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8.11 超歌手・大森靖子 2019 47都道府県ツアー「ハンドメイドシンガイア」@佐賀RAG・G

大森靖子メジャーデビュー5周年を記念しての47都道府県ツアーの佐賀公演を観た。浅からぬ縁のゆるキャラ、ガタゴロウが入場ゲートを彩ってくれていたのも佐賀らしい。しっかり観たのは初めてだったけどワラスボ抱えてるのね。ライブ本編でも登場して、「7:77」をゆるナナちゃんと披露してくれていたよ。その後はひとしきりすべり倒して帰っていったけど、「ZOC実験室」を「ガッタ実験室」に変えて退場曲にするVIP対応。愛されているね!

1曲目が始まる前に叫んだ「ミッドナイト清純異性交遊!」の声が少し掠れていておや?と思う。やはり過酷な全都道府県ツアー、そういう日もあるだろう。ハイトーンの箇所はややキツそうだったけれど、楽曲のエネルギーは損なわれない、というより決して損なわさせないという気迫を感じる。「ドグマ・マグマ」のシャウトも、「非国民的ヒーロー」の煽りも、この場にあるもの全てを動員させてライブをゴールさせるんだ、という凄みがあった。

どんどんファストになってる気がするバンドver.の「VOID」は、大森さんが「自分が峯田さんに言ってほしいことを描いている」と公言している曲で。その次に峯田和伸と共作した「Re:Re:Love」が来るんだから堪らないね!2人の出会い方とか時空の超え方とか、世紀のメイクドリームだと思うけれど、そこに大人の影が感じられないのが本当に美しい。彼女のここまでの歩みを濃い歌で証明し続けるこのライブの中でも、一際輝いてる楽曲だった。

活動の原点である弾き語りも長尺でやってくれた。直立不動にならざるを得ない時間、その姿勢じゃないと曲を受け止めきれないのよね。静謐に、それでいてカオティックなギタープレイは彼女の呼吸そのもののようで、ものすごく生命と向き合っている感覚になる。まずはZOCの「family name」カバー。これ本当に素晴らしくて!ZOCを見つめる大森さんの目線がそのまま歌いっぷりに表れていた。ジャキジャキと弦を掻き鳴らす音も心地良かった。

2012年から6年間、佐賀に住んでた僕は大森靖子のCDをほぼ全て佐賀のタワレコで揃えたので、それらに入ってる「hayatochiri」や「パーティードレス」などの懐かしい曲は刺さった。鬱屈とした大学生活に、価値観を揺さぶって現れたのが大森さんだったから、とても大事な人。「生kill the time 4 you、、」も沁みたし、新曲だと思っていた曲は即興で。「婦rick裸にて」聴けるなんて思っていなかったよ!静かだけど、感情はやかましく動いてた。

「きもいかわ」からバンドメンバーが再登場。この頃には、喉の不調など微塵も気にならなくなっていった。自身の業と向き合い、表現し尽くした「死神」のバンドイン以降の絶唱など、むしろややハスキーな声が振り切れたものにしていたように思える。「死にたい気持ちを私に会いたい気持ちに変えて欲しい」という前口上から鳴らされた流麗な「流星ヘブン」に続く曲順など、毎回セトリが変わっているライブとは思えない構成力にも唸る後半。

「アナログシンコペーション」は屈指の名曲であると思う。他者と自分、その間にある凹凸から生まれるイメージを抱きとめながら、大森さんの指揮に合わせて大いに歌った。アコギの背面を鏡に見立てて観客席を映し出した「マジックミラー」の圧倒的肯定感から、本編ラストの「LOW hAPPYENDROLL」をギターのあーちゃんとデュエット。特別な少女というモチーフ、大森靖子を循環させ続けるかのような途方もないスケールだった。

終了とともに、観客に完全に任せた「オリオン座」の大合唱もグッときてしまう。いくつもの孤独がそっと一つの旋律に声を合わせる時間はとても愛おしい。合唱の終わりと同時にアンコール。最後は「絶対彼女」。いつ聴いても、<君もかわいく生きててね>で胸が締め付けられる。自分の中の、無意識下でのかわいいへの希求が拡張される気分になるからか、未解明だけど、そのままでいい。大森靖子には、未知なる価値を突きつけ続けて欲しいのだ。


8.11 超歌手・大森靖子 2019 47都道府県ツアー「ハンドメイドシンガイア」@佐賀RAG・G セットリスト

1.ミッドナイト清純異性交遊
2.ドグマ・マグマ
3.非国民的ヒーロー
4.JUSTadICE
5.VOID
6.Re: Re: Love
7.7:77(wガタゴロウ)
8.ガッタ実験室(ZOC実験室)
9.family name(弾き語り)
10.hayatochiri(弾き語り)
11.生kill the time 4 you、、♡(弾き語り)
12:即興弾語り
13.パーティードレス(弾き語り)
14.婦rick裸にて(弾き語り)
15.5000年後(弾き語り)
16.きもいかわ
17.死神
18.流星ヘブン
19.アナログシンコペーション
20.マジックミラー
21.LOW hAPPYENDROLL --少女のままで死ぬ--
22.オリオン座(合唱)
-アンコール-
23.絶対彼女


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