マハーバーラタ/3-6.インドラキーラ山への旅

3-6.インドラキーラ山への旅

熱のこもったユディシュティラの話を聞いて、ビーマとドラウパディーは言葉が返せなかった。
その時、聖者ヴャーサが彼らの所へやってきた。
ユディシュティラは彼らとの話が終わりになることで安堵した。
皆がヴャーサの足にひれ伏して挨拶をし、彼の言葉を待った。
「あなた達の心の中に何が起きているか、知っています。
ビーマよ。あなたの兄が時が適切ではないと話す時、彼は真実を語っています。あなたはまるで気が短い子供のようです。
そしてあなたは敵の強さを分かっていない。ドゥルヨーダナにはたくさんの英雄達が味方として付いています。
ブーリシュラヴァスと彼の弟シャラが彼の側にいます。
あなた達の愛する先生ドローナが命を捨てる覚悟で彼の為に戦うと約束しています。
アシュヴァッターマーはドゥルヨーダナの親友です。
ラーデーヤが彼の心の支えです。彼はドゥルヨーダナに最も忠実です。
たくさんの長老達があなた達を好んでいるが、それでもドゥルヨーダナの為に戦うことを決めています。
バガヴァーン・バールガヴァの三人の弟子、ラーデーヤ、ドローナ、ビーシュマがそれぞれ神聖な武器を持っています。
ビーマ、あなたは間違いなく強い。しかし、ダルマに守られずに戦うなら彼らに殺されてしまうでしょう。ダルマから逸れてはならない。
アグニがカーンダヴァの森を焼く手助けをアルジュナがしたことを覚えていますね? インドラは敗れ、息子アルジュナの勇敢さを気に入ってこんなことを言いました。
『いいだろう。だが今ではない。シャンカラがあなたにパーシュパタを授ける時、私もあなたにアストラを授けよう』
その時が来たのです。ユディシュティラよ、アルジュナを北へ送りなさい。彼が苦行でシャンカラを喜ばせた時、パーシュパタを与えてくれるでしょう。そしてインドラが自らの住処に招き入れて彼の武器全てを与えてくれるでしょう。
アルジュナが帰ってきた時、その数年後に始まる戦争であなたを傷付ける者が誰もいないと確信するでしょう。
ビーマよ。あなたの望む戦争が始まることを確信しなさい。アルジュナに今から準備を始めるよう頼みなさい」
ヴャーサの言葉によってビーマの目には輝きが戻った。

ヴャーサがさらに続けた。
「あなた達はこのドヴァイタヴァナに十分滞在しました。カーミャカへ行きなさい。変化が必要な時です」
そう言って去っていった。

パーンダヴァ兄弟はサラスヴァティー川の畔にあるカーミャカの森へ出発した。

そこでしばらく心地よく過ごした後、ユディシュティラはアルジュナに言った。
「アルジュナ、戦争の準備を始めましょう。その時は迫っています。
ヴャーサが言っていたように、おそらく戦争になるでしょう。あなたが唯一の望みです。勝利はあなたにかかっています。
あなたは偉大なバールガヴァの弟子であるビーシュマ、ドローナ、ラーデーヤを倒さなければなりません。
今こそ北へ行きなさい。シャンカラを喜ばせるくらいの修行をするのです」
アルジュナはただただ喜んだ。

それは追放の6年目のことであった。
アルジュナは北に向かう旅の準備を整え、兄弟達やドラウパディーとの別れを告げた。しばらく離れ離れになるのは辛いことであった。以前彼がティールタヤートラーに出た時とは違い、ユディシュティラでさえ心の底から彼と離れたくないと思った。とても辛い別れであった。

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