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10月の色々

10/6 フリクリ プログレ
評判悪かったオルタナにもちゃんとハマったのでウキウキしながら観に行った。こちらが分かりやすく続編といった形で、明快で疾走感もあり、とても良かった。オープニングから、オルタナのクライマックスに使われてた「Thank you,my twilght」を終末世界上に乗っけるチートな演出で完全に持ってかれた。諦念と絶望に満ちた美少女に向き合う少年、位相は違えど確かなフリクリイズムかと。後半は急速にディストピアが加速していくのだけど、やはりここでもピロウズの曲が素晴らしい働き。「サードアイ」とかね、ほんとフリクリのための曲みたいだったよ。眩しい世界の扉が開いたんだよ。

10/7~ 夢眠ねむのまどろみのれん酒
これはね、12月までBS日テレのキラーコンテンツでしょう。良い女が良い酒を飲み歩く、それだけの番組。酔い方が可愛い〜とかではなく、めちゃしっかりめの酒レポという、初冠番組とか思えぬ達者な仕上がり。これは末長い番組になるぞ〜と思った第2回目の前日に、夢眠ねむのでんぱ組.inc脱退と芸能界引退を発表。つまりこれがTVタレントとしての実質のラストランでもあるという。気楽に楽しめる番組から一気にアイデンティティを背負った強めの作品に切り替わってある。ねむきゅんは、この世の全女の中で一番好きなので、引退までに何かしら言葉を連ねてたい。

10/12 MONO NO AWARE “AHA” RELEASE TOUR「OHO」@福岡the voodoo lounge(ゲスト:Tempalay)
シティポップもひと段落、今の潮流はもっと何ともつかない音楽だろうという、飄々と次のシーンを担いそうな2組の対バン。Tempalayは合言葉はサイケ、ってなぐらい、夢か現か不詳な音像で蕩けさせてくれた。メンバー全員が纏ったならず者感もジャンキーでイカしてた。

MONO NO AWAREは、二ヶ月連続で観たのだけど、持ち時間の分だけ謎が深まっていくという、こちらは掴めないのに向こうはガッチリ掴んでくるみたいな奇妙な感触のライブだった。ボーカルの玉置くん、濃い顔とバキバキの目で、取りつく島のないことを冷静に発するヤベェ感じの男なのだけど、曲には不意に素朴な面が垣間見れるから良い。「DUGHNUTS」という曲がとても好きだ。最後のサビの前に、「穴のないドーナツを食べるときに 心がけるべきところは穴があったことに感謝すること」という歌詞があって。一見珍妙だけど、全編通して聴くとこの部分がめちゃ泣けてしまうのです。
2組とも、エッジーなサウンドだけどキャッチーなメロディという取っ付きやすさがある。気持ちよく酔えるライブだった。

10/14 超歌手 大森靖子「クソカワPARTY」 TOUR@福岡BEAT STATION 
ドレスコードは「自分」、ということで前日に引退発表した、一番好きな女・夢眠ねむのTシャツを身に纏い向かったパーティ。生々しい言葉と直結するように、この日の彼女はよく動いていた。しっかりした振り付けをキメることもあるが、時に何かに取り憑かれているかのように、時に何かを振り払うように、手足を振り回す彼女の姿には畏怖すら覚えた。会場全体に、「自分」をベタ塗りするかのようなパフォーマンスに対峙する、それぞれの「自分」を纏った観客という構図。このエネルギーのぶつかり合いのようなものが、この会場には確かにあった。日常と戦う非日常体験は、常に自分の手で選び取るものだと教えてくれた。


10/15 音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!
三木聡、5年ぶりの新作。大好きな監督だったけど、主題歌がやたら良い曲、あらすじがやたら熱い、クドカンでもやらかしそうな題材だな、などいらん予感が完全的中し、観たかったのはコレじゃないんや、、、と久々に落胆しながら映画館を後にした。小ネタこそメインディッシュだった頃が懐かしい、、、やはり「転々」「インスタント沼」の方向性で作り続けて欲しかった。ここ数作(「熱海の捜査官」「俺俺」「変身インタビュアーの憂鬱」)の不気味な死線またぎ系でもまぁ良かった。しかし、ロックをぶち上げて歌うっていうのはそもそもの作風としてどうなんだってねー。期待しすぎたのもよくなかった、同じパターンで「パンク侍、斬られて候」もイマイチだったし。ただ主題歌はほんとに素晴らしい出来。素晴らしいからこそ、だったらもっと、、もっとさぁ!!

10/19 MASS OF THE FERMENTING DREGS 4th Album「No New World」Release Tour@福岡UTERO(ゲスト:IRIKO)
高校時代にすごくハマってたバンド。たった3枚の音源で活動休止したけど、今年8年越しに新アルバムが出るという事件。長く好きで居続ける幸運を感じる瞬間。混じり気のない3ピースサウンドは、各楽器がそれぞれの役割を飛び越えて躍動するアクロバティックなグルーヴは圧巻。曲終わりにメンバーが息切れする音が聞こえるくらいに、とても近い場所で観ていたので、音圧をモロに体に受け、僕は仰け反り返ってしまった。ベースボーカルの宮本菜津子、ガニ股でガッツポーズを交えながら、爆音と一体になって声を発してて、とても神々しかった。

10/20 君が君で君で君を君を君を
クリープハイプのMV監督で知った松居大悟氏、今では大好きな映画監督の一人だけど、ルーツは舞台演劇らしく。主宰劇団「ゴジゲン」の作品を今回初めて観れた。ぬいぐるみに恋した男と、それを取り巻く友人たちの10年史。どうですこの匂い立つヤバみ。これを粗筋ナシにチケット売ってるから、会場は戸惑い、ざわつき、そして爆笑が1セットな異様な空間だった。

この舞台のベースになったのは、7月公開の映画「君が君で君だ」。これは突き抜けた愛情表現を煮込んだような変態映画だったけど、舞台は愛する対象そのものを押し広げ、イカれたベクトルで掘り下げていて。そもそも星野源が「恋」で歌いたかったのはこういうことなのでは?と思わせてくれた。そんな説得力を持たせていたのは、前半ではただのくまのぬいぐるみとして登場した「ユリ」が、後半に女優さんが演じるという簡単な仕掛け。ユリを演じるのは舞台女優の鈴政ゲンさん。彼女の愛らしい声、振る舞い、広島弁が、ぬいぐるみに恋する状況を、切迫したホンモノの感情として認識させてくれた。映像作品だとやや無理ありそうな演出でも、舞台だと確かなものとして感じさせてくれる。小劇場での観劇は初めてだったけど、その醍醐味をど真ん中で味合わせてくれた。クライマックスでどうしようもなく胸が熱くなったのは、変態の皮を被った普遍的な思いの詰まった作品だったからだろう。

10/21 吉澤嘉代子「女優姉妹」リリース記念インストアライブ@タワーレコード天神パルコ店
ずっと観たかった彼女のライブ、「残ってる」のバズ効果でかなりの集客となってたけど、整理番号16番引き当てて間近での鑑賞となった。運良し。とてもたどたどしいMCで大丈夫かしらと心配になる一方、音響トラブルの合間に観客に話しかけもたついた空気も自分のペースに引き込む、なかなかナイスな女性だということが分かった。ショー性の強いライブをするイメージがあり、SSWにしては珍しくあまり弾き語りの印象がない方だったけど、エモーショナルで良いライブだった。3曲だけだったけど、声色の憑依力みたいなのを存分に味わうことができた。いやしかし、やはり、ツアーも行きたい。来年2月。

10/21 モーモールルギャバンTOUR 2018 『Yeahhhh!! ムチャしやがって』@福岡Queblick(GUEST:挫・人間)
これは今年観たライブの中でも1、2を争う濃いカオスが存在してた。サブカルチャーのアクを摂取し、そのまま肥大化させてアウトプットする挫・人間、ルサンチマン絶叫大会になりかけてた折に、突然のアイドルソングを投下し、あれ?バンドにケチャ打ってる、、、と惑わせてきた。とはいえ、歳を重ねるサブカルクソ野郎は悲哀を伴うもので、特に「ゲームボーイズメモリー」における、ポケモン言えるかなの描写は胸に痛い。最終的にわかりみしかなくなって辛かった。
メインのモーモールルギャバン、5年半ぶりとかに観たのだけど、パフォーマンスのレベルが全く変わってなくて感動。歴年のコクのようなものを発してて、あの頃J-POPと呼ばれても「?」だったハイパーな楽曲の数々も、これぞJ-POPだ!と納得できるくらい自分の中にしっかり浸透していた。久しく聴いてなくても、瞬時に反応する体があった。

10/27 サマータイムマシン・ワンスモア
10/28 サマータイムマシン・ブルース

京都の人気劇団、ヨーロッパ企画の37回公演。上田誠の脚本には、映画、ドラマ、アニメで接してきてたけど、遂にようやく醍醐味である舞台に。2003年のヒット作「サマータイムマシン・ブルース」と新作この「サマータイムマシン・ワンスモア」の交互上演を、日跨ぎで観た。「ブルース」からそのまま15年経った世界を描く。「ブルース」は映画化もされてるし、日本のSFコメディとしても屈指の戯曲。映画では削れてたキャラクターが物語により膨らみと青春感を持たせていたのが印象的。色褪せないエバーグリーンでハッピーで少し切ない笑い。
そしてより楽しみだったのは続編の「ワンスモア」。まず、完璧な円環だった「ブルース」のその先を描こうとしたことが凄いと思うのだけど、その仕上がりが「ブルース」の円環を押し広げるものだったのも驚愕だ。「ブルース」を超越するスケールとくだらなさ。「ブルース」において用いられた特異な用語を新解釈で展開していくネタも、爆発力が桁違い。そして何より、大学生の無為な日々に、無為なりの奥行きが生まれ、さらにキャラクターに愛着が湧いていくのが素敵だった。映画版は2005年に公開されたから、2020年にはこの時系列に追いつくことになる。本広監督、いっちょやってくれませんかね!

ちなみにヘッダーの画像は、僕が今月作った箱庭。ドラマとかでもよく見るような、箱庭療法を実際やってみて、心理士さんに診てもらった。すごく見透かされたような、いやむしろこう見て欲しかったような、不思議な気持ちになり、その後どういうわけかめっちゃ風邪を引いた。分からないことだらけだ。

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