マハーバーラタ/5-2.クリシュナの元へ急ぐアルジュナとドゥルヨーダナ

5-2.クリシュナの元へ急ぐアルジュナとドゥルヨーダナ

ドゥルパダはハスティナープラへ送る使者を呼んだ。
その使者は以前王と一緒に暮らしていたことがあるブラーフマナで、尊厳のある態度を示すことができる反面、媚びることができない性格であった。
「あなたは賢い人だ。これまでユディシュティラになされた不正行為についても全て知っている。カウラヴァ達のこともよく知っているだろう。
きっとドゥルヨーダナに話しかけても、きっと王国を返すことを拒むだろう。ですからドゥリタラーシュトラに話しかけなさい。彼がダルマを選べるように道を示すのです。
そうすればきっとヴィドゥラがあなたの言葉を後押ししてくれるでしょう。
あなたの演説によって奇跡が起き、戦争を止めることができるかもしれない。
言葉は慎重に選ぶのです。しかし、嘆願は加えず、事実だけを述べなさい。誉れ高きクル一族の祖先の行いと、彼らの行いの違いを強調することも効果的です。
しかし、それでもドゥリタラーシュトラは何もしないかもしれません。
そうなっても仕方ない。
しかし、きっとダルマの考えを持っているビーシュマやドローナ、クリパにはきっと響くはずです。
あなたの言葉がドゥルヨーダナの周りの者達に響き、彼の味方となることを恥じるだろう。
それでいいのだ。
ドゥルヨーダナは彼らの忠誠心を取り戻すために動くはずだ。今はその時間の猶予が必要なのだ。
その間にパーンダヴァ達は支援者を集めることができるのだから。
彼らを混乱させることができれば成功です。パーンダヴァ達の未来があなたにかかっています」

使者がハスティナープラへ送られた。
そしてドゥルパダやヴィラータ、パーンダヴァ兄弟は各国へ使者を送った。
もし戦争になってしまった場合に備えて、味方となる王を集めなければならなかった。

そしてアルジュナはクリシュナの助けを得る為にドヴァーラカーへ向かった。
ドゥルヨーダナはスパイからその報告を聞き、彼自ら最速の馬に乗ってドヴァーラカーへ急いだ。
二人共クリシュナの力を求めていた。

ドヴァーラカーに先に到着したのはドゥルヨーダナだった。
すぐ後にアルジュナが到着した。
「おお、アルジュナじゃないか。どうやら同じことを考えているようだな。だが、残念だったな。私の方が先に到着した。きっとクリシュナは私の味方になってくれるだろう」
「いや、どちらが先に来たかは重要ではない。クリシュナが決めることだ。私は心配していない」

サーテャキが二人の前に現れた。
「今クリシュナは寝ています。会って話したいなら起きるまで待っていなさい」
サーテャキはアルジュナを睨みつけた。まるで『なぜもっと早く来なかったんだ? ドゥルヨーダナが先に来てしまったから台無しだ!』と言っているかのようだった。

ドゥルヨーダナが先にクリシュナの寝室に入った。
部屋を見渡し、枕元の傍にある椅子に座った。
アルジュナも後に続いた。
彼はクリシュナの足元の方に立ち、腕を組んで、目を閉じて待つことにした。
静かにクリシュナが起きるのを待つことにした。

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