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「バリ人と結婚することは許せないって。」

先日2年ぶり5回目のバリ島へ行ってきました。

本当に我ながら行き過ぎだろとも思うんですけど、何気に友人と行ったのは初めてなわけで。同行者が変わるとこうも違うのかーとひしひしと感じたわけであります。


さてさて。

一応今回の目的は、サーフィン。ウブドに泊まっておいて何でサーフィンなんだって感じもしますが(いやむしろ逆か)同行者に経験者もいるということもあって、スタートがしやすかったんですよね。

今思えばこの選択がなんとも奇妙な運命を引き起こしたなあと感じるわけなんですが、ともあれ非常に楽しかったです。サーフィン天国バリに何度も足を運んでおきながら何故今までやってこなかったのだろうと後悔するくらいの激ハマりっぷり。

バックパッカー時代は(現役ですが)お金がないため、比較的体験代をケチりがちなんですよね。これはあんまりよくないことだよなーと事あるごとに思うわけで。ぐだぐだと過ごすのもそれはそれでありですが、体験なくして旅行の充実は図れないような気もします。

そんなこんなでお金のある今回の旅ではきっちりスクールでサーフィンをお勉強。途中マララガンかと思うくらいの雷祭りで中断されてしまったのは悲しかったですが、そんなとき、一人のサーファーに出会ったんですよ。

海からオフィスに帰ってきて、シャワーを浴びたら黒髪に金メッシュがガッツリ入った青年が座っていました。耳にイヤホンを挿して、iPhoneをいじりながら話しかけてきた彼の名前はAlex。他のコーチ陣とはちょっと違って少しチャラそうな見た目の青年。わたくし、東南アジアのかわいくてちょっとチャラついた男の子が大好きなので、正直ドンピシャでした。

そんな下心を隠しながら挨拶をしていると、彼は逆に下心全開でアプローチ。ほんとにこっちの人は言葉も手も全てが速い、速すぎる。こういう情熱的なところ、大好きです。日本男児ももう少し見習ってほしい。

こういう出会いがあると思うのは、彼氏と旅行に行くのももちろん楽しいけれど、こういった現地人との交流が極端に減ってしまうということなんですよねー。そのため、今回は女子オンリーだからこその旅の醍醐味が味わえて非常に新鮮でした。

ここまで一緒に行動したんだからもう友達でしょってことで、そこからはスクールではなくあくまで友達としてマンツーマンでサーフィンに付き合ってくれることに。

これがもうね、最高でしたよね。ボードのレンタル代だけでプロサーファーにマンツーマンで教えてもらえるとは。なんという贅沢。

バイクを2ケツして、一緒にお昼を食べて、買い物もして、サーフィンもして、しまいにはLa Planchaで飲むという完璧なコース。こんなん東京のどんな素晴らしい夜景デートであっても一ミリも勝てないです。特にLa Planchaは、落としたい女の子を連れて来たら一発で成功すること間違いなしレベルのデートスポット。前から好きで今回も行くつもりだったけど、それでも惚れる。

そんな最高のデートを提供してくれたAlexなんですけど、ここで非常に驚いた話があって。

というのも、彼去年くらいまで1年半付き合った日本人女性がいたらしいんですよ。こんな遠距離でよく1年半も続いたなーって感じなんですが、問題はそこではなく別れた理由に。

「彼女の家族が、バリ人と結婚することは許せないって。すっごくびっくりした。」

そういったAlexの表情はどこか物悲しく、でも驚くほど純粋で、自分でもよく分からないのですが、狂おしいくらいに愛しく感じました。

何がそうさせたかというと、「びっくりした」という言葉だったんですよね。

私たちの世界では、途上国の男性に日本人女性が嫁ぐなんて正直なかなかない話じゃないですか。もちろん事実としてはあるけれど、決して身近ではなく、「それって大丈夫なの?」って心配になるようなお話だと思います。

もし身近な友人が「バリ人との結婚を家族に反対された」と言っていたら、果たしてなんと答えるでしょうか。「反対された」ことに対して、驚くという反応はまずないんじゃないかと思います。ほとんどの人が「そりゃそうだよね」と共感しますよね。

これがまさに、価値観というか、見えている世界、常識の違いを目の当たりにした瞬間でした。

私たちの世界の常識では、「仕方のないこと」で片づけられてしまうような出来事も、Alexにとっては「衝撃」だった。そんなことがあるのかと、耳を疑ってしかたがなかった。彼にとって、人種が違うことがこんなにも人生に影響を及ぼすなんて、全く思いもしなかった予想外の出来事だったのだと思います。

それくらい、彼の放った「びっくりした」には深い悲しみと驚きが込められていて、聞いていて胸がしめつけられるくらい苦しく、切ない気持ちを覚えました。

こんなにも当たり前に、しかも日本語を介してコミュニケーションをしているのに、そこには測り知れないくらいの大きくて見えない壁がある。そう思っているのは、日本人だけで、彼らからしたらそうは見えていないのかもしれない、と。毎日様々な国のお客さんと接して、自分の国、場所を外国人が闊歩しているのが当たり前の世界で、そんな見えない壁を常に感じている方がおかしいのだと。

普段見えている世界とは全く異なるものもあるのだということを、彼には教えてもらいました。

あの時のAlexの表情は忘れられないよ。

ありがとう、大好きなAlex。日本に来られることを祈ってる。

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