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「控えめなZARA」という感覚。

「好きな女性のタイプは?」

幾度となく出会う質問である。
しかし未だベストな回答を出来た試しがない。

やりがちなのは好きな芸能人で伝えてしまうパターン。

「竹内結子みたいな人」
「石田ゆり子みたいな人」

すると質問者は惜しげも無く不快感を表情に出す。
「ああ、そうなんだ」と引きつった笑顔を見せる。

気に食わないのだ。
ブサイクな貧乏人が理想を語ることが解せないのだ。

わかる。
とても素直な反応だと思う。

だからこんなパターンで答えることもある。

「優しい人かな」
「ご飯を美味しそうに食べる人」

すると爛々としていた質問者の瞳は瞬く間に曇る。
「へえ」と言いつつ、想像の域を超えない、毒にも薬にもならない答えに聞いたことを深く後悔するのだ。

確かに、そこに具体性がないと話は進展しない。
リアリティがないと面白みに欠ける。
テンプレじゃ話題が膨らまない。

これをどう解決するか。
そこで私が思いついた回答がこれだ。

「控え目なZARAが似合う女性」

これはZARAでウィンドウショッピングをしていた際にふと降りてきた感覚だ。ZARAは庶民的なファストファッションの代表格である一方、奇抜なデザインでアーティスティックな商品も置いている。

「これ着てる女イヤやな」と思う商品が多々ある。
一方で「これが似合う人とデートしたい」と思えることも多々あるのだ。

後者を私は「控え目なZARA」と呼ぶ。

いくつか紹介しよう。
まずは控えていない「激しめなZARA」から。

待ち合わせ先の公園にこの格好をした彼女が待っていたら、私はそっと後ずさりをするに違いない。何なら警察に通報する。ホテルでなら構わない。


もしこんな姿の彼女と目黒川沿いを闊歩しなければならないとしたら、私は迷わず目黒川に飛び込むだろう。水位が20cm程度だとしても、だ。逆にサーベルでも持たせれば様になるかもしれないが。


では次に「控え目なZARA」を見てみよう。

こんな女性と表参道を歩いてみたい。
そしてそのまま晴れた日の代々木公園を手を繋いで散策したい。
こう言う人からボイトレとか習いたい、吐息が感じられるぐらい至近距離で美声を聞いていたい。


いい。非常にいい。
こんな彼女がカフェで読書しながら待っているのを一生眺めたい。
部屋に入るなり押し倒されて強引にキスされたい。それから。


お分りいただけるだろうか。
もしかするとファッションに関する感覚的なことではなく、シャニカマの性癖の方が伝わってしまったかもしれない。そこについては少し反省している。

とにかく伝えたいのはこの「控え目なZARA」というニュージャンルだ。

決して攻めることを忘れていない。
守りに入らず一味違う個性を持っている。
でも、ぶっ飛びすぎてアーティスト気取るわけじゃない。

「テレビは観ません」「フランス人の好きな映画監督がいます」みたいな。
聞いてねえよ、みたいな。そんなんじゃない。

カルディコーヒーで珍しい調味料をちゃんと珍しがる感じ。
変に「ええ、ここパームシュガー置いてないの」とか言わない。

ミーハーなわけじゃなくて、好きで湊かなえは全作読んでる感じ。
変に「ジュール・ヴェルヌの想像性を知ったら他の作品なんて読めないわ」とか言わない。

ソウイウヒトト、ワタシハナリタイ。

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。