ソーシャルアクティビストの生き様ドキュメンタリー「戦場カメラマンになりたかった男が今ソーラーシェアリングで世界を本気で変えたい理由とは?」東 光弘さん(市民エネルギーちば株式会社)パート②

市民エネルギーちば株式会社/㈱TERRA/
株式会社ソーラーシェアリング総合研究所 代表取締役 東光弘さん
撮影&聞き手:山田英治 (社会の広告社)

〜この記事は上記動画の書き起こしです〜

山田)ソーラーシェアリングの伝道師、東光弘さんへのインタビューの第二弾です。東さんが元々(環境を守る観点から)有機野菜や有機農業に関わられたのは、東さんが以前お勤めされていた商社からでしたか?流通に関わる仕事だったとは思うのですが、店頭販売や卸しの中で気候変動のことを考えるようになったのか、それともソーラーシェアリングの出会いから始まったのか、どちらになりますでしょうか?

東さん)現在58歳ですが、実は17歳の時カメラマンになりたかったのです。

山田)カメラマンですか?

東さん)えぇ、報道カメラマンです。「ロバート・キャパ」、「ユージン・スミス」、「マーガレット・バーク=ホワイト」、「沢田教一」など、戦争をヒューマニズムで止めるカメラマンの写真に影響を受けました。

ですが、戦争は全て終わっていて「自分の時代は何なんだろう?」と思っていたところ、40年前にガイア仮説という、地球は生きているという仮説のラブロックの本が出て、「これは何と面白い考えなんだ」ということで、これから環境問題だなと思い、環境ジャーナリストになろうとしました。

新聞学科がある大学に行き、新聞記者になって、環境問題を一般に伝える仕事にしたかったのですが、その頃はまだ早すぎましたね。バブルの後半だったので、世の中全体が浮かれていましたから。

山田)当時、環境のことを話す人はいましたか?

東さん)誰もいませんでした。『東、頭が壊れたのか?』とよく言われました。でもドイツでは食べ物を通じて環境問題(に対する意識)を広めることがうまくいっていましたので、日本もきっと上手くいくと思っていました。

その後、オーガニックの業界に入り、食べ物の流通を通じて食べ物の流通を一つのメディアとして捉えました。

「なぜ無農薬の野菜を売るのですか?」、「無農薬とは何ですか?」(という問いかけがありましたが)、農薬を使わないと昆虫も死なないので、生物多様性に良い、人間も自然の一部だから人間の健康を守るということは地球を守るということだ、という考えでオーガニックのものを30数年前から売っていました。

当時は「大根からソーラーパネルまで」というコピーライトで、ジャガイモやオーガニックの野菜の隣にもパネルを置いて売っていました。年間10枚程度ですが。太陽光パネルはすごいもので、これを普及したいという思いがあったのですね。独立して自由に生きていくためのツールと思っていました。

食べ物も、「自然に良いもの」を作るというより、健康になりたいイズムではなく、自分らしく生きたいのなら、また人様にお野菜をお届けするのなら、農薬を使っていない野菜の方がお互いに楽だし自由だ、と考えたのです。エネルギーも石油を燃やしたり、原子力を使用したりするより、自然エネルギーの方が良いよね?というようなカルチャーから始まりました。

山田)40年前に気候変動という言葉は存在していましたか?

東さん)当時の環境問題は、ゴミやリサイクルや公害などが中心でしたね。温暖化についても35~36年前には既に議論されていましたし、海外でも同様の問題が存在していたため、地球の危機感を持つ人々も多かったようです。

山田)それまでの時代は『えっ!何を言っているのだ?』と疑問視する人々も多かったのでしょうか?バブル期や青春時代に、心が揺れ動いた経験はありましたか? 最近では、気候変動やSDGsといったテーマがますます取り上げられ、企業も変化を迫られる状況が続いていますが。

東さん)そこは全く揺らいでいません。エコロジーの世界というのは、みんなとても良い人で色々なことを教えてくれます。

例えば長芋や山芋の生え方がどうしたとか、山はこういうのが出てくれば水通しが悪いとか、(ソーラーシェアリングを普及する)活動を30数年やっていても、毎日色々なことを教わります。自然や環境を教わること、それが楽しいので、(活動が)進まないと焦る時もありましたが、それを上回る喜びの方が大きかったですね。

今は残念ながら環境がどんどん悪くなっているので、色々な意味で環境に興味持つ人が増えてもいます。起業家の人は皆さん気が付いているので、相当厳しい状況ではありますが、(ソーラーシェアリングが普及する)可能性は0でないと思っています。


【循環経済は、自分が幸せになりながら周りの人も幸せにするハッピーシェアリング】


山田)今の話の流れですが、東さんは今後の展望として、どのようなことをビジョンとして描かれているのでしょうか?

東さん)情報の共有は大事だよね、ということと、理屈だけでなく体感して、自然エネルギーなりオーガニックなり不耕起栽培なり、循環するシェア経済をやる社会はハッピーだ、ということを体感した方が良いと思います。

目的のために頑張れというのは限界がありますので、ある意味自分がハッピーになりながら、他の人達もハッピーになることを伝えていきたいです。

経済的にも感情的にも、人々の心の中にある哲学的な要素として、感動的な音楽やスポーツや映画と似た具合で共感されて『環境活動めっちゃ楽しいじゃん』と感じてもらえるように、人々に伝えていきたいです。

山田)ハッピーシェアリングとはそういうことなのですね。だから地域の方もウェルカムな姿勢になっていくのですかね?

東さん)地域活動というのは地元の草刈りに必ず参加するとか、理屈ではなくて挨拶や義理人情で仲良くなることが先なのですね。そうすれば『東は仲間だから手伝おうか』とウェルカムな姿勢になるのです。


【日本の農地の18%にソーラーシェアリングを作れば、国内の電気は足ります!地域の営みを支える巨木になりたい】


山田)地道なところから入り、地域で関係性を作ってソーラーシェアリングを始め、輪を広げていくのですね。今は何カ所あるのですか?

東さん)20〜30カ所くらいありますね。

山田)30カ所もあるのですか?

東さん)はい、30カ所あります。これ以上増やそうと思っていないですが。
実は、計算すると、日本の農地の18%にソーラーシェアリングを作ると、日本の電気は足りるという計算になっているのです。

山田)18%?日本の?耕作放棄地のではなくて現農地の18%でしょうか?

東さん)全部ですね。水力、小水力、風力、波力、省エネも進んでいます。家の屋根の上にもソーラーがありますから、農地の10%ぐらいでソーラーシェアリングができれば良いのです。いくらソーラーシェアリングが良いものであっても、全てソーラーシェアリングになったら、ちょっと違和感を感じるかもしれませんからね。あっちに10%、こっちに10%という具合で地域おこしに使われていったら良いかなと思っています。

山田)良いですね。都会の人達で地方移住をされる方も多いですけど、そういった方が担い手にもなりながら、地元の農家さんと共同で導入しようとなると良いのですかね?

東さん)循環の一つのエンジンのような感じですね。大きな巨木には深い根があって、水を吸い上げて葉っぱから蒸散されて水が循環する。雨が降れば一度葉で受け止めて、ゆっくりと地面に水を供給してくれる。光を浴びて光合成をしたら、10のうち6は自分の体を大きくするのに使い、残りの4は根から光合成した炭素となり、微生物の餌になる。微生物は周りの微量のミネラルを木に与えてくれます。このような1本の巨木があることで、ものすごい大きな循環システムが生まれるのです。

ソーラーシェアリングも経済面で、そのような巨木になってほしいですね。地域を育むようなソーラーシェアリングの木のようなものがあれば、売り上げが収入になり、地元の公民館に寄附が行き、子供たちの学童の予算になり、ゴミが捨てられている等の地域課題を解決し、都会から移住したいという人たちの仕事にもなります。木のような存在であるソーラーシェアリングがあることで、地域内の社会循環・経済循環が生まれると思っています。

山田)素晴らしいですね。私は本日東京から来たのですが、知っている人は知っているのですが、まだまだソーラーシェアリングの考え方を含め、来てみないと分からない雰囲気や、ハッピーシェアをしているという状況
の見える化ができていないような気がします。

もし、現状が太陽光パネルの違う方法と思われているだけだとすれば、社会の広告社として、ハッピーシェアリングの見える化や、実際の笑顔を可視化できるようなキャンペーンができると思いました。キャンペーンと仕組み化ですね。

東さん)2月にはここでできた大麦で、ソーラービールというのを出します。「サザビーリーグ」というアパレルとカフェをしているアパレルブランドにお金を出資していただき(店舗に)電気を届けていますが、そちらでソーラービールを売ってもらいます。サザビーリーグの若い人たちがここに援農に来てくれる時に、今度はお客さんも一緒に来てくれます。

ここで市民農園ができるなどのキャンペーンも大事ですし、物理的に繋がっていくことも大事です。継続できて同時にやっていけると良いですね。しかも47都道府県で自分がアクセスしやすいところでやれる仕組みを。

山田)良いですね。私も是非ソーラーシェアリングに1口乗りたいと思っているのですが、今はパネルを1つ買うことも法律でできないのですよね?

東さん)例えば、これから新電力に電気を売っていく時に、それを契約してもらうとか、実際にイベントに来ていただいたり、援農をしたり、コミュニケーションで参加してもらうだけでも良いと思いますよ。

山田)契約したら農業をやれるというサービスはあるのですか?

東さん)今は無いのですが、個別対応でできます。TERRAは株式を上場まで持っていきたいと思っています。会社は上場すると、株主から『環境よりもお金を優先して配当を上げてください』と言われると元も子も無くなってしまうのですが、もし全ての株主がエコロジストだったら『もっと環境を頑張ってよ』となって、自分達らしくスケールを大きくしていけますからね。株式に出資者になってもらう参加の仕方もありがたいなと思っています。

山田)やりたいなあ。

東さん)是非皆さん1口ずつ、全員株主がエコロジストだったら、年一回の株主総会も大変楽しいと思いますね。


【ソーラーシェアリングの学びの輪も広がっている】


山田)今度は全国の話なのですが、ソーラーシェアリング推進連盟でソーラーシェアリング普及活動を各地でされていますが、どのような内容なのでしょうか?

東さん)具体的には2024年2月17日に千葉商科大学で第1回目のソーラーシェアリング全国大会があります。そこに色々な方に登壇いただきお話をしていただくのですが、2つの大きなお部屋を借りて、1つは大人達が順番に話し、もう1つは学生さんにプロデュースしてもらいます。未来の社会のあり方、ソーラーシェアリングを使ったあり方でプログラムを組んでもらい、交流・教育の観点からソーラーシェアリングアカデミーという企画をやります。

山田)アカデミーというのは勉強会ですか?

東さん)はい、インターンシップや建設、農業、環境社会学について学ぶアカデミーがリアルやオンラインで行われています。生物の多様性や環境問題など、幅広いテーマが扱われており、村おこしやクラウドファンディングなども取り上げられているところです。

山田)社会の広告社のクラウドファンディングの仕組みでは、ソーラーシェアリングの啓発をやる際に「動画や広告がいくらだからクラウドファンディングで(資金を集める)」という仕組みなのですが、何かできることはありそうですかね?

東さん)3年前に簡単なプロモーションをやったのですが、そういう意味で動画を作ってもらえたらとても嬉しいですね。

山田)色々なシェアが循環して可視化されていくという感じですよね。いま海外にもソーラーシェアリングは広がっているのでしょうか?


【元々は戦場カメラマンを目指していたが、今はソーラーシェアリングで紛争をなくしたい】


東さん)ベトナムのテストプラントを仲間の会社と進めているほか、インドアフリカのミーティングが始まっています。個人的に砂漠の緑化をやりたいです。

山田)そうなのですか。

東さん)緑を増やしたいのですよね。出てきた炭素を固定化するには、植物の力の助けを借りるのが一番良いですから。

山田)東さんの夢は、砂漠を緑化して農業をやるということですか?それは最高ですね。そして途上国の地域の雇用になる、食料の増産になるという。

東さん)元々戦場カメラマンを目指していましたが、今ではソーラーシェアリングを1つのメディアとして捉え、戦争と反対のことをやろうとしています。エネルギーを生み出しエネルギーで水を得る。水で砂漠を緑化して、食べ物と雇用を生み出す。そうすれば紛争が少しでも減る可能性が増えます。

山田さん)巡り巡ってシェアの思いが繋がるのですね。

東さん)クラウドファンディングで海外の砂漠の緑化実験を来年からやっていくので、そうなってくれたら嬉しいですね。

山田)それ良いですね。面白いですね。それやりたいです。

東さん)セネガルやインドで、新規就農した若い有機農家さんを応援するための設備を作るとか。そういった試みもありますね。

山田)それもいいですね。

東さん)ですから国内のソーラーシェアリング、これからの担い手のためのクラウドファンディング。使ったきりで終わりのファンドではなくて、その後その人も15年したら利益が出て、それを返して次の糧へ、循環していくようなお金の流れが良いと思いますね。

原点を辿ると、私はちょうど高度経済成長期の昭和40年生まれで、世の中は毎年どんどん発展が見えたのですね。部屋にテレビがなかったのが、白黒テレビが来て、カラーテレビになって、中学生ぐらいになったらファミコンが出てきた世の中でした。経済的には良い時代だったのですが、リアリティーという点で、これでいいのかな?と20歳前後に思いました。

戦争というのは最もリアルな状態です。当時の写真はすごく力があったから、写真の力で戦争は悲劇なんだということが伝わり、ベトナム戦争とか、多少なりとも戦争が終わるのが早くなりましたね。良いことだなと思いました。それで社会のためなることがやりたいと、本能的に思いました。


【温暖化を誰かのせいにしない。解決すればいい。話題のテクノロジーは全て味方になる】


山田)小学校や中学校はどんな子だったのですか?

東さん)サッカーが好きで、中学生はフォーク全盛でバンドをやって、サッカーと音楽という感じでした。そして生徒会長を常にやっていましたね。

山田)やっぱりリーダー格だったのですね。

東さん)イジメがあると嫌なので。

山田)正義の人だったのですね。なるほど。共感いたします。

東さん)世の中を良くするのは気持ち良いといいますか、楽しいのですよね。

山田)楽しいですよね。やっている最中に楽しいとは言いづらいですが。

東さん)文句を言うのが嫌でした。農薬を使ったご飯で成長させてもらったのですが、それに文句は言いたくないです。ありがとうと言いたい。けれど人に売る時には、より健康なフィジカルなものの方が良いよねと言います。温暖化を誰かのせいにしたくない。大人なのだから解決すれば良いのです。

「こういう社会モデル、ビジネスモデルがあれば、次の世代も儲かるし楽しいし一緒にやらない?」と言えるものを作っていく方が気分が良いです。

山田)いま、若者が2極化していて、海外ではソーシャルグッドなことをやっていても、日本人は意外とZ世代がソーシャルグッドではないようで、私の周りでは増えている気はしますが、統計上まだまだ少ないらしいのです。

東さん)まずは彼らが成功していくことが大事です。彼らの止むに止まれぬ所で立ち上がった人達のセンスと、諦めてしまう度数では、今はまだ日本の場合は諦めてしまう方が大きいのです。だって大人たちが色々ガッカリなことが多いじゃないですか。政治も商売も。こんな大人になりたいと思わせるという意味では、ビジネスを成功させるのが大事なのです。

今は夜明け前ですが、このような感じで、来年相当大きな会社とのプロジェクトが続々と発表されれば、変わっていきますね。

特に2025年と2028年は大きく飛躍すると思っています。ペロブスカイト太陽光電池が社会実装することや、蓄電池が変わる、自動運転が出てくる、AIが出てくるとか、世の中で話題になっているテクノロジーが全て、私たちの仕事にはプラスだと思っていますね。

山田)ペロブスカイト!

東さん)ペラペラの紙と言いますか、ラップみたいなものや、あらゆるものが発電可能になります。ソーラーシェアリングにはもってこいです。今特許を取ってサンプルを作っているのですが、私らのソーラーシェアリングではペロブスカイトを使うとコストが下がって、風にも強い仕組みができるのです。砂漠でも良い。乞うご期待です。

山田)楽しみですね。

東さん)大事なのは、色々なことが変化し、変化することは当然ということですね。サーフィンのように波に乗った方が良いのでは?と思いますね。先入観にとらわれずに。

Googleアースで土地を見て、元々の水脈はこうなっていたからこういう農業が良いと考えたり、顕微鏡で土の中の微生物を見たりする。距離的に俯瞰して見るし、時間的にも俯瞰して見るし、レイヤーも俯瞰して、自分の脳が紋切り型にならないように、あるがままに現実を見て対応していくのです。そうすれば、常にチャンスがあり、良くしていける自信があるのです。

山田)あとは担い手ですかね。

東さん)世の中を良くしたい。自分らしく楽しく生きていきたいと思うパッションの方が大事だと思っています。こういうテクノロジー方法があるんだったら、それをやってみたいとなれば良いのです。最後に思いありきです。

山田)なるほど、自分らしく生きたいと思うためには、そういった実例がここにあるというのが伝わらないと気付かないですものね。

東さん)これから海外の人も来る。あとは、芸能人や全くカテゴリーが関係無い人達が関心を持って、こうした環境活動を一緒にやっていくのです。全く別のフェーズでやっていきたいと思います。

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東さんの動画 パート1はこちら!→
https://www.youtube.com/watch?v=mgkM6oazDks&t=59s&ab_channel=%E3%83%A1%E3%82%AC%E3%83%9B%E3%83%B3ch%E3%80%9C%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E5%BA%83%E5%91%8A%E5%B1%8B%E3%81%8C%E5%8F%96%E6%9D%90%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89%E4%BC%81%E7%94%BB%E3%81%99%E3%82%8B

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