色褪せない碧。2月17日公開「長江愛の詩」

試写会へ行ってきました。115分。ヤン・チャオ監督が10年かけ、35ミリフィルムで撮った作品。原題「長江図」(英題Crosscurrent)。ベルリン国際映画祭銀熊賞。

わたしが試写会へ行くのはこれが2回目ですが今回は中国語通訳者・サミュエル周さんのトーク後に、作品の上映という流れでした。

長江が現地の人にとってどういう存在なのか。長江はただの川ではなく、長年水墨画の画材として取り上げられてきた。まさに信仰であり文化であり歴史なのだ、ということ。非常にわかりやすく解説してくれました。

また、2009年に世界最大の三峡ダムが作られたことで失われた長江の文化や歴史、風景などもこの作品の背景にあるようです。

あらすじ

父親の後を継ぎ貨物船の船長となった主人公ガオ・チュンは20年前(1989)に創作された詩に導かれるように、下流である上海から上流へと長江を遡る旅に出る。行く道中で出会ったアン・ルーという女性。上流に近づくにつれ彼女と摩訶不思議な再会を繰り返す。しかし、三峡ダムに辿り着いたとき、変化が起きる。

こんな人にオススメ

詩がスクリーンに浮かび上がる今作はジム・ジャームッシュの「パターソン」を観た方など特にこの映画を気にいると思います。

また穂村弘や最果タヒ、斎藤斎藤など現代詩が好きな人にも勧めたいです。(ちなみにわたしは最果タヒ書籍作品を愛するが故に映画をまだ見ることができていません...↓はわたしの本棚)

感想

この映画の素晴らしいところはフィルムで撮られた映像美です。

今作のポイントとして、ネタバレを見たり物語を先に知ったりしたとしても、この作品の芸術性は全く損なわれないとわたしは断言できます。

だから今回の試写会も30分の解説(トーク)が先にあり、その後に上映が行われたのです。今作がアートムービーと呼ばれる所以です。

ですが、一応物語そのものを楽しみにしてる人は以下注意

制作期間10年。内脚本に費やしたのは3年。そしてなんと60日間オールロケ。実際に水上で生活しながら撮影したというこの作品。

35ミリフィルムで撮られた壮大な映像。「空気人形」「ノルウェイの森」を手がけたリー・ピンビン撮影監督が携わっていることもその映像の美しさを裏付けます。(特に是枝監督の「空気人形」をまだ観たことない人、こちらも是非)


これは完全に個人的な意見ですが、ラブストーリーというのはあくまで作品の一要素に過ぎないと感じました。その理由として、特に印象に残ったシーンがあります。それは船のライトで照らされた岩礁、波で削られた断崖絶壁の美しさです。

2009年世界最大の三峡ダム建設で水位が上がり、いまや水の底に沈んでしまった長江の歴史を象徴しているような描写として私の目に映ったのです。その時、ヤン・チャオ監督がこの作品を通じて伝えたかったことが少し垣間見えたような気がしました。

またヒロイン役のシン・ジーレイさんがとにかく圧倒的に美人で、見惚れてしまいました。スクリーンに吸い込まれそうだった。

フィルムで撮られ4Kでデジタル化した今作映像の美しさは、まさしく美術館で絵画を間近で眺めるかのような体験でした。

是非映画館の大きなスクリーンで観ることをお勧めします。2月17日公開です。


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ありがとうです

きみは最高
35

マシュウ

映画

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