言い方

姉妹の上の方、5歳になったばかりの姉。3歳頃から今日まで、いわゆる魔の期間を過ごし、我々夫婦の言うことを聞かないし、やって欲しくないことをたんたんとやり遂げてしまうので、いつだったか、お約束事を決めて壁に貼りだした。

それは、普段の生活のなかでの決まりごと。

YouTubeは時間になったら、自分で止めること。

朝起きたら「おはよう」など挨拶をきちんとすること。

ご飯、食べ物で遊ばないこと。

朝、出かける前に顔を洗いはみがきをすること。

書き出すとごく当たり前のことなのだけど、真っ白で、どこまでも拡張していくキャンバスのような子供には、目に見える形で提示してあげる必要がある。我々夫婦もそれを見ることによって、より普通のことを意識するようになると思われた。

3歳の終わり、妹が生まれた。お姉ちゃんになったわけである。この出来事は、パパやママとのお約束以上に彼女を成長させるようになった。

『ママとのお約束』と題された上記の項目は、歯磨きは怪しいけれど、結局全てクリアされた。そして今では食後のお皿は自分でキッチンへと運ぶようになり、脱いだ服を洗濯カゴに入れるようになった。もしかしたら当たり前のこととしてもっと早い時期からできている人もいるだろうけど、我が家においては凄まじい進歩である。

見た目も当然のように大きくなった。中性的、というよりもどちらかといえば男の子寄りだった容姿、トーマスや鉄道が好きだった趣味趣向が、完全に女の子にシフトしたのだった。休日に着る服はふんわりと裾が広がるワンピース。髪も伸ばして、後ろ髪を結んでのツインテールは嫌で、斜め横にまとめて一つで結ぶのが好き。日曜朝の女の子向けアニメから、女性ヒーローものの実写版へと趣向は変化していった。

お姉ちゃんとして妹の世話をすることも忘れないし、妹に負けないようにという姿勢も見られる。妹が自分より先に着替えを済ませると悔しいし、自分が食べられなかった食べ物を、妹がムシャムシャと淡々と食べているのを見たら、自分も食べる!と頑張るのであった。

5歳になって、『ママとのお約束』は更新されることになった。そして今度は『パパとのお約束』がいいと言い出した。今の彼女と改めて対峙して、いくつか思い浮かんだのだけど、言い方を変えてみようと思った。それは日頃の会話の中からそう思ったのだけど「やってみる!」という言葉がよく聞かれるようになってきたことによる。保育園の先生によると「初めてだけど、やってみる」というポジティブな発言が見られるようだった。

それならば、パパとのお約束は「それ、やってみよう」ということにした。これは彼女がはまっている「レゴフレンズ」というアニメのセリフ『やってミッション』と同じである。

今、歯磨きは、自発的に磨くわけではなく、我々が磨いてあげているのだけど、それを「自分でやってみよう」や、初めて食べるものだけど、「頑張ってみよう」とか、そういった言い回しにしてみることにする。

それやらないでくれる?と言われるより、「こうやってみよう」の方がお互いが気持ちいい。そうやって気づかせてくれるという意味では、35歳の僕にとっても、子育ての中から得られるものはたくさんあるのだな、と改めて思わせてくれる。

まだ『パパとのお約束』は書き出していないけれど、それによって狭められるのではなく、自分を広げていってくれると嬉しいと思う。

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