長方形の牢獄(R2/2/1)

12月中盤から、幾度となく失神した。
人生で一番と言っても良いほど激しい腹痛に苛まれ、激痛に耐え切れず路頭に座り込んでしまった事も有った。
明らかな異常を感じ、病院を受診。
社交不安障害とウイルス性胃腸炎と診断された。
また二次障害が増えてしまった。
前者は直接的、後者も間接的にストレスが関わっていると言う。
そして思い起こした。
私には思い当たる大きな変化が有った。
私は11月中盤から、一度もSEXしていないのだ。

私がゲイコミュニティに足を運ぶ様になって5年近くになる。
その僅かな期間の中で、私は何百人との肉体関係を持ったが、交友関係を持った人間は片手で数えられる程しか居ない。
私は本来SEXも酒も嫌いだ。
女も男も車もTVもタバコも香水も嘘も嫌いだ。
私はマトモな交友を交わせない自己のさもしさ溢れる人間性に、そして、SEXと酒が支配するゲイの世界に嫌気が差していた。
しかし私は、とうとう孤独に耐えきれ無くなった。
だから迎合した。
飲みたくない酒を飲んだ。
だから帰依した。
従順なSEX狂いを演じた。
そして私は、SEX依存症の深みへとハマって行った。
「可愛い」と言って抱いてくれる一瞬。
ピロートークでお世辞を言われる一瞬。
その一瞬だけ、確かに私の居場所は暗黒の長方形の中に存在した。
本当に欲しかったプラトニックな幸せは、どこまでも遠のいて行った。
私はこのまま腹を割って話せる親友1人できないまま、素敵な彼氏1人出来ないまま、一人ぼっちで死ぬんだろうか。
そんな憂鬱とした気持ちを抱えながら、月日を過ごした。
失意の濁流の中、性病を始めとする数々の病気を経験し、人生のドン底にまで落ちた私は、やっと自分の間違いが客観視出来るようになった。
漸く性依存から立ち直りつつあった…

と思い込んでいた。

たった3ヶ月、SEXをしなかっただけですっかり精神が磨耗してしまった。
そして冒頭の有様だ。
私は未だに、地獄から抜け出せては居なかったらしい。
そろそろSAに通わなければならないのかもしれない…。

まだ年若いセクシャルマイノリティの子供達が、私の二の舞になって欲しくはない。
確かに私達は透明人間として扱われてしまいがちだが、貴方を見てくれる人は必ず居るのだ。
自分以外の何かに心の拠り所を預け過ぎないように、どうか健全な自己愛を育んで欲しい。