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新型コロナウイルス対策委員会の自分がコロナ陽性、ホテル隔離生活を経て感じたこと。


11月26日にPCR検査の結果で、新型コロナウイルス陽性となった。
そこからホテル隔離生活を経て、12月4日に解放されて今に至る。

ハローワールド。外の空気はなんておいしいんだ。

病院で働く自分としては、病院スタッフへの申し訳なさと病院で蔓延したらどうしようという不安と葛藤の日々だった。

病院の迅速な対応のおかげで、僕以外の感染者は今のところでていない。
まさに不幸中の幸いだ。

コロナになったことを堂々と記事にするのはどうかと、とても悩みましたが、自分自身もメンタルもかなり削られた出来事でしたので、自戒の念も込めて、体験談をまとめました。「コロナ疑いかも?」と不安になられた人に、少しでも届けば嬉しいです。

また、この情報はちゃんと発信すべきだよねと背中を押してくれる、理解ありまくりな代表と院長に感謝を申し上げます。

新型コロナウイルス対策委員会の私


僕は小さな病院の人事部門の責任者を務めている。同時に新型コロナウイルス対策委員でもある。うちは慢性期の病院(高齢者の患者さんを中心に診る病院)なので、介護施設と同様に院内で発生をしてしまうと入院患者さんの命に関わる。

なので、病院内に「コロナウイルスを持ち込ませない対策」と「持ち込んだとしても蔓延させない対策」の2本柱で、2020年4月から職員全員で感染防止を考え、実行してきた。

うちのスタッフは真面目なスタッフが多く、コロナ対策委員会の指示通り、しっかりと対応してくれていたと思う。おかげで、2020年10月時点で感染者は0だった。

これは皆の頑張りというほかない。感謝感謝だ。

一般財団法人ひふみ会

(当院のコロナ対策)


そんな中、僕が病院で第1号の新型コロナウイルスの感染者となった。
申し訳なさすぎて、穴があったら入りたいぐらいだ。

言い訳を全開でしておくと僕は4月以降、必要時以外はほとんど外にでかけていない。外食のお誘いも極力断り、必要最低限にした。毎日の検温、マスクの着用、手指消毒をかかしたことはない。家にかえれば毎日真っ先にお風呂へと駆け込んだ。

結局、感染経路は不明だった。どんなに気を付けても、かかるときはかかる。そのことを自分の身で体験をした。

体調の異変。コロナへの不安

体調の異常を感じたのは、11月24日の夕方だ。その日の朝は36.7℃、お昼も36.8℃だった。今思えば、朝から少し体調が悪いかなと思う部分はあったけど、それでも特に症状はなかった。

病院のスタッフに「加納さん顔悪いよ」と夕方に言われて、夕方病院で体温を測ると37℃だった。その時に初めて、寒気を感じた。嫌な予感がしたので、すぐさま自宅へと帰宅した。

家に帰って、体温を測ると熱は帰って38.6℃まで熱が上がっていた。新型コロナウイルスの可能性を疑い、まずはコロナ疑いの際の受診ルートを確認をした。

「新型コロナウイルス 疑い 連絡」と検索をすると次の図を発見した。

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(参照:渋谷区ホームページ 新型コロナウイルス感染症 相談の流れ)

なんとわかりやすい。

すぐさま、東京都発熱相談センターに電話をした。
時刻は20時ぐらい。

電話すると東京都発熱相談センターにすぐに繋がり、担当者が親身に相談にのってくれる。現在の体調、これまでの行動履歴、周辺にコロナ疑いの人がいないかを確認され、最後にPCR検査を実施している周辺のクリニックを3つ紹介してもらった。

既に、クリニックは対応時間外だった。念のため、その時間でも対応している救急外来でかつPCR検査を実施している病院に電話をしたところ、「今の段階で検査をしても、逆に適正な結果がでないかもしれない」とのことだったので、PCR検査は次の日の朝に受けることにした。

僕は彼女と同棲をしているので、すぐに寝室を分け、僕専用の部屋を作り、隔離した。それまで来ていた服は、ゴミ袋に入れて密封をした。

極力、彼女と接する機会を減らしたつもりではあるけど、お風呂やトイレなどの共同スペースもある。ここの導線を完全に分けるのは無理で、なかなかの限界だと思う。

現在の状況をすぐに病院に連絡をし、院長に電話での問診をお願いした。その段階では、風邪なのか、インフルなのか、コロナなのかは判断できないので、次の日の朝にクリニックに受診をして、PCR検査を受けることで合意を得た。

症状は熱と寒気で体のだるさが少しあるぐらい。上気道症状と味覚障害、嗅覚障害はなかった。

その日は、しんどさと不安からほとんど眠ることができなかった。

クリニック受診とPCR検査

次の日(11月25日)の朝に熱を測ると、38.9℃だった。症状は昨日と全く変わっていない。むしろ症状が悪化しているぐらいだった。

昨日教えてもらった1つのクリニックにすぐに電話をした。新型コロナウイルス疑いの場合は、導線確保のために事前予約が必須だ。

電話で午前10時の診療予約が取れたので、指定された時間にクリニックに向かった。そこで、他の患者さんとは少し離れた席に座り、奥の部屋へと通された。その時の体温は39.0分だった。

医師の問診を経て、自分が病院に勤務だということを伝えると、「うちで受けれる検査は全部受けましょうか」と言ってくれた。中には検査をさせてもらえないケースもあるので、この対応はとてもありがたかった。

結果的にインフルエンザ、血液検査、PCR検査の3つの検査を受けることになった。インフルは鼻腔、PCR検査は唾液で取り、全て看護師さんが対応してくれた。

ベテランの看護師さんで、嫌な顔一つせず、僕の症状を気遣いながら、対応をしてくれた。寒そうな顔をしている僕の姿を見ては、ひざにタオルケットをかけてくれた。神対応。

インフルエンザの結果は陰性で、PCR検査の結果は次の日に分かるということで、その日は解熱剤と整腸剤をもらい、クリニックを後にした。

今振り返って思うと、私が受診したクリニックの対応は本当に素晴らしかったと思う。感染防止対策はもちろんだけど、医師の診察、看護師の対応全てが丁寧で、最後は1階の薬剤師がわざわざ2階のクリニックまで上がってきてくれて、薬の説明をきちんとしてくれた。

近所にこんな素晴らしいクリニックがあったとは。
このクリニックをかかりつけにしたいと心から思えた。
かかりつけって大事ね。

PCR検査の結果とホテル隔離生活への準備


PCR検査の結果がでるのは明日(11月26日)とのことだった。
最近はずいぶん結果が出るのが早くなっている。

この時が症状のピークだった。家でお昼ご飯を食べた後、めまいがあり、数分呼吸困難に襲われた。その後、急に汗が吹き出して、これはさすがにまずいなと思い、薬解熱を飲んで倒れるように布団の中でうずくまった。

その後は汗が止まらず、服を何着も着替えた。
夕方には解熱剤が効き始めて、体がだいぶよくなっていた。
この日は昨日に比べて、よく寝られた。

次の日の朝、熱は37.6分まで下がっていた。体調も回復傾向だ。「ただの熱だったのかな」と少し安心をしていると、その時携帯が鳴った。

クリニックからだ。

加納さん、昨日のPCRの結果ですが、コロナ陽性でした。発生届は出しておきましたので、保健所から連絡が来ます、指示に従ってください。お大事に。


頭が真っ白になった。一番に頭によぎったのは病院のことだ。すぐさま、病院に連絡をして、2-3日の間に僕との接触がある人はPCR検査を行ってもらう様打診をした。

病院の状況が不安で仕方がない。鼓動が早くなるのを感じた。

保健所から電話があったのは、コロナの陽性を受けた次の日朝だ。
保健所も随分と忙しいのだろう。

電話は30分ほどで、現在の体調の様子を聞かれて、過去の行動履歴、接触者の確認があった。病院には、別に保健所から連絡があるそうだ。

保健所の対応がものすごく丁寧で、こちらの心境に配慮しながら、今後の対応について一つ一つ教えてくれた。

症状も落ち着いているので、ホテルか自宅療養になります。
どちらで療養されますか?


と最後に質問をされた。

僕は彼女と同棲をしているので、彼女にうつすリスクも考えて、ホテルに行くことを選んだ。

しかも、濃厚接触者の定義は僕が回復した日から、14日と計算をするらしい。つまり僕が家にいる以上、彼女の濃厚接触者の計測日は一向にスタートせず、隔離期間がすごく長くなってしまう。

これはなかなか厄介な仕組みだ。

ホテルで療養したい旨を伝えると、下記のサイトのホテルの中からランダムで選ばれることを教えられた。


今はホテルもかなりひっ迫しているようで、ホテルに入れるのが最短で明日とのことだった。

症状が出たのが11月24日で、コロナの陽性と判明したのが11月26日。
ホテル隔離が始まるのが11月28日。

どうしてもこれぐらいのラグは発生をしてしまう。

ホテルへの持ち物はほとんど自分でのもちこみとなるらしい。こちらのブログを参考に、彼女に入院セットを用意してもらった。

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隔離生活の最後の方は元気になるので、お菓子とかをもっとあってもいいかもしれない。

コーヒーはホテルにあったので、結果的に不要だったけど、みそ汁はマストで必要だった。あとカップラーメンとか?

ホテルまでは専用の車が家まで迎えに来てくれて、ホテルまで送ってくれる。入院先はホテル隔離のギリギリに発表される。

僕は品川プリンスホテルになった。
お世話になります品プリ。

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(参照:東京都福祉保健局 新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養について リーフレット)

ホテル隔離生活のスタート

11月28日午後。家の前まで車が迎えに来てくれて、品川プリンスホテルへと出発をした。この時は熱は37℃まで下がっていた。割と体調は元気になっていて、普通の風邪ぐらいの症状である。それにしても、コロナの症状は長い。

隔離期間は「初期症状状発生から10日と薬を使わず症状なし3日間」とのこと。僕の場合は最短で12月4日だ。

迎えに来てくれた車は僕を含めて、3人の方を乗せ、品川プリンスホテルへと向かう。僕は社内では、ドラクエⅡの「遥かなる旅路」を聞いて、自分に旅だと言い聞かせて、無理やりテンションを上げた。

ホテルに到着すると、専用入り口へと通される。受付で、部屋の鍵とパルスオキシメーター、他諸々の書類が入った袋を渡されて、そのまま誰に会うこともないまま、部屋へと直行をする。

封筒の中には小池都知事からのメッセージも。
小池さんありがとう。

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(封筒の中身 小池都知事からのメッセージ)

部屋は割と快適なのだけども、ここから出ることができないのが苦痛だ。

午前、午後、夕方のごはんの時間は1階にお弁当とアメニティグッズを取りに行くことを許されるが、その時間以外は部屋の外に出ることを許されない。

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(参照:東京都福祉保健局 新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養について リーフレット)

デリバリーもNGで、持ち込みは家族や知人等が直接持参する場合に限り、指定の時間のみでOKとのこと。まさに隔離生活だ。

アメニティグッズはしっかりそろっていて、生活には困らない。
シャンプー、リンス、歯磨き、髭剃りなどなど

お弁当のほかに、お水、野菜ジュース、お茶、粉スープも用意されていた。部屋に冷蔵庫はあったので、ここに蓄えておけば、日常生活には困らない。
ここはホテルによって違いそう。

毎朝、7時と16時に検温とパルスオキシメーターの計測の時間があり、それを専用のアプリ(Lavita)に登録をする。そして、10時ごろ看護師から電話があり、日々の体調の様子を報告する。とてもよくできているシステムだ。

それ以外のごはんの時間以外は部屋で過ごすしかない。

幸いにもホテルのwifiは高速だったので、インターネットをするには困らなかった。youtubeを見たり、Netfrixを見たり、本を読んだり、ゲームをしたり、なんとも贅沢な時間を過ごした。

あとは、毎朝彼女とズームを繋ぎ、ラジオ体操をした。

体調の回復

11月30日ごろには平熱まで下がった。他症状もほとんどなく、軽快だ。

仕事ができるぐらいまでには回復をしていたので、この日からは仕事を始めた。

中長期計画や評価制度の作成、管理職の要件定義、就業規則の見直し等、普段病院にいると落ち着いてできる時間がない業務ができたので、これはすごく貴重な時間だった。

同時期に病院の方でも、僕と接触した人は皆コロナ陰性で、濃厚接触者もいなかったとの連絡を受けた。やっと心が落ち着いた。大事をとって、病院では僕と接触した人は就業制限を設けているようだった。

本当によかった。

12月1日からは、ZOOMの会議にも参加できた。
不思議と隔離生活にも慣れて、次第に1日の経過スピードも速くなっていた。人の適応力はすごい。

そして、そこから体調の悪化もなく、晴れて12月4日にホテル隔離が終わった。

隔離生活の終わりには、特段PCR検査は実施せず、看護師さんの診断と保健所との人とのやり取りだけで、退所することができた。

今は外の空気が吸えることが嬉しい。
ただ、まだリスクはあると思うので、引き続き行動制限はしていきたい。

コロナを経て思うことと今後の病院の対策について

新型コロナウイルスは孤独との闘いと聞いていたけど、僕は多くの人に励まされたので、ありがたいことに孤独を感じることはなかった。

彼女、保健所の方々、クリニックの方々、ホテルの方々、病院スタッフ、友人に支えられて、乗り超えることができた。

更に、療養期間中に病院スタッフからこんな優しいメッセージをたくさんもらった。僕はなんて優しい人たちと働いているんだろう。

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(スタッフからの連絡)

「コロナ対策委員会のくせになってるんじゃねーよ」という冷たいメッセージを覚悟していたが、結果としてその様なメッセージは一つもなく、皆帰りを待ってくれていることに、すごく嬉しく感じた。

感謝してもしきれない。

今回思ったことはどんなに気を付けていてもコロナになる可能性はあるということだ。だからこそ、蔓延させない対策にも力点を置かなければならない。

コロナを出さない対策を取り続けていても限界があるだろうし、もしも出たときそのスタッフは自分自身を責めてしまうだろう。

今後は職員のメンタルヘルス対策がとても新型コロナウイルス対策において、重要になってくると思う。

厳しい制限と合わせて、「コロナになってもあなたのせいじゃないよ」という優しさの両輪が長期戦には必要だ。

コロナになってしまっても、自分を責めないそんな対策を心がけたい。

僕は来週から病院に復帰する。

コロナにかかった自分だからこそ、できる対策があると思っている。
来週からも、スタッフと患者さんを守る対策を考えていく。

病院のスタッフの皆へ少しでも恩返しができれば幸いだ。

最後に、今回のコロナの件で、保健所の方々の神対応に本当に救われた。
電話対応の一つ一つが本当に丁寧で、何度も心を救われました。

僕はホテル隔離されていたので、体調報告は看護師とアプリでよかったけど、家で療養している人は、毎日保健所から電話がかかってきて体調を報告するそう。

それは本当に大変だ。

本当にありがとうございました。
そして、保健所の方々も体を壊さないでくださいね。

(ばいばい)


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