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自由ってなんだ~4.15 ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2019「ホームタウン」@ Zepp Fukuoka(ゲスト:Tempalay)

2018年末にリリースされた9thアルバム『ホームタウン』、そのレコ発ツアーの福岡公演その1。3~4月はライブハウス編で各地に注目株の若手アーティストをゲストに迎える形式。これまでのツアーでもSPECIAL OTHERS、avengers in sci-fi、SISTER JETなどを世に出ていない時期からフックアップしてきたアジカン。僕自身、クラムボンやcero、Suchmosをゴッチのブログやツイート、ラジオで知ったので、信用できる情報源なのだ。ゴッチが設立した新人賞だったりが我々の聴く音楽を豊かにしているのは間違いない。

福岡のゲストはTempalay。インディー界隈ではとっくに人気バンドな彼らを前座で観れるとは贅沢すぎる。インスト曲「誕生」のノイズをギュワーンと引き延ばして「素晴らしき世界」へ。とろんとした幕開けだが、徐々に昂っていくグルーヴ、掴みとして完璧!その後も、タイトとルーズを往来するような楽曲を次々と投下していく。正直、フロントアクトなので20分ほどの出番だと思っていたのだけど、終わってみれば35分も経っていた。オマケ扱いせず、イベントの尺でバンドをプレゼンする機会を与えるアジカンの器よ。

突き刺すような「SONICWAVE」からサンプリングボイスの繋ぎを経て「どうしよう」のまったりと甘い浮遊感へと取り込んでいく。昨年の話題曲だけあり、演奏後に歓声が。すっかりZeppのフロアを味方につけていた。「いずれはアジカン君と呼べるように」「アジカンをゲストで呼べるように」とボーカルの小原綾斗は不敵な宣言(ゴッチは後で「尖ってたね~」と微笑んでいた)を言い放っていて最高。若手はこうでないと!雄大な「Last Dance」、たっぷり間を取った「革命前夜」で完璧な自己紹介をキメてのけた。

20分ほどの転換時間の後、アジカンの登場である。チカチカと電子音が鳴り響き、それがハイハットの音と気づく。「UCLA」だ。じんわりとしたメロディに身を委ねながら、1サビ前のキメでバッと手が挙がる。スケールと爆発力を兼ね備えたオープニングだ。歌詞とシンクロするようにオレンジの光が妖しく輝く「モータープール」、タイトル通りの高揚感が溢れる「ダンシングガール」と、『ホームタウン』からの楽曲が次々と披露される。新曲なのにまるで実家のような安心感、それはライブでも健在だ。凄いアルバム。

「自由に楽しんで」という朗らかなMCの後、タイトル曲「ホームタウン」、そして「ループ&ループ」と新旧のパワーポップアンセムが並べてプレイされる。この日、僕は前から2列目というかつてない良位置を獲得していて、僕が世界で1番好きな「ループ&ループ」のギターソロを目の前で拝めて建さんありがとう、の気持ちで溢れちぎれそうだった。「荒野を歩け」でもうエモ極まってちょっと泣いていた。おじさん達でも、近くで観ると感動はひとしお。というかおじさん達の底知れぬ輝きに触れて参りそうになる。

力強く掻き鳴らされるイントロから「ライカ」である。ツイートで仄めかされてはいたけど、ホントに演るとは。個人的には2007年に福岡国際センターで開催された「F-X」で初披露された時に聴いて以来なので実に12年ぶり。そして何せ驚くのはアルバム曲なのにその異様な盛り上がりっぷりだ。サビの咆哮はほぼ観客任せで成立していた。それは続く「鵠沼サーフ」もそう。彼らの曲は勝手に僕らの中で育って、この一体感を生み出していると思うと「演奏が下手」という評価を喰らった↓のアルバムも報われることだろう。

RIJFで「鵠沼サーフ」を披露した際に何万人もの"B面地蔵"が出てしまったエピソードを懐かしそうに話して、中盤へと突入する。アンニュイなムードを携えた「サーカス」の<寒空>を「夕暮れの紅」で染め上げていく構成の妙味!「夕暮れの紅」、こちらもレア曲だが全編を貫く横揺れのリズムは、先ほどのTempalayとの共振も見せつけるのに一役買っていた。シモリョーの鍵盤で彩られた今回のバージョンは、より現行のシーンの空気感に接近、アップデートを続けるアジカンの姿を2004年の楽曲を通して思い知らされた。

「クロックワーク」で再びアルバムの世界へと引き戻し、「レインボーフラッグ」ではクラップ部分を長く取って高揚感を煽る。これぞライブの醍醐味、ここでしか味わえない感覚だ。本編最後のMCでは「大人になったらロックから離れちゃう人多いけど皆はそうはならないでね」と笑わせながらも切実な思いが。「俺らが辞めなきゃ大丈夫でしょ」という頼もしい喜多リーダーの発言、痺れた。その後、顎にタオルの切れ端がぶら下がってヨダレに見えて笑われてしまっていたけど、それでこそ僕らのリーダーである。

ツアーのレギュラーメニューに加わるのは超久々な「迷子犬と雨のビート」が終盤の口火を切る。聴いていると心踊り、ニコニコしてきてしまう曲だ。そんな温かさを引き継いで「踵で愛を打ち鳴らせ」で至上の多幸感へとぶっ飛ばす。「頭で考えて楽しい、踊ろう!とはならない、絶対に体が動くのが先だから」と先ほど語っていたゴッチ、彼自身が1番ウキウキと体を揺らすから観てるほうもつられちゃうよ。続く「スリープ」の<手垢がついてベタベタの愛を振り回せよ>というフレーズも優しく光りを放っていた。

「さようならソルジャー」が「Re:Re:」「アンダースタンド」という"アルバム曲なのに大人気曲"な並びに置かれていたのが嬉しかった。この曲もそのポジションになって欲しい、アジカンにしか描けない祈りがロックンロールの快楽に映し出されている。そしてポロロンとギターを爪弾きながら、本編ラストの「ボーイズ&ガールズ」へ。ライブで聴くのは初めてだったのだが、ゴッチの表情を間近で見ながら聴けて本当に良かった。彼は<We've got nothing>を全身で叫んでいた。我々に、そして自分たちに届くようにと。

アンコールでは「転がる岩、君に朝が降る」と「今を生きて」。ライブでももう何度も聴いた曲だけど、いつでも穏やかな気持ちへと運んでくれる。最後のMCでは「自由」についての話。「日本人はシャイだから自由にして、って言われるとどうしたらいいか分からない。でもどうにかして自由になっていけるといいよね」という旨の話で、結局は「健さんは海外のバンドのライブに行くと日本人離れした大はしゃぎをする」というオチになっていたのだが、「自由」の話は確かに納得することも多かった。

定型的なノリをすることだってある種の自由かもしれないし、人生なんかはある程度、制限されていた方が安定した方向に進めるもので。どちらかと言えば保守的な僕は自由を謳歌している人間ではないのかもしれない。だけれども、この日はそんな僕も、僕なりの「自由」なダンスを踊り、「自由」に歌い騒いでいた。こういう日があると、やっぱり気持ちが良いものだ!アンコールを締めたのは新曲「解放区」。ポエトリーリーディングも取り入れており、曲中何度も「自由とはなんだ」と呟くバースがある。ゴッチですらいまだに探している。この国で辿り着ける自由、音楽と共に見つけたいよな

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