちをかけるように出てくるのがこれまたベタベタな関西弁で喋る香山のようなおっさんまで出てきて始めは嫌な予感しかしない。

しかしストーリーを進めて行くと双子の少女や館の主人の老婆、寡黙なメイドと謎めいた執事と次々と個性的なキャラクターが登場し、ストーリーも選択肢によってキャラクターの設定や事件の内容がガラリと変わりミステリーからサスペンス、果てはホラーにもなったり、紙でマッピングが必要なダンジョンが登場したりとかなり手の込んだ内容になっていて、ずっとプレイしているとコレがシンプルシリーズであるという事を忘れてしまうほどの高いクオリティだ。

サウンドノベルとしても流石にフローチャートのような便利な機能は無いけれど、読み返し機能はもちろん、文章スピードなども普通、高速、激速と変更出来、繰り返しプレイする事が多いサウンドノベルを快適にプレイできるような仕様になっている。気になるキーワードには黄色文字で表示されるのも嬉しい。
ここまでしてくれるなら、エンディングリストなども欲しかったなぁ。それは贅沢か。

後一つ残念というかなんというか気になる所を言わせてもらうと、どのエンディングもどこか影が残り、後味の悪い、本当にこれで解決なのか?と思わせるようなエンディングばかりなのがちょっと淋しかったです。まぁそこは僕がサスペンスやミステリーに余り親しみが無いからなのかもしれないのかな。

だけどこんなに引き込まれる硬派(?)なストーリーの作品がシンプルシリーズにあるとは思いもよりませんでした。
是非サウンドノベルがお好きな好きな方はシンプルシリーズと色眼鏡で見ず、一度プレイされてはいかがでしょうか。


DATA

SIMPLE1500シリーズ vol.31 THE サウンドノベル
発売:D3パブリッシャー
開発:オー・パーツ
対応ハード:PS1(ゲームアーカイブス配信中)
発売日:2000年7月13日
ジャンル:サウンドノベル



映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん