見出し画像

大人にこそ秘密の花園を

先日、小平市にある「植物の本屋草舟あんとす号」さんで古本市仲間のうららさん主催のバーネット『秘密の花園』読書会に参加してきました。

『秘密の花園』は、インドで育ったわがまま放題のイギリスの少女が、両親を亡くしてイングランド北部ヨークシャーの親戚の家に引き取られていき、そのお屋敷で閉ざされた「秘密の花園」を見つけ、その花園を生き返らせること、その場所で出会った人たちとの出会いを通じて”本来の自分”へ戻っていくようなお話です(ざっくり)。

多分、子供の頃に読んだ人も多いと思うんですが、大人になった今だからこそ読んで欲しいなーと今回ひしひしと感じました。例えば……。

  • 100以上もの閉ざされた部屋がある大きなお屋敷と比例して、新鮮で生き生きとしたヨークシャーの春の描写(対比が素晴らしい)

  • いつも一人ぼっちで誰のことも好きじゃなかったメアリが、その自然や土地の人と知り合うことで「好きな人がいっぱいできた」「わたし変わったわ」と自覚するほど変わるところ

  • メアリが変わり、そのメアリと知り合うことで、コリン(メアリの従兄弟で病弱で癇癪持ち)もみるみる健康になっていくが、健康になることを信じて疑わない純粋さに基づいているところ

  • 土地の子供でどんな動物とも仲良くなってしまうディコンの逞しさと純真さとまん丸の笑顔

  • その子供たちを優しく、時に一緒に楽しみながら見守る大人たち(大人たちも感動して美しい涙を流します)

  • コリンの父であり、一番変わるのが難しいであろうクレイヴン卿が、子供たちと閉ざされた庭に訪れた好ましい変化を遠方で感じ取り(その箇所はまるで魔法のよう!)、過去に生きることを止める瞬間

いいなぁと思う箇所が多すぎて、列挙にいとまなし!!
100年も前に書かれた作品なのに、ここまで読み継がれているのは、やはり物語の持つパワーだなと。

作中、何度も<魔法>について語られるんです。
「僕は絶対に良くなる!」ってコリンが宣言し、その言葉をみんなで唱えたりしてね。
実際はコリンは<魔法>の通り良くなっていくんだけど、1番の魔法はやはり<素直さ>なんじゃないかなって思いました。

目の前の出来事に素直であること
我慢をしないこと
そして、最後に自分を信じること

大人になると忘れてしまう大切なことを、この作品が改めて教えてくれたようです。読みながら何度も涙ぐんでしまいました。涙腺緩いから。

昔読んだなーという方もぜひもう一度どうぞ。
今、新訳で酒井駒子さんの可愛い表紙で新潮文庫から出ています。

そうそう、会場になった大好きなあんとす号さん。
こちらの前のお庭も生命の息吹に満ちていました。

帰りには、隣の西国分寺にある「クルミドコーヒー」さんに寄って、同じくバーネットの『白い人びと』を読みました。

すでに冒頭から引き込まれるものを感じています。

情報が多い今だからこそ、古くから読み継がれている作品に触れる時間を大切にしたいなぁと感じました。
本当にいい物語は時間が経っても色褪せない。まるでそれ自体が<魔法>のようです。

小説にせよ、ドラマや映画にせよ、物語の持つパワーについて、最近本当に良く考えています。
今はそれを受け取る側にいるけれど、自分もそれを発信する側になって、誰かを勇気づけたり笑顔にできたらと。

最後まで読んでくれてありがとう!
では、また!



サポート頂けるととても嬉しいです🐶 サポート代は次の本を作るための制作費等に充てさせていただきます