マハーバーラタ/5-17.ユディシュティラの決意

5-17.ユディシュティラの決意

クリシュナはウパプラッヴャに戻り、数時間休憩してから使者としての報告をする為にパーンダヴァ達の所へ行った。
ユディシュティラは彼の苦労をねぎらった。
「クリシュナ、ドゥリタラーシュトラの宮廷での出来事を聞きたい。
あなたの表情を見ればある程度の想像はできますが、詳しく聞かせてほしい」

クリシュナが話し始めた。
「ドゥルヨーダナが分別を持つように懸命に説得しようとしましたが、全ての試みは失敗となりました。
ユディシュティラ、あなたの希望は叶わなかったことは申し訳なく思います。
あなたは戦わなければならないでしょう。どうかあなたの名である『ユディシュティラ(戦いの中でしっかり立つ人)』を証明してください。戦いは避けられません」
ユディシュティラは痛みと失望を顔に浮かべてうつむいた。
「クリシュナ、全てを教えてください。起きたことの全てです」

「分かりました。皆さん、私の話を聞いてください。
私はクル一族の年長者全員が集まっている集会場へ案内されました。ナーラダなどの何人かの聖者もその場に通されました」

それからクリシュナは宮廷で起きたことの全てを彼らに話した。
ドゥリタラーシュトラやビーシュマ、ドローナ、ヴィドゥラの発言、ドゥリタラーシュトラやドゥルヨーダナへの嘆願、ドゥルヨーダナが出ていったこと、彼の母ガーンダーリーの説得、クリシュナを捕らえようとしたことと、ヴィシュヴァルーパを見せたことを伝えた。

ユディシュティラは静かにその報告を聞いていたが、クリシュナを捕らえようとしたことを聞いた時、猛烈に怒り始めた。
彼の目は激怒で真っ赤に染まった。
「あの男はあなたにそんなことをしようとしたのか! 許せない!!
もう彼には期待できない。私の心は決まった。
我が名はユディシュティラ、戦争の中でしっかりと立つ。
私の寛大さの日々は終わりだ。
皆聞いてくれ。これまでの戦いとは比べ物にならない戦争が始まる。
私は戦う!」

ビーマは愛しい兄のその言葉に身震いした。
すぐに駆け寄り、彼を荒々しく抱きしめた。
手に持っていた鎚矛を掲げて叫んだ。
「戦争だ! 戦争だ!
もうこれ以上戦争を妨げるものはない。
私の怒りからあの年老いた王の息子達を守ることは誰もできない。
アルジュナ! もうすぐラーデーヤの血でクルクシェートラの土が赤く染まる!
サハデーヴァ! あなたが憎きシャクニを殺すのを私は目撃する!
クリシュナ!! 私は神のワインを飲んだかのようだ。最高の気分だ!」

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