日光道中 復路2 文挾宿→楡木宿
五街道復路シリーズ第二弾。
昨年夏以来の夫婦での行軍。
復路なので、往路で紹介した史跡は省略し、ご当地の独特な文化の紹介や、観光開発目線での妄想をレポートします。
23.04.15
1.スタート地点まで
さいたま新都心駅の近くにある、さいたま新都心駅東口自転車等駐車場。
屋根付きで1日90円という破格。建物は三階建てで長さは100m位、一体何台停められるのでしょうか?1,000台は停められそうです。
本日も先週と同じ、宇都宮線始発電車。
土曜日の始発電車は、土曜日に働く人の通勤客と、レジャー客と、朝帰りの疲れ切った酔客と、部活の高校生が混雑するカオス電車。
ボックス席もカオス状態なので、朝食を食べる時はグリーン車に乗る事になります。
朝食はローソンで購入。
冷蔵庫以外のパン類の価格は150円が購買意欲を掻き立てるラインなのか驚きの安さ。フレンチトーストとてりやきハンバーガー、どちらも130円位でした。
文挾駅到着07:23。
自宅を出たのが04:55でちょうど2時間30分、日帰りで街道歩きをしていて、1番勿体無い時間とお金のの使い方の典型的な例です。
今回は復路になりますので、史跡の画像などは熱心に撮影していません。
▽往路の記録/細かい情報はこちら
2.一初珍の法則
文挾駅は杉並木に1番近い駅。
目の前に海がある駅は全国各地にありますが、目の前に杉並木がある駅は珍しいです。
私は観光地開発の仕事を長くやり、今は大学で観光学を教えています。
その中で有名ではない観光地でも、その地域の観光資源の発掘調査をして、原石が採掘されたら、研磨作業をして磨き上げる事で、観光資源が創り出せる事を教えてます。
教える時に「一初珍の法則」という、ヘンテコな名前の法則を考えました。どういうことか説明します。
例えば、本日降りた日光線の文挾駅は、次のように言い切れる可能性があります。
世界一長い杉並木に1番近い駅
根拠として次の2つの検証が必要、
①文挾駅前の杉並木が、ギネス認定の世界一長い杉並木のカウント対象か?
②もっと近い駅が本当にないか?
こんな感じで観光名所は創られていきます。
3.定点観測の楽しみ方
杉並木の中は狭いため歩道がありません。お陰で杉並木のすぐ横に、ギネス認定の杉並木の側道が、獣道の如く出来上がっており、左に杉並木、右に里山風景を楽しみながら歩けます。
世界一贅沢な歩道と言い切っちゃいたくなりますね。
この風景に記憶が蘇ります。
次の画像が約1年前の2022年4月23日、晴れた日にこの田圃の前を通り、その美しさに心を打たれていた時のもの、一年越しの定点観測ができました。
田圃に水が張られている風景って、実は一年間の中で一週間もない貴重な瞬間。
何故なら水を張った後は、すぐに田植えが始まるからです。
田圃の風景は、時期によって稲の色が黄金色に輝いたり、山の中に突然現れたり、人と自然が一緒に作り上げた、宝物の様な風景のひとつです。
特に峠道などからの、上から見下ろす田圃は天空の宮殿の庭のようで、しばらく見惚れてしまいます。
4.鹿沼土
日光市から鹿沼市に入ると、杉並木が急になくなります。
雨が直接身体に降り注いできました。雨は結構体温を下げてきますので要注意。雨から旅人を護ってくれる、杉並木の偉大さを、この後身をもって感じることになります。
園芸屋さんに行くと、鹿沼土と書かれた肥料をよく目にします。
鹿沼はその鹿沼土の産地。採掘場は目にしませんでしたが、掘り尽くしたら枯渇してしまうのでしょうね。
この付近のビニールハウスは、鹿沼土の乾燥場となっており、中を覗くと黄土色の鹿沼土がたくさん敷かれています。ビニールハウスの中で土を乾かしている、極めて珍しい風景が楽しめました。
タケノコや紫陽花が、季節を感じさせてくれます。一雨ごとに春の皮が剥がされて、季節は夏に向かっていきます。
5.焼きそば文化圏
栃木県は"焼きそば"の店が気のせいかも知れませんが、多く感じます。
宇都宮宿は、画像にはありませんが、看板のない焼きそば専門店があったり、20代に住んでいた頃に会社の近くに焼きそば居酒屋があったり、焼きそば文化圏なのでしょうね。
冷たい雨が身体にダメージを与え続けます。前回歩いたときに立ち寄れなかった彫刻屋台会館で小休止する事に。
6.彫刻文化
鹿沼の彫刻は、日光東照宮造営時の彫師が、冬は仕事が無いので鹿沼で屋台を彫っていたとの説があります。
歩いていると気がつくのですが、屋台だけではありません。前回歩いたとき撮影した画像を紹介します。
街角の小さな祠も高いクオリティで、隅々まで彫られてました。
彫師たちは木を見ると放っておけなくなり、彫ってしまうのでしょうね。
芭蕉が曾良と奥の細道を千住宿から歩き始め、春日部・間々田の次に宿泊したのが鹿沼宿でした。
画像の芭蕉と曾良の像は、なんとチェーンソーアーティストが、チェーンソーで彫った作品。彫刻文化の街のDNAが思わぬ形で伝承されてます。
7.かぬまシウマイ
昨年の今頃歩いたときには少ししか無かった"かぬまシウマイ"の垂れ幕が、今は商店街にズラリと並んでいます。
何故、鹿沼市がシウマイなのか?チャットGPTさんに聴いてみました。
チャットGPTはダメでした。
答えは実は知っておりまして、私が2年前に観光振興のアドバイザーとして鹿沼市に仕事できた際に、商工会議所の鹿沼シウマイの仕掛け人である水越さんから教えて頂きました。
横浜の崎陽軒、初代社長の野並茂吉氏が鹿沼市出身。東日本大震災やコロナで疲弊した街を活気づけようと、シウマイで町おこしを提案し販売する店を増やし、2021年9月にJR鹿沼駅前にシウマイ像を造り、今は提供する店が50軒もあります。
かぬまシウマイのホームをみると、昨年はシウマイダンス初披露!との記事も出てました。
まちおこしって、個人の情熱がないと始まりませんが、本当に凄いと思います。
新鹿沼駅前に、100m離れていても一目で岡本太郎作品とわかるモニュメントがあります。
1983年72歳の時に制作した"夢の樹"、杉並木をイメージしているそうです。40年過ぎても古さを感じさせず、熱さを感じさせる、素晴らしい作品ですね。
山崎パンのトラックのデザイン、私の記憶がある限り変わっていません。走っているだけで絵になります。
8.春雨の街道歩きの難しさ
えっ、ヤオハン?
熱海の八百屋さんから香港を拠点に世界に進出してバブル期の象徴と言われ、破綻してしまったヤオハングループ?
と思ったら違いました。
慶応年間に栃木市で商いを始めた青果・八百半商店が発祥で、現在も栃木県内で営業展開をしています。
冷え切った身体を焼肉定食で癒します。
凄いボリュームで手打ちそばが付いて1,300円、これはお得です!
ご主人が服装見て察したようで、
「何処まで歩くんだい?」
「先週はママチャリで高崎から日光に向かっている人がいたよ」
などなど、調理で忙しそうなのにたくさん話しかけてくださり、とても嬉しかったです。
雨で身体が冷え切ってしまい、歩き足りませんが身の危険を感じたので、本日はここで切り上げます。
春の雨の街道歩きはとても難しいです。気温が上がる予報だったのと、レインコートを着るので暑くなると思い薄着で歩いたら、気温が上がらずレインコートがあるとはいえ、体温が奪われていくばかり。
まだまだ研究が必要ですね。
来週は小山宿を目指します。
雨が降りませんように…
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