校長スケッチ デココン

MIKAWA通信 2018年新春号掲載

 秋から冬にかけて、三川では行事や科目試験、検定試験が目白押しで、生徒たちは何かと忙しそうにしています。その中でも最大のイベントは三川祭とデコレーションケーキコンテストでしょうか。1、2年生の両学年が共に活動する行事です。
 今年の三川祭では、チラシをご覧になった近所の方からケーキの依頼がありました。遠方にお住いの二人のお孫さんが誕生日なので、三川祭に連れてくるからサプライズでバースデーケーキを2個用意しておいてほしい、とのことでした。おばあさんの素敵な計画に、私たちも張り切って協力させていただきました。当日、二人の小学生の姉妹がおばあさんに連れられて、何も知らずにやって来ました。三川祭で販売しているのは、焼き菓子、パン、ピッツア、コロッケでしたので、まさか生菓子のバースデーケーキが出てくるとは思わなかったでしょうね。最初は少々詰まらなそうにおばあさんに付いて来たような二人でしたが、ケーキの箱が手渡され、中身を見た途端満面の笑顔になりました。とても喜んでもらえて、私たちも一安心しました。このバースデーケーキのデコレーションは、マスケ(ジェノワーズの周りを生クリームで塗る)をかなり練習していた生徒が作ってくれたので、出来栄えも大変良かったと思います。よかった、よかった、と三川祭の余韻に浸る中、デコレーションケーキコンテストの制作に突入していきました。
 デコレーションケーキコンテストは校内コンテストで、いつも三川らしい家族的なテーマに沿って作品を作り上げていきます。今年のテーマは『クリスマス~大切な人への感謝をこめて~』で、これを頭に置きそれぞれ作品タイトルを決めていきます。「事前に提出した計画書に沿って作られているか」も審査対象になりますので、土壇場での変更は減点です。そこがなかなか難しい所のようで「でも、もう提出しちゃったしな~、どうしよう…」なんてブツブツ言っている声があちらこちらから聞こえたりもしました。いくらでも時間をかけてよいわけではなく、全てが規定の時間枠で仕上げていかねばならず、作業の計画性が問われます。よい緊張感がもたらされたのではないでしょうか。今年は皆の練習量に目を見張りました。何度も確実にコツをつかむまでジェノワーズを焼く人(これは毎日朝食にしたようです)、休み時間ごとにマスケを練習する人、マスケが上手くなるために暇さえあれば回転台を回す練習をする人等々。ここは製菓学校ですか!?ってなぐらい、皆さんデコレーションケーキに情熱を注いでいました。それぐらい皆ケーキを作ることが好きなんですね。結果は通信記事に掲載されていると思いますので、そちらをご覧ください。作品の写真には写らない感動を言うならば、全員が計画書通り、つまり自分が思い描いた通りの作品を作り上げたことには感心しました。そして、全員が今回の行事で着実に技術が身についたことです。
 大きな行事が終わる度に、三川ファミリーの絆が深まっていくのを感じます。年が明けて、この顔ぶれで過ごす時間もだんだん少なくなっていくことの寂しさを、ひしひしと感じるのは私一人ではないはず。

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