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ROCK IN JAPANと天気の関係

今日行く予定だったROCK IN JAPANが中止になった。

元々今日の天気は晴れ予報で、かなりの猛暑になるはずだった。しかし開催3日前の水曜日に、台風への発達が予想される熱帯低気圧が発生。お盆の列島を直撃する大荒れになるのでは、と言われ始めた。これを受けて木曜日に雨対策のグッズを買いに行ったのだが、その夜には運営側が開催中止の可能性に言及。金曜日15:00に公演開催の有無をアナウンスすると発表した。

この時点で正直もうないだろうなと思ったし、実際にその予感は的中した。中小アイドルフェスだったら強引に開催したかも知れないが、ロッキンは一応観客の安全に配慮してくれるタイプのフェスではあり、なにせ社会からの注目度も高い。更に、今年は蘇我での開催一年目である。何かあってからでは今後の開催に響いてしまうことも、決断の一因であろうと思う。

ヘッドライナーである桑田佳祐のキャンセルが発表された時点で少しモチベーションは下がっていたし、他にも行く夏フェスはあったので個人的には落ち着いた気持ちで今日を迎えている。しかし特に若年層を中心に、この夏はこの日に賭けているのだ!という熱い気持ちを持っていた人も少なくないだろう。決して安くないチケット代の捻出、当日までの準備とシミュレーション、そして何より青空の下での最高のライブを妄想する日々。フェスは当日までのストーリーにも意味があるのだ。ただ開催されなければ全てが水の泡になってしまい、チケット代さえ返ってくれば気が済むというわけにはいかないだろうと思う。

かつての自分がそうだったように、フェスへのティーンの熱量は凄まじいものがある。特にここ2年、夏フェス参加が叶わなかった人にとっては本当に待ち望んだ日だっただろう。1日のフェスから持ち帰るエネルギーや新しい音楽に対する吸収力は若い時ほど大きいもので、今回のような中止の決定は音楽ファンが育つ機会の損失であるとも言える。天気の神様も結構無慈悲なものだが、これだけ毎週末どこかしらでフェスが開催されている以上、キャンセルになるものが出てくるのは避けられない。

ところでロッキンと言えば、2020年・2021年と新型コロナの影響で中止になっている。ただ、悪天候を理由に1日丸々中止となったのは開催21回目にして初めてである。近しい事例としては2000年、台風の接近により最後の2アクトを残して途中中止になってしまったケースがあるが、その他のライブは予定通り行われていた。これは開催初年度の出来事で、その後20年に渡って致命的な悪天候には見舞われていない。

私が参加していた00年代後半はほぼ毎回がピーカン状態で、雨が降ったのはほんの僅かな時間、それも本降りではない程度だった。雷雲がすぐそこまで近づいていたのに会場には落ちない年まであり、いつしか「ロッキンと言えば晴れ」が定説となっていった。フェスの隆盛と時を同じくして普及していったSNSでは天気予報にネガティブな要素が見られると、晴れじゃなきゃロッキンじゃない!といった書き込みが多発し、参加者達はもはや念力で晴れを引き寄せようとしていた。

そりゃ雨で大変な思いをするよりは青空の下でフェスを楽しみたいのはよくわかるが、あまりにも雨が降らなさすぎたために参加者の雨に対する備えが浸透しなかった側面は否めない。私がフジロックに参加するようになって一番驚いたのは雨の多さと参加者の対策ぶりである。フジロックとロッキンは新潟と茨城で開催も1週間違いなのだが、あまりにもカルチャーが違うのだ。

2014年からロッキンは4日間に拡大。8月の2週目にも開催するようになると徐々に晴れ神話も崩壊し始め、時折雨が降る日も出始めた。日数が増えれば当然雨が降るリスクも増えるし、気候変動による影響なのかゲリラ豪雨も珍しくなくなってきた頃だ。それでも致命的なまでの大雨には至っていなかったのはまだロッキンが「もっている」証拠だったとも言えるが、2020年のコロナによる中止を機にフェーズは変わったのだろう。昨年は茨城県医師会による開催中止要請によりフェス完遂が叶わないばかりか会場の移転まで余儀なくされた。

そして迎えた蘇我での開催1年目。コロナ感染によるキャンセルとピンチヒッターの緊急オファー、最寄り駅の混雑などこれまでにない問題が多発する中、訪れた最大のピンチが台風だった。実際の直撃は夜にずれ込んだようだが午前中から大雨になる事はもはや確定で、もし開催したとしても観客がかなりのダメージを受けるのは目に見えている。また夜になって雨風の勢いが増す中、数万人が公共交通機関を利用し帰宅するのは困難である。こうなってしまった以上、無理に開催されなくてよかった。蘇我の会場を見る事ができなかったのは残念だが、また機会はあるだろう。同じタイムテーブルでの開催は不可能だろうが、関ジャニ∞~桑田佳祐の流れは是非来年実現して欲しい。

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