オナラことわざ辞典__5_

【オナワザ】#25 悪人ひと目につかず

最初に断っておきますが、私は「バチェラー」を一話も見たことがありません。
当然、耳にしたことはあります。Amazonプライムにも入っているので、何度もタイトルは目にしましたし、友人や知人にもファンが多くいました。

彼女たちの話によると、どうも一人の男を奪い合う女同士の醜い争いが面白いそうですね。


そんな私が、たまたま「チハラトーク」を観ようと再生ボタンを押すと、バチェラーの広告が始まりました。普段であれば5秒で即スキップするのですが、たまたま見入ってしまい、最後まで見ることに。
広告の中には評判通りの光景が広がっていました。化粧をした美しい女性が「はあ!?」と顔をしかめたり、面と向かって「まともじゃ無いっていうかぁ」と喧嘩をふっかけたり、なかなか普段は見れない新鮮な光景だと思いました。


すると、広告の後半でお金持ちのダンディなおじさん(たぶんバチェラー)からこんなセリフが飛び出しました。

怖いなって思うことに関しては、『本当の愛』を見つける前に死ぬことかな

[0:36付近]


本当にそんなことを言える人がまだこの日本にいたのか、と私は感心しました。
トレンディドラマの江口洋介でも言えない、石田純一クラスのハンサムでなければ口に出せないようなセリフ。
それを一素人が堂々と言ってのけるなんて、まだまだ日本は大丈夫だ。そう思えたのは「シン・ゴジラ」を観た時以来かもしれません。

そう考えると、だんだんとバチェラーが『感動的なドラマ』に思えてきたのです。
そして、逆にバチェラーで醜い女同士の争いを見て楽しんでいる視聴者の方が恐ろしいと思えるように。

そんな私の偏見を分かち合いたく、これから皆さんの妄想を掻き立てて行きます

<注意>
もちろん、一ミリも本編は観ていないのでほとんどが妄想です。
ただ本当に興味がないのは八百万の神に誓って言える事実なので、本編を観ずにこのまま空想で持論を展開し続けます。


まず、バチェラーの気持ちになってみましょう。

僕はこれまで仕事一筋に打ち込んで来て、世間からは「成功者」と呼ばれても恥ずかしくないぐらい努力もして、結果も出した。でも、まだ足りないものが1つだけある。

「本当の愛」


そんな矢先に出演のオファー。「バチェラー」の名前は知っていたし、企画の説明を受けた時から『これは世間からよく見えないだろう』ということもすぐに分かる。バカじゃない。

でも、そこに「本当の愛」があるかもしれない。

年収や経歴も考慮された上での「バチェラー」だけど、自分をひとりの人間として愛してくれる人がいるかもしれない。
ヘリや超豪華な食事をしてくれとスタッフからは依頼されたけど、そんなものに釣られない心の清らかな運命の女性がいるかもしれない。

僕は番組(ここ)で「本当の愛」を見つけるんだ。

そんな風に何の疑いも持つことなく、堂々(ノコノコ)と撮影現場に向かっていくのです。
なんとも清らかな精神ではありませんか。まるで幕末の志士を彷彿させるような、まっすぐな志です。


次にバチェラーを狙う女性参加者の気持ちになってみましょう。

容姿端麗に生まれたものの、いまだに生涯を共にする「運命の人」には出会えていない。
思い描いているのは、幼い頃に絵本で読んだ「白馬に乗った王子様」

まず第一にお金を持っていること。それも圧倒的な財力。
これから一切の労働対価を払わずとも、悠々自適に、周りの友人よりも数ランク上の生活ができなければだめ。

第二に優秀であること。それも同世代0.1%に入るほどの超ハイスペック。
金銭などの有形価値は数十年後どうなるか分からないから、最悪の場合にも自分に何不自由ないをさせてくれるだけの自力が必要。

第三にイケメンであること。それも竹野内豊クラスじゃなきゃダメ。
なんたって夫婦は毎日顔をつき合わす存在。だったら綺麗な顔を見て目覚めたいし、綺麗な顔に抱かれたい。家に美しい海の絵画を飾る人はいても、う◯この拡大写真パネルを飾る人はいないでしょう?

その3つだけは絶対に譲れない。
だって「白馬の王子様」なんだから。

そんな風に幼稚園の年少組から一ミリも思考回路をアップデートすることなく、無垢なままここまで歳だけ食ってこれたのです。
まさにニホンオオカミよろしく、天然記念物のような女性たちでしょう。


にも関わらず!
そんな真っ直ぐな彼らを見て。

「うわぁ、悲惨…」
「超性格悪ぅ〜〜」
「本性見せた〜〜w」

と、誹謗中傷のアメアラレ。
極悪非道としか言いようがありません。

彼らは、ただ純粋に「本当の愛」を求めているだけなんです。
慎ましい限りじゃありませんか。

心が汚れてしまった我々には見えないものがあるのでしょう。
彼らだけがまだ追い続けている「本当の愛」とはそういうものです。


本当に醜いのは、目に見えるバチェラーの出演者ではありません。
顔も名前も出さずに、見世物として愉しむ視聴者なのです。

というわけで、本日のことわざはこちら。

悪人ひと目につかず

【意味】
本当に悪い人間というのは人目にはつかない存在であるということ。

【例文】
おい、バチェラーの演者を悪く言うなよ、彼らは「本当の愛」を探しているんだ。
本当に悪いのは君たちさ、悪人ひと目につかずだよ。


ちなみに残念ながら、バチェラー2代目の小柳津林太郎さんは番組で結ばれた方と破局してしまったそうですね。
「本当の愛」って何なのでしょうか。


サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。