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【NPOアクティブ府中・ピース株式会社】ヘルパーに220時間残業でも 反省なし

 介護保育ユニオンは、重度障がい者訪問介護事業所を運営するNPO法人アクティブ府中(府中市)ピース株式会社(国立市)と団体交渉を行っています。

 私たちが二つの法人と同時に団体交渉を行っているのは、二つの法人に雇われているヘルパーが組合に加入したからです。

〇二つの法人に分けて雇用することで、長時間労働を隠蔽!?
 組合に加盟したAさんは、もともとNPO法人に雇用されるヘルパーでした。ところが2016年9月ころから急に賃金明細が、NPO法人のものと株式会社のものの二つ分けて出されるようになりました。2法人の賃金明細の労働時間の欄には、Aさんの実際働いた時間が半分ずつ記載されていました。Aさんはひとりの利用者に付きっ切りで働いていました。勝手に雇い主だけが急に二つに分けられたのです。
 Aさんの労働時間はひと月あたり約400時間(220時間残業)と殺人的な長時間労働でした。ところが二つの法人に分けて雇用されることでそれぞれの法人での労働時間は200時間程度(30時間残業)のように見えます。
 長時間労働を書面上残さないようにしたのではないか、と私たちは考えています。

〇ヘルパー任せの無責任体制
 ヘルパーの仕事は、利用者の着替えや入浴、排泄などの身体に触れる介助です。利用者さんは、24時間介助が必要な方もいます。掃除、洗濯、食事準備などの家事はもちろん、寝ている間も、ご自身で寝返りが困難な為、体の向きや姿勢を整えるなどしなければなりません。歩く事が出来ないので身体を抱えての車椅子やベッドへの乗り移りも介助が必要です。

 何もしていないときにも見守りが必要です。見守りとは、例えば車椅子に乗っている状態でご自身で体勢を整えられない状況になるなど、身の危険が起きた時にヘルパーがすぐに対応出来るように意識して様子をみることです。

 夜も対応できるヘルパーを複数人つける必要がありましたが、法人はその努力を怠り、その結果、Aさんの長時間労働が生まれていました。

〇長時間労働の末に体調を崩し退職
 長時間労働は本当に大変です。Aさんは週6夜勤でした。勤務時間が長い日だと昼の15:00〜翌日の10:00で、休憩時間は1対1の介助によりほかに対応出来るヘルパーがいない状態だと24時間介助が必要なので休憩出来ません。人手不足のために、インフルエンザでも人手不足を理由に休ませてもらえませんでした(会社はこの件について組合に謝罪しています)。体の調子を崩し夜勤、過重労働を辞めるように主治医が会社に直接電話をしてくれましたが結果何も変わりませんでした。

 2015年ころから、Aさんが長時間労働のために健康を害しはじめ、2018年8月にはついに職に追い込まれました。すると今度は、ピース株式会社の雇う20代の経験の少ないBさんがひとりで介護に入ることになりました。
ヘルパーの増員が必要でしたが、会社もNPOもそれをやろうとしませんでした。結果としてBさんは、求人サイトで新規募集をかけたり、他事業所に連絡を取ったりしてヘルパー探しに奔走しながら、24時間介護にあたることになってしまいました。
 そうしてBさんも健康を害し、休職を余儀なくされた。休職期間中、Bさんは二か月半入院を余儀なくされました。

〇全く反省の色をみせない、アクティブ府中
 私たちは、昨年10月からAさんとBさんの健康被害に対する損害賠償とBさんの雇用保険の減額分の損害賠償(雇用保険は一つの事業所でしか入れないためにAさんの失業給付の額も、期間も短くなり80万円程度の損害が出た)、業務の改善を求めて交渉をしています。
 ところが会社はBさんは働いていたとは言えないなどと主張したり、Aさんの雇用保険の額にも無理な主張をつづけ、解決する姿勢を見せていません。
すでに労働基準監督署がNPO法人にも株式会社にも休憩未取得や違法な残業などについて是正勧告を出しており、府中市も事態を重く受け止め、動いています。
 NPO法人アクティブ府中とピース株式会社には一刻も早く争議の解決をしてもらいたいです。

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