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SHADOWTIMES 2013/11/21 Vol.51

Post.25
「ヨセミテのローンレンジャー」 勝又公仁彦

今年公開された映画「ローンレンジャー」は、サンフランシスコへの大陸横断鉄道の敷設が物語の背景となっていた。それはまさに前回のスタンフォードの事業を思わせるものだ。

スタンフォードが、という意味ではないが、映画と同様にその時代には先住民への搾取や虐殺がそこここで行われていた。スタンフォード大学のあるパロ・アルトからロスアルトスに抜ける幹線道を車で走っている時、運転するFさんはこの道も先住民の血の犠牲の元にある、と教えてくれた。

映画はジョニー・デップ演じる、過去につまらない物欲のために部族の秘密の銀鉱山のありかを白人に教えたせいで、仲間を虐殺された先住民が、善良な若い白人を導いて悪い白人を倒す、というアメリカ映画らしい話だ。その先住民が現在ではサンフランシスコの見世物小屋の生きた展示品として毎日を過ごし、昔話を子供に聞かせるという設定だ。

映画では銀に置き換えられてはいるが、サンフランシスコが発展したのは近郊のゴールドラッシュによるものだ。それは二年間で人口が25倍に増えたほどの規模である。当時開業した銀行や鉱山作業のためにジーンズを作ったリーバイスなどといった企業は今でも健在だ。

(サンフランシスコからヨセミテへ向う途中、ベルナリスの農家。一本の道路以外は延々と様々な果樹園が続く。ベルナリスは「春」を意味する)

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