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岩松了「二度目の夏」 @久留米シティプラザ ザ・グランドホール

M&Oplaysプロデュース、岩松了の作・演出による舞台「二度目の夏」を観た。岩松了と言えば、あの飄々とした口調で小憎たらしいかわいいオジサンを演じさせたら日本で右に出るものがいない名バイプレイヤーなわけだけど(今も「いだてん」で岸清一をキュートに好演中ですね)、もともとは劇作家として世に出た人らしく。僕は、監督作である「たみおのしあわせ」しか観たことがないのだけれど、この機会に、と久留米まで足を運んだ。東出昌大、仲野太賀という「桐島、部活やめるってよ」なキャストも魅力的でね!

ある会社の六代目・田宮(東出昌大)とその妻・いずみ(水上京香)、多忙な田宮に代わっていずみの遊び相手を任されている田宮の後輩・北島(仲野太賀)、それを取り巻く家政婦、同僚、隣人によって展開されていく、"嫉妬の物語"。ふしだらな噂が立ち、ドロドロとした流れに、、というような単純なものではなく、不可思議なバランス感でそれぞれが成立し合っている(それは閉塞的でもある)状態が、まさに崩れんとする瞬間を捉えた不穏な作品だった。最初は爽やかに見えた別荘の庭セットが、どんどん不気味に見えてくる。

すごく分かりやすいあらすじなのに実際観てみると舞台上に居る人物の感情の動きにグラグラと揺さぶられ、迷い、行く末は霧の中、、、という非常にダークな余韻を残してくれた。複数の"嫌気"が、同時進行で立ち上がっていく、その交錯によって物語の輪郭が象られていくのが見事だった。それらの糸口を掴むことに凄まじい集中力を要するし、負の感情を浴びるとどっと疲れるのだけれど笑。生で作品をぶつけられる醍醐味。どうしても話の流れをキャッチするまでに時間が掛かるけれど、掴んでからは夢中になっちゃう。

東出くんは時に凛々しく、時に弱弱しい子犬のようで。太賀はちょいと腹立つ楽しい男の"空虚"な部分まで演じきっていた。4月に「世界は一人」で観た、菅原永治さんのあのどうしようもない役は、思わずため息をついてしまう程だった笑。あとはやっぱり、片桐はいりさんですか!彼女を走り回らせたら当然めちゃくちゃ面白いな、と。日本最高峰コメディエンヌ!もちろん岩松了さんは自分の持ち味をたっぷりと。作風はヘヴィだけど、登場人物はユニークだしおかしみたっぷり。故につけいる隙がたっぷりなんだよな、、

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