「ことばで社会を良くしていくヒト・企業を紹介します」 vol.2 dividual inc.さん

私とdividual inc.さんとの出会い

 いろんなSNSをやっているなかでも、新しい情報を手に入れるにはツイッターほど便利なものはないと思っているのですが、ツイッターでたまたま流れてきたリツイートを目にしたのが最初の出会いでした。刻々と誰かの呟きが流れ込んでいるなかでは、リツイートなんて特に流しがちなのですが、#10分遺言っていうハッシュタッグが瞬時に私の目を奪ってしまいました。
よく読んでみると、なんでも愛する人への遺言を10分以内に書き込むと、その遺言がタイプされる過程が可視化されるそうです。私自身、#10分遺言をしてみてタイピングされる過程を見てみると、まだまだ生きるつもりだけども、いったん死んだ気分になることで、愛する人とのつながりを再確認できたような気分になり、心持が軽くなりました。

dividual inc.さんとは

 メディアアーティストの遠藤拓己さんと情報学研究者のドミニク・チェンさんによって設立されたベンチャー企業です。「People will always need people(人がいる限り、人は人を求める)」をマントラ(会社の信念)に、テキスト原稿をタイピングする際の「筆跡」を可視化する「TypeTrace」などを開発・運営しています。#10分遺言で集められた人々の遺言は「あいちトリエンナーレ2019」で、TypeTraceの新バージョン《Last Words / TypeTrace》を通じて展示される予定です。

dividual inc.さんは言葉で社会をどのように良くしているのか

  dividual inc.さんを知ったのはSNSを通じてでしたが、その文明の利器は隣の人々への排斥を助けることがあります。SNSは瞬時に真偽のつかない情報を拡散させて、人々の不安に火を点けます。その不安の炎を鎮めるのは、人間に本来備わっている情、とりわけ他者への想像力です。#10分遺言は、人の価値観がよく表れる遺言の書くプロセスを可視化することで、本人にとって大事なものを深く知ることができます。書いているときの様子が可視化されると、打ち間違えも可視化されるので、書き手は恥ずかしさを感じますが、恥ずかしさも含めて共有することで、静止しているテキストでは伝わらない感情が相手に伝わるのだと思います。

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