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「日本文化と八幡神」佐々木孝二

神社の性質を考えるときに、起源だけでなく、どのように信仰として広まってきたか、ということを追っていく必要があると思っています。八幡神は日本で最も広く信仰されている神であり、その全容について調べることは大変な労力を伴います。

本書は、古代信仰のあり方から八幡神の起源を考察し、宇佐氏・宗像氏といった関連氏族との関わりから「八幡神」として信仰が定着する様に言及、中世くらいまでを目処に、全国的な広がりを見せる過程までを追っています。

現在、日本にある「○○神社」のうち、最も多いものは八幡神社であり、その信仰の形態や、神威の性質も実に多岐に渡っています。皇祖神として、農耕神として、源頼朝以降は武家の守護神として、土地土地で人々の「願い」の形に応じて様々な伝承とともに、変わる信仰を本書は網羅しています。

おまけ的な章として、猿丸太夫伝説を軸に、神社と芸能の関わりについて考察した章を含みます。神社・信仰と人々の暮らしの関わりを考える上で、大きな示唆を与えてくれる本です。

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