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平成のベスト映画31

割とすんなり選べた。50音順。プラス、1個は映画を観るという面白さを教えてくれた恐らく生涯のベスト映画。どうしてもドラマ編とクリエイターは被ってきちゃうな、好きな台詞回し、好きな笑いの取り方、好きな気持ちの高め方、というのがこの25年間の人生で固まってきたのだな、と。令和には多分同世代の作り手がいっぱい出てくるんだろうなぁとワクワクしている。

1.アフタースクール

寡作の名監督・内田けんじによる緻密なストーリー展開。色んな人におすすめしやすい。ラストどんでん返し自体もとても痛快なのだけど、ちゃんと物語として面白いのが大事。堺雅人が3番手くらいで出てる必然性がある。

2.歩いても 歩いても

社会派な是枝監督も良いのだけど、こういうささやか、だけどもグサっとくる作風が凄まじい。「家族」という存在を、話し言葉のリズムで何気なく、深くエグく描いている。許せないことは、許せないままでいいんだよな。

3.ある優しき殺人者の記録

心霊&ニコ生界隈では著名な白石晃士監督が韓国で撮影したワンカット(風)映画。ある男がめちゃくちゃな状況設定で凶行を続けた挙句、色々と超越した結末に辿り着く怪作。『光源』や『Obscure Ride』とも共振する世界観。

4.あん

河瀨直美監督の映像美と調和するような樹木希林の佇まいにただただ見惚れるラストカット。ハードな題材であり、やりきれない思いを募らせてしまう作品だが、過剰に感動を煽るわけでなく、静かなタッチで胸を打つ。

5.1980

ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督の初監督作。三姉妹がずっとすっ転び続けてる、アクの強いスラップスティックコメディ。本格ブレイク直前の蒼井優の眩しさと、喋るだけで面白い犬山イヌコの存在だけでも見る価値あり。

6.溺れるナイフ

山戸結希監督のメジャーデビュー作。彼女特有のリリシズムが光る天上界のボーイミーツガール。青春のその先に待つものをガシっと掴んでいた。菅田将暉と小松奈菜をあんな遠くから撮る?!っていうシーンがお気に入り。

7.回路

インターネット黎明期ならではの設定で黒沢清監督が生み出したジャパニーズホラー、と見せかけて、やはり世界の終末へと到達していくのです。霊を出す、でなく、人を消す、という方法で恐怖を演出してる前半がイケてる。

8.亀は意外と速く泳ぐ

ゆるいペースでスイスイとどこへ行くやも知れぬ、ほっこりスパイ映画。頭がとろけそうになる程に、不条理で身も蓋もない台詞が押し寄せてくる。ふせえりが歌う「あずきパンダちゃ~ん」っていう一節が今も残響している。

9.川の底からこんにちは

満島ひかり演じる主人公のキャラクター造形が素晴らしくて。ダルそうで、何か薄っすらずっとイライラしてて、でもなんかやるしかないなぁと思ってる。とても人間なのだ。物語らしくないのよ、どこまでも人間だな~って。

10.監督失格

この作品のせいでドキュメンタリー映画に対しての恐怖が芽生えてしまった。それくらい、この一撃にぶん殴られた。なぜあの場所にカメラがあったんだろう、と震えてしまう。大切なものを失う、ってことに怯えてしまう。

11.キサラギ

ワンシチュエーションと想像力があれば、こんな小さな空間でも強靭な映画を生み出せることを教えてくれた。古沢良太はこれが凄すぎて、ね。大枠の推理劇も最高だけど、時折放り込まれるしょうもない台詞回しも大好きだ。

12.桐島、部活やめるってよ

小説と同じく群像劇でありつつも、思いっきり映画部に肩入れした改変により、青春ゾンビたちを橋本愛沼へとズブズブ引き込んだ罪深き傑作。あの名曲の歌詞を借りれば<何もない感覚 登っていく階段>というような作品。

13.ぐるりのこと。

人の生き辛さにずっと寄り添う橋口亮輔監督、その温かな眼差しにずっと涙がこぼれそう。リリー・フランキー、初主演とは思えない風格と、あの飄々としたテンション。崩れ落ちそうな木村多江との結びつき方が美しくて。

14.クワイエットルームにようこそ

松尾スズキ原作・脚本・監督、という濃厚な一作。精神病院の閉鎖病棟を舞台にしたブラックギャグに満ちた喜劇。不謹慎という概念のない世界でザクザクと人間ってこういうもの、を暴いていくので、おおぅ、、、ってなる。

15.この世界の片隅に

アニメ映画ならではの柔らかくほわっとしたタッチと、凄惨な描写。そのどちらもが強烈なクオリティで迫ってくる。当たり前にあるべき日々、というテーマの作品で、能年玲奈がスクリーン復帰した意義はあまりにも大きい。

16.サッド バケイション

青山真治監督による北九州三部作の完結編。連作だけど、これ1本でも十分に楽しめる。ハードボイルドな赦しの物語。親子の縁みたいなもののどうしようもなさよ。唐突にめちゃくちゃヘンな終わり方するのでびっくりする。

17.サマータイムマシン・ブルース

ヨーロッパ企画・上田誠脚本、本広克行監督による、ひと夏のタイムスリップコメディ。とにかくワンルームのSFとして非の打ち所がない構成と、脚色によってより強く打ち出されたラブコメ感も淡くて良い。続編を希望。

18.ジ、エクストリーム、スキヤキ

海に行き、スキヤキを食べて帰ってくる男女4人の映画。掴み所をくれよ、と言いたくなる映画だけど、観終わると少し進化できてる気が。時折挿入される森の中のとある場面をどう捉えるかで解釈も変わってくるのだけど、、

19.少年メリケンサック

宮藤官九郎が監督まで担当する作品って、行き過ぎるところがあってたまにアカン時があるのだけど、これはそのテンション芸みたいな所にフォーカスしたから大成功だった。後半、ジミーが普通に喋り出すとこ吐くほど笑った

20.ジョゼと虎と魚たち

「僕が逃げた」っていうセリフがずっと僕の中でこだましてるんよな、あれは逃げたってことなのかな、と自分の事とも照らし合わせて、色々考えてしまう映画。僕には旅に出る理由なんて何ひとつないんだけどな、、、

21.ダンスナンバー時をかける少女

どインディー作品なのだけど、鑑賞後、余りの衝撃で走り出したくなってしまった。ある人に向けられたラブソングが、時空を超えて誰かの元に届いてしまい、駆け出すストーリー。想いは次元の壁も突き破っちゃえるんだよ。

22.紀子の食卓

「あなたはあなたの関係者ですか?」という不気味で根源的な問い掛けを、レンタル家族と自殺サークルという二輪を並行して描いたザッツ園子温FILM。吉高由里子が終盤見せる嗚咽交じりの芝居に目が回るほど痺れた。

23.パコと魔法の絵本

良い原作と出会えた中島哲也監督、の好例。ビビッドで外連味たっぷりのキュートな演出と、真っ直ぐに心に飛び込んでくる優しいメッセージ、こういうのもたまには撮って欲しいんですがね!役所広司はいつだって最高。

24.花とアリス 

やっぱり岩井俊二は少女を撮るべき男なんですよ、、と思うほかない名作青春映画。と言いつつ、その"ほつれ"を描いているという点もキュンとなる。鈴木杏の戸惑いと苛立ちの表情、蒼井優のバレエシーン、、永遠じゃん、、

25.みなさん、さようなら

中村義洋×濱田岳の蜜月関係、その到達点とも呼ぶべき作品。前半は、何だか妙な設定が笑いを誘うコメディなのだけど、ちょうど半分ぐらいに訪れるネタ明かしで一気に"救い"へとすがりつきたくなる。異端なる人生ドラマ。

26.モテキ

ドラマ編に続き、やはり映画版も外せない。「モテキの長澤まさみみたいな女」っていうジャンル分けが誕生した。そして、実在するんのよね、ああいう女って、、あと、麻生久美子みたいな女も。本当にいるんです、みんな。

27.横道世之介 

「え?」「え?」っていう、聞き返し合うシーンっていうのが大好物なのだけど、そういう良い関係性がぎゅっと詰まってる。何でもないことがふと記憶の柔らかいところに繋がる瞬間。突如訪れるラストシーンに涙が止まらなかった。

28.パプリカ 

平成ベストTVアニメを選ぶなら「妄想代理人」を選びたいくらいには今敏監督が大好きなのだけど、やはりこれは選出せねばなるまい。カオスに身を委ね、頭をぐわんぐわんに揺らされながら、狂気に迫っていく現代アート。

29.ゆれる

血縁におけるコンプレックスっていう題材は、凄く刺さるものがあって痛々しくも観てしまう。ラストの「うちに帰ろうよ」というオダギリジョーの弱々しい叫びと、それを見つめる香川照之の枯れきった微笑みがさぁ、、

30.リンダ リンダ リンダ

文句なしの青春映画の金字塔。どう考えたって説明不足なのに、彼女たちの会話を聴いていればどんな女の子たちなのかをすぐ把握できる人間描写、それが果ての脇役(そう、若き日の松山ケンイチ)にまで及んでるからヤバイ。

31.THE有頂天ホテル

自分の記憶が正しければ、初めて自らの意志で観た実写邦画だったように思える。今にいたるまで、人生のベスト作。わちゃわちゃとした喜劇であり、抜群のテンポで配置されたカタルシス。これこそが僕の思い描く映画の姿。

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