見出し画像

シェアエコの「規格」作りは、国境を越える。

こんにちは。シェアリングエコノミー協会事務局の二宮と申します。

今回は、私が関わっているシェアリングエコノミー の「国際標準化」の概要をお話したいと思います。

近年広まりつつあるシェアリングエコノミー。そのルール作りが今後世界的にどのように進んでいくか、ヒントとなれば幸いです。

国際標準化って・・・何?

突然ですが、シェアリングエコノミーの国際規格作りが動き出していて、日本がその幹事国であることをご存知でしょうか?

「国際標準化」とは文字通り、世界共通の標準(基本的なルール)を国をまたいで作ることです。国際標準化は、様々な国が関わっている国際組織の中で進められます。その中でも、ISO(国際標準化機構)が有名で、皆さんも一度は名前を聞いたことがあるかもしれません。

今年1月、シェアリングエコノミーのISO規格を作るための委員会が設置され、世界共通のルール作りが始まりました。委員会の設置は日本の提案によるもので、今後の委員会の幹事も日本が務めることになります。

国際規格の開発、特に(モノではなく)サービスの規格開発を日本が主導することは珍しいそうです。そんな委員会ですが、シェアリングエコノミー協会は、エキスパート(専門家)の立場から事務局運営に関わります。

どうして国際標準化?

国際標準化にはどんな意味があるのでしょうか?

シェアリングエコノミーは、インターネットを活用したプラットフォーム型のサービスです。ですので、プラットフォーム上のモノやサービスのやり取りが国境をまたぐことがしばしば起こります。

例えば、海外旅行をした際にAirbnbを使って現地の人の家に泊まるようなパターンや、海外から仕事をクラウドソーシングで受注するパターンをイメージしてもらえば、理解しやすいのではないでしょうか。

今後さらにシェアリングエコノミーが広がるにつれ、国際的なやり取りはますます増えていくでしょう。その際に、ユーザーの皆さんが安心してサービスを使うためには、世界の様々なサービスが共通の安全基準を満たしているとよいでしょう。

各国のサービスが一定の安全基準に従うことで、ユーザー同士のトラブルを防いだり、トラブルが起こった際に解決を早めたりすることができるようになります。

また、国際標準化を進めるプロセスを通じて、世界各国の様々な安心・安全の取組事例が日本国内のサービスに還元されることで安全性がさらに高まったり、安全基準に対応した日本国内のサービスが世界に進出しやすくなることが期待されています。

これまでの経緯は?

シェアリングエコノミー協会は、一昨年から関係省庁や一般財団法人日本規格協会(JSA)と協力して、関係各国へ協力の呼びかけを行うなど、国際標準化に向けて準備を進めてきました。

その中の成果の一つに、イギリスでの公開仕様書(PAS)の開発があります。これは、日本で運用してきたシェアリングエコノミー認証制度を元にしながら、英国規格協会(bsi)やイギリスの有識者と連携して、日本国外で規格を作ったものです。

他にも、カナダで行われた国際会議(IWA)や、PASC(太平洋地域標準会議)や北東アジア標準協力フォーラムへの参加を通じて、日本における取り組みの紹介や各国との意見交換を行ってきました。

その後、日本政府がシェアリングエコノミーのISO規格開発について提案を行い、各国による投票の結果、日本主導で委員会(ISO/TC324)が設置されることになりました。委員会のメンバーには、アメリカや中国を始め、カナダ、フランス、ドイツ、シンガポール、韓国、インド、南アフリカなど様々な国が名を連ねています。

今後の動きは?

2019年6月に、東京で第1回目のISO/TC324総会が開催されます。総会には各国の代表が集まり、国際標準の内容や今後の進め方について議論します。初の総会では、主にシェアリングエコノミーの「定義」が議論の中心になることが予想されます。

シェアリングエコノミーと一口に言っても、国や立場によってその捉え方は一律ではありません。「ITに基づいたサービスか」「主なユーザーは個人か企業か」「取引は有償か無償か」「シェアの対象をどこまで含めるか」など様々な切り口によって、標準の対象になるサービスの種類や範囲は変わってきます。

そのような中、日本はこれまで運用してきた国内の認証制度を元にしながら、国際標準化をリードしていく必要があります。

定義以外にも、様々な論点が国際標準化に持ち込まれようとしています。例えば、プラットフォーム上の労働者の権利を守るための仕組みに関するものや、プラットフォームがユーザーから取得するデータの使用方法に関するものなど、多様で重要なトピックです。このような様々な状況を勘案しながら、できる限りスピーディに規格作りを進めていくことが大切です。

今後も、国際標準化の動向について継続的にレポートしていきたいと思います。これをお読みの皆さんにも、国際標準化についての情報をフォローしていただきつつ、是非そのプロセスを応援していただけますと幸いです。

国をまたいだルール作りを通じて、シェアリングエコノミーの今後のあるべき方向性について考えていきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?