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風刺画から見る中東情勢 #1

この風刺画はカタールのAl-Raya新聞社の風刺画家ムハンマド・アブドゥ=ラティーフさんが描き、Twitterに投稿したものです。

左の人物はUAEのアブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザーイド皇太子、右の人物はサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子を表しています。(この風刺画からだと分かりづらいですが、彼の他の風刺画を見ればこの2人を表していることが分かります。)どちらの人物もそれぞれの国の政治の実権を握っているトップです。

もうここまでで3人もムハンマドさんが出てきて大変ややこしいですね! でも大事なのは、左がUAE、右がサウジアラビアを表しているということです。

また持っている数字も、それぞれの国の国際電話番号を示しています。UAEは971、サウジアラビアは966です。(ちなみに日本は81です。)

もともと仲が良かったUAEとサウジアラビアですが、ここ最近両国が介入しているイエメン戦争を巡って、仲違いが生じ始めました。それぞれ国のトップの仲違いが、国民どうしの仲違いにまで広がり、Twitter上では両国の国民による論争が起こりました。

そこであるUAE人が言いました。

「UAEの国際電話番号はサウジのより大きいから、UAEの方が強い!*」

この発言をきっかけに両者のTwitter論争はますますヒートアップしました。。。ちなみにこのとき、「#番号戦争(حرب الرموز#)」というハッシュタグが拡散されました。

そんなUAEとサウジアラビアを嘲っているのが今回のカタールによる風刺画です。

UAEとサウジアラビア、両国ともに囚人として描かれていますが、これは喧嘩両成敗で両国とも悪い、もしくは、イエメン戦争に介入している両国ともが悪人であることを示しているのかも知れません。とにかくカタールの風刺画家によるUAEとサウジアラビア批判であります。

もともと、湾岸アラブ諸国内では長年、「カタールvsサウジアラビアとUAE」という構造が続いていましたが、ここ数週間で、仲間同士であったサウジとUAEの間に亀裂が入り始めました。この湾岸の3国の関係は今後も目が離せません。

「カタールvsサウジアラビアとUAE」の背景、また今回の「サウジアラビアとUAE間の亀裂」の原因に関しては、今後も風刺画などを用いてご紹介できたらと思います。

それでは、マアッサラーマ(さよなら)!!

*具体的には「رمزنا 971 أقوي من رمزكم 966」などという表現が使用されました。






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