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SHADOWTIMES 2013/09/05 Vol.41

Post.20
「既にある未知のフィールドへ」 勝又公仁彦

このところ呪術的な話が続いた。そろそろ科学の話題を入れてバランスをとろうと思っていたところ、港さんがアラゴのことを書いて下さった。ダゲールが発明し、アラゴが発表したダゲレオタイプは、光学的な現象を化学的な処理により定着する技術だった。これは現在のフィルムカメラに受け継がれている。

一方デジタルカメラでは、光学的な入力は変わらないものの、その後は電子工学や情報科学などの技術によるイメージ形成が行われる。この点で従来のカメラシステムとは異なっている。

“Screen” F#01 2005年

従来のカメラでは、光学系は被写体の正確な物体像を取込むことに意義があった。そのため「良いレンズ」とは通常、色収差や解析などの光学的変調が少ないものを言った。またレンズの違いによる画質の差が、そのまま表現や撮影者の個性や特徴に直結していた。

つまり、どのカメラにどのレンズを合わせ、どのフィルムを使い、どの印画紙を選ぶのか、といった複数の選択の組み合わせが作品の重要な一部を占めていた。もちろん、何をどう撮るのかという選択の方が重要ではあるかもしれないが、それはデジタルでの撮影でも同じことだろう。

“Japanoscape” 「2011年2月23日鹿児島県奄美市」

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