見出し画像

#10 調査PRのフレーム①|都道府県調査・海外調査

こんにちは。
シグナルリサーチの木須です。

今回も覗いていただき、ありがとうございます。

前回の記事では、「調査PRのパターン(脅威訴求③)」ということで、メディアで拡散されやすい調査リリースに共通する傾向を整理しました。

調査の枠組み(フレーム)にもパターンがあるので、今回は「調査フレーム①」ということで、事例をもとに書きたいと思います。


調査のフレームについて


調査PRで利用する調査の枠組みは、下記のように分けられます。

調査フレームの体系図

肌感ですが、世の中に出ている調査の90%くらいは「全国調査(通常調査)」が占めているように感じます。
そのくらい全国調査がメジャーなのですが、残りの10%は「都道府県調査」や「海外調査」などを使うことで結果の見せ方を変えています。

これらの特殊な調査手法を用いることで
・他のメジャー手法による調査情報との差別化を図ることができる
・新たな発見のある結果を出すことができる
・意識調査では明らかにしにくいことを検証・定量化できる
などがメリットとしてあると思います。

では、それぞれのフレームについて、事例をもとに整理しています。

※全国調査と都道府県調査の違い※
全国調査は、日本全国の各地に住む生活者に対して無作為に調査をかけてサンプル数を回収する調査手法を指し、
都道府県調査は、日本全国の各地に住む生活者に対して47都道府県ごとに均等なサンプル数を回収する調査手法を指します。

都道府県調査


1つ目は「都道府県調査」です。

都道府県調査とは、全国の生活者に対して47都道府県ごとに均等なサンプル数を回収することで都道府県ごとの傾向を明らかにする手法です。

地方出身者であれば特にご共感いただけるかと思いますが、
自分の出身地がフォーカスされていたり、ランキングで1位だったりすると
「自分も確かに当てはまるな」「自分はそうでもないけど周りの人はそうだったな」のように、自分ゴト化して考える機会を提供することができます。

そこが都道府県調査の最も大きなメリットかと思います。

では事例を紹介します。

全国「噛む力」調査(ロッテ)

"お口の恋人"をキャッチコピーとするロッテが、CSR文脈で生活者の「噛む力」を高めること啓蒙するために調査を行いました。

「噛む力」という抽象的で測りにくい数値を
①日常における「よく噛むこと」に対する意識
②夕食時一口あたりの咀嚼回数・ガムを噛む頻度といった行動
③噛むことの健康効果や食べ物の種類別の必要咀嚼回数への理解度・知識
主にこの3要素で構成された質問の回答結果で集計し、偏差値としてアウトプットしています。

「噛む力」都道府県ランキング

偏差値が最も高いのは「秋田県」、最も低いのは「富山県」という結果でした。

KOLとして、大学教授からコメントをもらうことで信頼性を担保しているところもポイントです。
都道府県調査をする場合は、「なぜこの県が1位なのか」「1位の県には独自の文化があるのか(どのような背景があるのか)」「なぜこのような傾向が出るのか」などが気になる人が多いため、KOLに立ってもらって解説するのが望ましいかと思います。

余談ですが、よくある質問として「どのくらいのサンプル数を確保すべき?」という質問をいただきます。
推奨としてお伝えするのは、各都道府県×100サンプル(計4,700)です。
この規模で行なうことで市場の代表性を担保しているケースが都道府県調査では多いです。

海外調査


2つ目は「海外調査」です。

海外調査とは、日本国内だけでなく海外に住む外国人にも調査をすることで国ごとの傾向を明らかにする手法です。

調査PRにおいては、「日本は海外と比べて状況が悪い」「日本は●●の分野では後進国である」などのように、割と脅威訴求(#7で具体事例を紹介)の文脈で使われることが多い印象です。

では事例を紹介します。

現金とキャッシュレス決済に関する調査(UnionPay)

日本市場での浸透を図るために、日本・中国・韓国を対象に各国のキャッシュレス事情を調査しました。

日本人の現金派の多さ

日本は中国の7倍以上も現金派が多いことを明らかにしています。

比較軸を用意することで相対評価をすることができ、「こんなにも日本はキャッシュレスが進んでいないんですよ」というメッセージを発信することに成功しています。

ここでも余談ですが、「どのくらいのサンプル数を確保すべき?」という質問を海外調査でもいただくことが多くあります。
推奨としてお伝えするのは、各国×400サンプルです。
国全体を代表させるサンプル数になるので、標本誤差が±5%以内に収まる400サンプルが理想です。
ただ、調査対象者の条件が厳しいと海外では400サンプルも集まらないことや、日本国内で調査するときよりも海外調査では費用が高くなること、調査する国の数が多いとその分の費用が高くなることなどから、サンプル数を少なくして実施するケースも多いのが実態です。

最後に


以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

今回は「調査フレーム①」について整理しました。
次回は「調査フレーム②」というテーマで整理できればと思います。

引き続き、よろしくお願いいたします!

※調査PR・マーケティングリサーチに関するご相談は下記まで※
シグナルリサーチ
TEL: 03-6803-8444
メール: sgnl_research@signalinc.co.jp