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タロットカード占い師の緇井鶏子と申します。

 はじめまして。

 初めまして、タロットカード占い師の緇井鶏子と申します。

 まず、タロットカード78枚の構成を説明します。

 絵札の枚を大アルカナと呼び、運命が動くときに登場します。トランプのような四つの組(クラブ=棒、ダイヤ=金貨、スペード=剣、ハート=聖杯)のエースから10までの40枚と、小姓、騎士、女王、王の宮廷カードの16枚、計56枚を小アルカナと呼び、日常生活の出来事を表します。トランプに騎士のカードはありませんがタロットにはあります。私は14世紀に消滅したテンプル騎士団説を支持しています。

 つぎに占い方についてです。78枚を使用し、カードを左右上下、真ん中に5枚並べます。位置の意味は、左は「プラス面」、右は「マイナス面」、上は「討論」、下は「解決」、中央は「総合」。


 これは作家の澁澤龍彦の『黒魔術の手帖』で紹介されていた展開法です。


 申し遅れましたが私は新潟県出身で高校生のとき、同書でタロットを知りました。現在は〝力〟と呼んでいるストレングスのカードを〝女力士〟と訳していて、何かあると感じたのですが、占いに興味はなかったのでタロットを欲しいとは思いませんでした。ただ、私はオカルト好きで、やぶの中で人魂を見たとか、河原でけんかがありポンプ小屋で遺体を見たなどという体験談を話す母をうらやましく思っていました。その後、大人になりライダー版のタロットカードを買いました。先の書に載っていたタロットはフランスのマルセイユ版でしたが、世紀末の英国の秘密結社、黄金の夜明け団が使用したというライダー版に魅力を感じました。これはオカルト好きなら意味を知らないと恥ずかしいことなので覚えましたが、まだ占ってみようとは思いませんでした。そして1930年代に活躍したシュルレアリスムの作家、マックス・エルンストのコラージュ小説『カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢』を読んだとき(大学は哲学科で美学専攻でした)、コラージュの1枚が〝棒の5〟に見えました。大きく心が動き、ライダー版は絵を見る物ではなく占いの道具だから占いをしないと本質をつかめないと思い、タロットカード占い師を目指すことにしました。


 カードの意味は暗記済みでしたが実践の雰囲気を知りたくて、東京・原宿でタロット教室を開いていたフランス人のもとに数回通いました。授業は英語でした。5、6人いた生徒は何を占ってほしいか聞かれると、宝くじが当たるか知りたいという人が多く、即物的で私はここに通ってもエルンストからさらに広がるような展開は望めないと思い、通うのをやめました。後は独学で日常の出来事をタロットで表現する〝自主トレ〟を続けました。電車が遅れたら〝戦車〟と〝逆位置の運命の輪〟とか、選択が裏目に出たら〝金貨の2〟と〝逆位置の棒のエース〟とか。毎晩明日を占い、1日の終わりにカードを見て、その日の出来事を反芻し成否を検証しました。カードに出ているのに自分が読み取れなかった場合が問題で、なぜ読み取れなかったのかに気付いたときに喜びを感じました。


 当初、タロットは当たるなあと思いました。偶然、知人に出くわすような場面があると、よく宮廷カードが出ていました。

そしてあるとき会社の上司経由で占い連載の話があり、担当を引き受けました。苦情が来て駄目なら上司がまた他の占い師を探せばいいだろうという気持ちでした。10年以上前のことです。


 私の占いを見た方が運命をコントロールし、随喜の涙を流す姿を想像しながら2024年を占います。どうぞよろしくお願いいたします。 


緇井鶏子



緇井鶏子  (しい・けいこ)
1971年新潟県生まれ。国学院大学文学部哲学科卒業。初級システムアドミニストレータ。占いに興味はなかったがマックス・エルンストの「カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢」を見てタロットカードに開眼、独学する。2005年フリーペーパーにタロット占いの連載開始。現在の主戦場は新聞の「きょうの運勢」。会社員なので個人鑑定は滅多に行っていない。


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