第一回「GOLD」

最近全然書いてないんだけどたまにいいねをいただくことがある。
野村さんのことを書いた記事だ。みんなのむさんに飢えてるんだな、私もだよ。
今日はなんばグランド花月でのむさんが一日だけ復帰した「GOLD」について。

この日、私はチケットを買うかどうか悩んでいた。当日になっても代演のアナウンスがなかった。これは…けれどのむさんが出るとも思えなかった。演者と会社とのギリギリの攻防があるのか?のむさんならありそうだな、などを思いながら夕方になった。
代演のリリースはない。
これはあるんだ、何でかわからんけど、とりあえずこの舞台だけは出るんだ、そうなんだ、と確信した私は仕事が終わってなんばグランド花月に駆け込んだ。目に飛び込んでくるGOLDのポスター。ここでも代演のお知らせはない。決めた。
「ゴールド1枚ください!」
当日券を買ったのは初めてだった。そして2階席も初めてだった。

ギリギリに入ると、私の隣の女性が本を読んでいた。ああ、クールな方なんだなあ、劇場通い慣れてはる?笑い飯のフアンの方かしら?などと思いながら開演を待つ。

会場が暗くなり、画面に映し出される令和喜多みな実。その瞬間の拍手の温かいことと言ったら!そして長いことと言ったら!
本当に?本当にのむさん出てくれるの?

聴き慣れた出囃子。上手と下手に分かれたレッドカーペットから中央のサンパチに向かって歩いてくる二人。新衣装の二人。

はいもう泣いてました。私もう泣いてました。
そして隣の女性といえば…嗚咽を漏らして泣いてました。きたみなファンかい。

のむさんの喋りはやっぱり天才的で繰り出される言葉もテンポも心地よい大阪弁もみんなみんなすごかった。改めてのむさんは芸の神様に選ばれた人なんだと思った。のむさんからは、もう壊れてもいい、という狂気を感じた。緩急というか、ずっと急だった。止まらない。河野さんも止めようとしない。そのブレーキを失った、おもしろおしゃべり暴走カーの助手席で、運転手を咎めるでも、ブレーキをふむでもなく、つっこみだけを続けている。

これが漫才じゃなくて何が漫才なんだ?

自分の弱さを、噛みつく相手を、暴走カーの助手席から降りようとしない相方を、全部ネタにして笑いを生み出していく。しゃべくりという手法で。

何これ。私何を見せられたん?のむさん二ヶ月ぶり?は?何これ。

笑い飯や中川家のご贔屓さんたちも爆笑していた。こんなに気持ちいいことはない。そしてみんながのむさんに温かい拍手を惜しまなかった。いや、きたみなに。河野さんの気持ちを思うとまた、勝手に涙が出た。

神様お願い、のむさんが毎日毎日安定して漫才ができる場所を与えてあげて。
NGKの週出番をあげて。お願い。
そしたらお金の心配なく創作にも打ち込めるのに。
きたみなはただの若手漫才師なんかじゃない。これからのNGKを背負う漫才師だってこと、今日わかったでしょう?

隣の女性はずっと泣いていて、こっちの涙が引っ込むぐらいだったけど、こうやってたくさんの人たちを今日も生かしてくれた野村尚平という男を、私はずっとずっと愛する。

この日の復帰は1日だけの復帰で、また療養に戻ったのむさん。
劇場に来るのもキツかったとおっしゃっていたのむさん。
そんな芸人野村尚平を私たちの前に送り出してくれたご両親には感謝しかありません。心配だったと思います。本当にありがとうございます。同じ親として、同じことができただろうかと問い続けます。

のむさん、続けていればきっと報われることがあると私は信じています。
舞台が似合う芸人さんをあなた以外知りません。
帰ってきて欲しいとは言いません。けど待つことを許してください。
のむさんが見てる世界は、どんな世界ですか?
風が吹いても傷む心で、この世界はどんな風に見えますか?
教えてください。図太く生きる私に。私が見えない、小さいけれど圧倒的な美しさについて。
のむさん。生きていてくれて、ありがとうございます。


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