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2022.9.9 小田和正 Tour 2022 「こんど、君と」 @愛媛県武道館

「今日は楽しいだけじゃなくて、どんなに小さくても、幸せを持ち帰って下さい」

訥々とした口調でかたられる小田さんのMC。
冒頭で出たこのことばが、とても印象にのこりました。

はじめての生・小田和正コンサート。
県内外から数おおく訪れたファンの感想は「小田和正 愛媛県武道館」「小田和正 松山」などで検索すると、SNSやブログで見ることができます。
オフコース時代からおいかけてきた人。
『東京ラブストーリー』で知った人。
近年の若手ミュージシャンとの交流からはいった人。
それぞれの人生で、この愛媛公演がどんな意味をもっていたのか。
たくさんのツイートや文章に、それが見えてくるようです。

愛媛県武道館ができてからずいぶんと経ちますが、コンサートの観客としてこの会場に来たのははじめてです。
名前のとおり、ふだんは剣道や柔道の大会、学校のスポーツにつかわれる施設。
県内産の木材や瓦、石などをつかった建築で、主道場横の壁が開閉することで場内にまんべんなく日光がはいってきます。
開演前はちょうど西日がさしこんでいて、天然の照明のようで幻想的。

「松山といえば、松山市民会館。あそこはとてもやりやすいですね。ぼくも何度か市民会館でやっていますが、人数のこともあって、何年か前からこの武道館でやらせてもらっています」

コロナ禍の前、2019年に開催された「ENCORE!! ENCORE!!」ツアーの最終日がこの愛媛県武道館でした(参加してませんが)。
そのときは7月30日・31日で夏の盛りでしたが、今回は処暑をすぎた9月9日・10日、そう「秋の気配」がただよう季節です。

「次の曲は、広島(8月24日・25日)までは『夏の日』だったんですが、今日から衣替えということで『秋の気配』をやります」

ところがツイッターのTLによると、2日目はやっぱりまだ暑さがのこっているので「夏の日」にもどしたとか。
結果的に、初日はレアな選曲になってしまったという…。
ここ、10月〜11月になったらどうなるんでしょうね。「冬が来るまえに」とか?

小田さんのポジションは基本的にバンドのフロントセンター。
ぼくの席は2階の北側、最前列。
バンドから見ると下手側。
大型スクリーンは完全に死角になって見えない(天井下などに別モニタがあるので映像は見られます)のですが、ギターを弾く小田さんの左横顔がよーく見えます。
視線を下におくると、スタッフさんがいそがしく動く様子が見え、位置的にはまるでスタッフのひとりになったような気分。

曲によってハンドマイクを手に、花道を端から端までいったりきたり。
ぼくがいる席のほうにも花道がのびていて、こちらにもときどき小田さんが歌いながら歩いてきました。
間近で見る小田さんの印象は「ホントにあの姿勢↓で歌うんだ…!」。

とくに高音になる箇所で、背筋を伸ばすどころか反るようにして歌うんですね。
あと、歌詞に「君」が出てくると、目の前にいるファンをビシッ!と指差したり。
あまりに口癖すぎるためかアルバムタイトルにもなった「どーも!」だったり。
話だけはきいていた小田さんのアクションが、本当にそのとおりでした。

さて、ステージから客席へのびた花道が交差するところに、セリが昇降するポイントがあり、セットリストのところどころでピアノが登場します。
「ちょっとだけ」と、その日の気分なのか弾き語りの練習なのか、オフコースの「昨日 見た夢」と「ひとりで生きてゆければ」をすこしだけ歌ってから、

「次の曲は、オフコースの1枚目のアルバムに入っている曲で、知らない方もいるかもしれませんが、『水曜日の午後』という曲です」

アルバム『オフ・コース1 / 僕の贈りもの』の発売が1973年。
もうすぐ50年、半世紀になるのですね…。

そしてピアノのメロディは「言葉にできない」へ。
こんな前半でもう!? という曲順もビックリでしたがそれ以上におどろいたのはライブでのアレンジ。
オフコースでのバンドアレンジに準拠してあの印象的なドラムからはじまり、間奏ではハーモニカのソロも。
そして「♪あなたに会えて…」からはソロのリアレンジ版で追加されたストリングスが。
これは泣く。聴いているこちらの感情が、本当に言葉にできない。

前半を終えて小田さんとバンドが退場し、ここで『御当地紀行』コーナーへ。
今回はこれまでの四国ダイジェスト編+前日に撮影した新作の2本立て構成。
スタートは1997年「THRU THE WINDOW」ツアーでの松山から。
ベスト盤『伝えたいことがあるんだ』のリリース直後に、地元のCDショップであるDUKE松山店を訪れ、

「ポスターは…ないですね。まだアルバムが出て2日しか経ってないから」
「あっ、ポスターありました。小さい…」
「これでDUKEの見せかけの誠意というものがわかりますね」

…えっと…気をとりなおして今度はおとなりの香川県にて、おなじ系列店のDUKE高松店へ。

「やってまいりました、誠意の薄いDUKEです」

小田さん…DUKEになにか恨みでもあるんですか…?
というのは冗談で、DUKEの宮垣睦男会長(当時社長)とは旧知の仲。
今回の御当地紀行新作でも、小田さんの旅に同行しています。
ことしは店の入口にも中にもデカデカとポスターが出ていました。

地元の人々と交流する小田さんの、なんてフランクなこと。
「(うちわ作り体験で)この歳ですげぇ怒られちゃったよ」
「(水遊びする子供たちに)お前らそこ入っていいの?」
「(明日が試験という学生に)帰って勉強しろよ」
こういうかざらない性格も、長年にわたってファンを惹きつける魅力のひとつなのでしょうね。

後半は、衣装を白シャツからツアーTシャツに着替えて登場。
「Yes-No」などアップテンポの曲では、天井からミラーボールも。
からの「ラブ・ストーリーは突然に」では、「わーい御当地ソングだー!」と内心大喜び。
MCでは、コロナ禍にかかわる話も。

「年のせいかコロナのせいか、長いこと会ってないなぁと思う人が増えてきました。みなさんはどうでしょうか? もうちょっとで会えると信じて、もう少しがんばりましょう」

「みんなで声をあわせて歌えるように『こんど、君と』という曲を書いたんですが、こうなってしまう(大声での声援禁止)とは思いませんでした。うかつにリベンジとか言えませんが、もしそんな日が来たら…」

その日が来るまで、なんとか元気でがんばっていこうと思います。

ところでアンコールのMCによると、広島からJR瀬戸内海線で四国入りしようとしたところ、なんと線路で火災が発生。
やむなく広島にもどりフェリーで松山に来たとのこと。

「スーパージェットっていうフェリーに乗ってきました。(運賃が)8千なんぼするんですけど(笑)。それも含めていい記念になりました」

ご、ご苦労さまでした…。
このあたりのエピソードも、次のツアーパンフに追加されたりするのでしょうか。
さらに重くなるなら事前にネット通販で購入するのがいいのかしらん。

さて松山に泊まって翌朝、くだんのDUKE松山店に行ってみたら、コンサートに参加した方々が記念写真をカシャカシャと撮っていらしたところでした。
あのなかには、2日目や他県の公演にも参加する猛者もいるのだろうなあ。

【セットリスト】
1. 風を待って
2. 会いに行く
3. 愛を止めないで
4. 秋の気配
5. やさしい風が吹いたら
6. 水曜日の午後
7. 言葉にできない
8. たしかなこと
9. キラキラ
(御当地紀行)
10. so far so good
11. やさしい雨
12. Yes-No
13. ラブ・ストーリーは突然に
14. 明日
15. ナカマ
16. 生まれ来る子供たちのために
17. 今日も どこかで
18. こんど、君と
19. 君住む街へ
(アンコール)
1. またたく星に願いを
2. YES-YES-YES
(アンコール2)
1. hello hello
2. やさしい夜
3. また会える日まで

【追記】
これを書いている9月18日現在、台風14号が日本列島をゆっくりと縦断中ですが、その影響で小田さんの福岡公演2日目が中止になりました。

いまぼくの家(愛媛県西予市)もまさに暴風雨のまっただなかにあります。
旅路の移動をされているみなさんが、どうかご無事でありますように。

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