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2019年上半期ベストアルバム

かねてから好きなアーティストの作品に対して思いっきり偏って評価をしがちなので、年間ベスト上位は同じ顔ぶれになりがちなのだけど、今年は新顔がたくさんいる気が。好みのラインはそんなに変わってないのだけどね!

10位 a flood of circle『CENTER OF THE EARTH

ロックバンドが得意技をぶん回してる姿ってやっぱり最高!ってなる1枚。様々な音楽的トライアルに挑んだ過去2作を経て、実験性はソロでよし!とした佐々木亮介の判断は実に潔い。ストロングポイントであるがなり声をこれでもかとフィーチャーし、どかどか転がすビート、うるせえギターと、それを支えるステディなベース、拳を突き上げるのに必要なものは全て揃ってる。これ以上も以下もない。盟友・田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)によるファン目線のプロデュースも冴え渡った爽やかな「夏の砂漠」、そしてラストを飾る表題曲の雄大で切なさも、この傑作の祝砲のように聴こえる。


9位 パスピエ『more humor

"らしさ"を1枚ごとに着実に広げていった印象だったこの10年。本作もまたその延長上にあるのだけど、その広げ方はより思い切ったものになった。緻密に作り込まれた音像は、バンドサウンドとトラックメイクの境界を融解させた自由度の高いものに。エッジーの先に待ち受けるポップさを模索して捕らえたシンセワークは耳に新しい。横揺れのビートの大々的な導入は、ナチュラルに最先端の音楽と交差している。2015年の武道館以降はキャパシティを上げるのではなく、リスナーの層を濃くする方向へと舵を切ったことは大正解であった。軽妙洒脱にお色直しを果たした新たなグルーヴ、底知れない。


8位 King Gnu『Sympa

有無を言わせぬアウラがあるバンドだな、と思う。常田大希の見た目が覇王すぎるのか、井口理の挙動がゲキヤバだからなのか。絶対的存在感に寄与しているエッセンスは様々だが、なんせその楽曲たちだ。刺激的なビートに肉体は踊り、どこか品のあるメロディは実に耳馴染みが良い。BPMやテンションの違いはあれどもこの2つの要素は全楽曲で徹底されており、バンドの美学をこれでもかと見せつけてくる。歌詞においてはとかくこの世界を疑い、何かをぶっ壊そうとするダークだけれど、確かにヒロイックな一面が。これぞ、新時代を牽引するに相応しい歌なのだろう。危険な匂いもまた美しい。


7位 集団行動『SUPER MUSIC

"あの頃の相対性理論"の引き連れていた真部侑一が首謀者として久しぶりに継続的に活動していること、それ自体が作品の強度にもつながっている。グループ名が雄弁な通り、やればやるほど適格で高水準なものに仕上がっていくのだなぁと。前作にも予兆はあったが、定型的なポップスの文法を真部的に翻訳して仕上げるスタイルが極まりつつあって。業のようにこびりつく旋律の中毒性が、斉藤里菜の平熱な歌声を味方につけて不思議な詞世界と共に迫ってくる。とりわけ「ザ・クレーター」の持つ終末観/虚無感は格別だ。 一見ふざけたようなアルバムタイトルもあながち間違いではない、ような。


6位 岡崎体育『SAITAMA

笑えるものって広まる。コミックソングは何十年も前からたくさん流行ったし、ここ数年はフェスとかライブで笑いを取れることが盛り上がることにも繋がっちゃったりする。岡崎体育はその役割を"道化師"として引き受けたうえで、虎視眈々とこのマジ歌アルバムを出す時を心待ちにしていたのだろう。絶好のタイミングで投下された本作、とりわけ後半の素晴らしさよ。氷原に佇む幻想曲「Jack Frost」、宇治のスーパーマーケットで花開く恋の歌「私生活」、自身の表現と静かに向き合った「龍」、神々しいEDM「The Abyss」。どんな音楽でも描ける男の、どうしてもやりたかった音楽たち。


5位 私立恵比寿中学『MUSiC

「アイドルのわりに曲がいい!」的な言説に対しての押し問答ってもう散々やりつくされたし、その辺を最初から圧倒的なクオリティで突破していたエビ中は、当たり前のようにやりすぎてて音楽的評価がずっと少ないのがもどかしかった。満を持してその本質である「音楽」を結成10周年を記念したアルバムに冠し、改めて堂々と提示してくれたことが何より嬉しい。その中心にあるのがメンバー6人の歌声なわけだが、少し力の抜けた発声が心地よい「踊るロクデナシ」や、艶っぽい「曇天」など、経年変化を恐れぬ新たな表情ばかり。そして6人の声の重なりは相変わらず特別な輝きを放っている。


4位 眉村ちあき『めじゃめじゃもんじゃ

1年程前に「ゴッドタン」で出会ったときには、まさかこれほど好きになるとは思いもよらず!キャラクターとか即興ソングライティングの凄さとかはもちろん反射的に「良い!」と思えたけど、1枚の作品をじっくりと味わって「良い、、、」となるタイプだと思っていなかった。どこからどう飛び出てくるのか分からないポップスの楽しさを、独自の言語で編まれるコミュニケーションを、やりたいことをすぐ形にする才能を、全身で浴びる音楽体験。番組で生まれた名曲「大丈夫」に書き足した2番で射抜いた自らのスピード感。目まぐるしい世に目を回さないために彼女は高速回転を続ける。 


3位 ナードマグネット『透明になったあなたへ

昨年リリースの「THE GREAT ESCAPE」における、切実な祈りはこの物語へと繋がった。面白くない職場のくだらない連中、つまらない飲み会はどうでもいいニュースばかりが肴になる。自分以外クソな世界で唯一マトモな自分を何とか保つ僕の、誰とも分かち合えないと思っていた価値観をそっと分かってくれたあの娘が今ここにいないこと。心を麻痺させてなかったことにする?どうしようもないことだと受け入れる?その選択は出来なくて、現状を諦めきれないから苦しいこの日々を打ち抜くぶっといパワーポップ。そこに託した13の理由ならぬ13の突破口。ほんとのままで居て何が悪いのか。


2位 サカナクション『834.194

1年1曲のペースの新曲リリース、それら全てが強いインパクトを誇っていたゆえに、アルバムとしてのまとまりは如何に?と聴く前は思っていたのだが杞憂であった。東京-札幌間の"距離間"を心理面と音楽面のどちらにも落とし込み、その両方を往来すること自体を楽曲の振れ幅へと転化させている。キャッチーの限りを尽くしたDisc1(東京盤)のこってりとした聴き心地は、Disc2(札幌盤)の五臓六腑に染み渡るような叙情を一層引き立てる。6年かけて丹念に練り上げた新しい音楽は内側も外側も全てを見せつける生々しいもの。興奮と静謐、熱狂と侘寂、どこをとってもサカナクションでしかない。 


1位 スカート『トワイライト

結局のところ、沁みる音楽が好きなのだな、とここ数年思っている。その理想的な"沁み"を常に提供してくれるのがスカートだ、とこのメジャー2ndアルバムで確信した。黄昏という感傷にはうってつけの時間帯、春と冬という寂しげな季節をモチーフにした楽曲たちは、それぞれが違う風景を描きながらもどこか共振し合い、近いニュアンスのセンチメントを積み重ねていく。君がここにいることも、ここにいないことも、等しく切ないことである、と。あの時見せた表情や、振り向いた時の髪の匂いが、今でも胸を震わせているように、この作品も、知らずに記憶に紛れ込んでいく(のだと思う)。


こ、こんなに文字数を書く予定では、、年間の時にちょっと楽できそうだ。
あと、アルバムではないのだけど、カネコアヤノの「愛のままに/セゾン」に付属されていたバンドセットのライブアルバムがチョー最高だった。この夏は「冷たいレモンと炭酸のやーつ!」を2か所で絶叫できる予定がある!

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