見出し画像

「世界史のなかの縄文」佐原真・小林達雄

考古学会の大御所で曲者な二人の対談。私対談好きみたいですね。目次の後の、ガン飛ばしあってる写真から仲の良さが伝わってきます。

「世界史のなかの」というテーマだけあって、人類史の大きな流れの中でどのような位置付けになるのか、同時代・前後の各地と対比してどうか、というようなテーマで自由闊達に議論しています。

この二人多分仲良いと思うんですけど、専門分野も立場も微妙に(?)異なっていて、お互いの意見を尊重しながらもここは違う、ああだこうだと意見を交換していくさまは、読んでいてとても心地の良いものです。

お二人が若かりし頃の地道な発掘のエピソードなんかも出てきたりして、そういう手足を動かしての積み重ねがあるからこそ、「考古学に言えるのはここまで」という節度のある学問をされているのかなあと、とても感銘を受けました。

別に考古学で「ここまで」しか言えないからと言って、その先を想像してはいけないということでもなく。考古学的な視点から、ある程度の想像を含むけど、というようなことは言えるとは思うんですよね。そういう自由さもお二人の学問にはある。

縄文好きではなくても、考古学を身近に感じるとともに、考古学という学問に対する敬意を持つことができるようにもさせてくれる本だと思います。



この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?