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多才漫才師。〜令和喜多みな実 野村尚平様〜

好きになったら絶対にあかん、絶対にこっちのメンタルがヘラる。わたしのことなんて構ってくれへんよって分かっててどうしても好きになって身を滅ぼすことってありますやんか? 
野村尚平とはそういう人。
だめんず(って今も通じる?)を渡り歩いてきたわたしのアラームが最大音量で警告します。
「あかん、野村はやめとけ!飛ぶぞ!(精神が)」
ですよね〜
アラームはこうも言います。
「どうしてもきたみながええんやったら河野にしとき!河野は嫁に干渉するタイプでおすすめはできへんけど野村よりは…河野にしとけ!」
わかる。わたしわかるよ。けど…

世界中の人たちが河野さんの味方でも、わたしは野村さんが好きなんや!!! 

そう叫ばせる魅力が野村さんにはあるのよ。
見取り図盛山さんに「先天性漫才うまうま病」といわしめた話術。その才能は漫才だけに留まらない。新作落語をつくり寄席で披露し、先輩後輩問わず単独の台本依頼が入る。果ては劇団まで旗揚げしてしまう。その作品がすごかった。加入している大阪チャンネル(現FANYチャンネル)におすすめされるがまま野村さん主宰の劇団「コケッコッコー」の「ほなさいなら」を偶然に見た。

その作品が関西演劇祭という演劇界の賞レースで、4部門を総ナメしたことは知らずに見始めたのだが、一瞬で引き込まれた。野村さんの作家としての力量、演技力にも圧倒されたけど、全員芸人、な俳優陣の演技も圧巻だった。

普段劇場で見せる顔とは全然違った。

え?おは朝で可愛いキャラを存分に振りまいている洲崎くんだよね?
え?中谷さんって肛門にらめっこしてた、あの?と混乱するぐらい、そこにいるのは俳優以外の何者でもない演者。
野村さんが「追い込まれた時の芸人の底力を知っているから」と言っていた意味がわかった。
凄かった。
愛。愛だった。そこにあるのは芸事に対する愛、芸人に対する愛、家族に対する愛。
こんなに愛を可視化した人も、こんなに愛を欲している人もいない。きっと野村さんしかいない。

もうね、好きになるしかないよ。

私の愛も差し出します芸の肥やしになるならば。

芸を愛し、芸に愛された男、野村尚平。令和に再来した桂春団治。

野村さんにとって、この世界は生きづらいのかもしれない。
コンプライアンス重視の令和において、めちゃくちゃ窮屈そうにしている。
YouTube生配信にわざと行かなかったり、マンゲキのチャンネルで一人だけ静止画だったり、SNSで吉本批判をしてみたり、ククパライブでは出禁になったりと破天荒なのだ。
そしてそれを一切隠さない潔さ。野村劇場。

試されている。それでも愛するのかと試されている。
枯れることない愛を求めらる気がしてしまう。応えたいと思う。

愛されたい野村さんは愛を惜しみなく差し出す人だ。
インディアンスの田渕さんは大阪時代お世話になった先輩として名前をあげて、鉄板のエピソードトークには事欠かない。ラニーノーズの洲崎さんに息子が生まれた時は生まれ年のギターをプレゼントしていた。子供じゃなくて父親に。痺れる。確か劇団のメンバーも全員が後輩芸人のはず。忙しい中、彼を慕って、彼の才能を愛して集まったに違いない。演劇の稽古場で「台本がまだなんです。野村さんの本ができるのを待ってます。いいんですよ、急かしたらダメなんです」と笑顔で言っていた堀川絵美さん。
大丈夫、野村さんはきちんと愛されてもいる。

全ての芸事において最高点を叩き出す男。最高点をだすために最大限の努力を惜しまない男、野村尚平。愛さない理由が見当たらない。

時に理不尽な世界を憂いる夜もあるけれど、それでも彼はこの世界に何かを生み出すために生きる。
痛みも苦しみも全部抱えて、ただ愛を生み出すために。

令和の屋号がこんなに窮屈で、こんなに似合う芸人さんを、他に知らない。


写真は漫才劇場のプロフィール画像を拝借いたしました。

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