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ONARA RECORD #20「名もなき詩/Mr.Children」

今回ご紹介するオナラレコードは「名もなき詩/Mr.Children」です。

Mr.Childrenは今や日本を代表するモンスターバンドです。デビューは1989年ですが、彼らが最初にロングヒットを出したのが1993年の「CROSS ROAD」で、翌年「innocent world」で初のオリコン一位を獲得し、一気にスターダムへ駆け上がりました。
その後も第一線で活躍し続けるミスチルですが、彼らの代表曲に「名もなき詩」があります。

▼PV

▼歌詞


さて、まずはこの曲を簡単に3行でまとめてみたいと思います。

誰もが「あるがまま」という得体の知れないものに捉われている。
愛情だって、形も無い、得体の知れないもの。
だったら成り行き任せでもいい、歌を捧ぐ様に愛そう。

なんとも桜井さんらしい、哲学的な歌詞ですね。
確かに、人は「あるがまま」というワードに捉われて、本当の自分では無い「何者か」になろうとしているのかも知れません。そうなってしまった時、人は狭い檻の中でもがき苦しんでしまう。そんなアリストテレスの様に本質論へ立ち返らせてくれる名曲でしょう。


ただ、これも「オナラレコード」なのです。
一体どんな屁理屈を歌っているのでしょうか。

それは、結婚詐欺師の屁理屈を歌ったオナラレコードです。
よくオナレコには詐欺師が登場しますね。

では、本当にそんな男のオナラレコードなのでしょうか?
まずは結婚詐欺師の様子を思い浮かべてみましょう。

・28歳の男
・私立のお嬢様大学に通う女子大生をターゲットにする
・「お金はないけど、健気な男」を演じることで、お嬢様から「夢だったお店の開業資金」をせしめる
・お金を渡した直後、男は忽然と姿を消す
・同様の被害が年に数千万円規模で発生している

なんとも卑劣な男ですね。普通の結婚詐欺師ならまだしも、演じる対象にサイコパスな雰囲気を感じざるを得ません。
では本当に「名もなき詩」がこの男の屁理屈を歌っているのか、実際に見ていきましょう。

Let’s ONARA RECORD!!!


ちょっとぐらいの汚れ物ならば
残さずに全部食べてやる
Oh darlin 君は誰
真実を握りしめる
君が僕を疑っているのなら
この喉を切ってくれてやる
Oh darlin 僕はノータリン
大切な物をあげる oh

ここは女性の懐に入り込むシーンでしょう。

君と僕とは、住む世界が違う。
君が苦手な虫も、慣れない切符の手配も僕がしてあげるさ。

ああ、君は本当に高貴で可憐だ。今まで見たことがない。
まさに、僕にとって唯一の真実(お金)を握りしめている。

君は僕を怪しんでいるだろう。
だったらこの喉をかき切ってもいい。本当さ。

僕はなんら賢くない、ただのノータリンさ。
騙すなんてとんでもない、大切な気持ちを惜しみなくあげよう。

僕は1人の人間として、君が好きなんだ。


苛立つような街並みに立ってたって
感情さえもリアルに持てなくなりそうだけど
こんな不調和な生活の中で
たまに情緒不安定になるんだろう?
でも darlin 共に悩んだり
生涯を君に捧ぐ

ここは女性を説得するため、「共感」して寄り添う場面です。

どうして私の周りにはお金を目当てにする人しかいないのか、って?
そうだよね、君からしたらそう見えるんだろう。

こんな忙しない、苛立つような街並みじゃ、本当の感情はリアルにならない。
誰だって錆びついて、刺々しくなってしまうものなんだ。

でもこれが僕らの世界では当たり前。
君が驚くのも無理はないよ。

「忙」は「心を亡くす」と書くんだ。
貧しい暮らしをしてきた人間は、今ゆとりが無くなっているだけ。

何不自由なく暮らしてきた君なら、この差に情緒が不安定になってしまうことだってあるだろう。

さあ、2人で小さなお店を経営して、本当の幸せを見つけようよ。
君と共に悩み、生涯を君に捧げるから。


(中略)
どれほど分かり合える同志でも
孤独な夜はやってくるんだよ
Oh darlin このわだかまり
きっと消せはしないだろう oh

ここから、徐々にこの男の本音が浮かび上がってきます

ああ、どれほど分かり合える同士でも、一緒に居られないと感じることはある。
彼女と僕なんて全くをもって合わないのさ。あんなボンボン。

このわだかまりは、幼い頃から形成された価値観の相違によるもの。
きっと消せはしないだろう。

早く金を出させないと、いつこのアレルギーが表面化するか分からない。


いろんな事を踏み台にしてきたけど
失くしちゃいけない物がやっと見つかった気がする
君の仕草が滑稽なほど
優しい気持ちになれるんだよ
Oh darlin 夢物語
逢う度に聞かせてくれ

ここは「詐欺」をはたらく上での快楽を感じている場面です。

これまで、お金がない僕はいろんなものを踏み台にしてのし上がってきた。
でもそれで分かったことが1つある。

本当に無くしちゃいけないのは「お金」なんだ。
「お金」をもっている人間が上に立っている。資本主義の摂理だ。

だから、バカな女が滑稽にも心を許し、湯水のようにお金を差し出し始めると、面白くて仕方がない
哀れな者の姿を見ていると、とても心が穏やかになり、優しくなれるんだ。

「愛してる」「一生2人で」「お金なんていらない」
そんなバカバカしい夢物語を、逢う度に聞かせておくれ。


愛はきっと奪うでも与えるでもなくて
気が付けばそこにある物
街の風に吹かれて唄いながら
妙なプライドは捨ててしまえばいい
そこからはじまるさ

ここは男が世俗に対する、ドライな価値観を吐露する場面です。

「愛してる?」なんて薄ら寒いことを聞いてくる。なんども。
こっちまで口に出したら全てのメッキが剥がれそうだ。

だから「愛はそんな風に確かめるものじゃない、気がつけばそこにあるものなんだよ」と言って口づけをする。

誇りやプライドなんて足枷を付けてたら、いつまで立っても上には上がれない。
そんなものは街で捨ててしまう、そこから始まるのさ。


絶望、失望( Down )
何をくすぶってんだ
愛、自由、希望、夢
足元をごらんよきっと転がってるさ

ここは男が自らの人生観を語る場面です。

「絶望だ」だの「失望だ」だの、何腑抜けたことを抜かしている。
それは有りもしない幻想を「望んで」いただけだ。愚かな自分を恨めばいい。

愛、自由、希望、夢、そんなものは何にもならない。
捨てられたそいつらが、街を歩けば足元に転がっているじゃないか


(中略)
あるがままの心で生きようと願うから
人はまた傷ついてゆく
知らぬ間に築いていた
自分らしさの檻の中で
もがいているなら誰だってそう
僕だってそうなんだ

ここでは男の「哲学」が描かれています。

あるがままで、嘘偽りなく生きようとするから、人は傷ついて行く。
それは有りもしない「自分らしさ」なる幻想を抱いているからだ。

「本当の俺はこんなんじゃない」
「もっと出来るやつだ、純粋なんだ」
などと。

そんな幻想という檻の中で踠いているんだな、世の人たちは。
だから結局は何もできず、何も残さずに死んで行く。

俺もそうだった。
でも今は「夢」なんて口にしなくて済んでいる。



いかがでしょうか。
少し歌い手の立場を変えるだけで、こんなにも歌詞の意味が変わってしまうことに驚きですね。

彼が言っているのは冷たくて、暗い意見です。
ですが、必ずしも「間違った意見」では無いのではないでしょうか。

この「名もなき詩」をあなたはどう言った解釈で読みますか?

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。