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”微信(WeChat)”とは、”ミニプログラム”とは

 「微信(WeChat)」について日本人に尋ねると、「LINEを模倣した中国のSNS」、「LINEの中国版」と答える方は少なくない。しかし実際には、微信は、LINEの2011年6月リリースに先行し、同年1月から既にサービスを開始しています。運営会社のテンセント社の2018年上半期の報告書によると、月次アクティブユーザー数は全世界で10.58億人に上ります
 2013年8月からはモバイル決済※2機能「微信支付(WeChatPay)」が加わり、友人間の無料の送金サービスが人気を得て、中国人にとって欠かすことのできない決済インフラに成長しました。

 モバイル決済の様子(今や中国では現金を持ち歩かない)

 中国でモバイル決済が普及した理由としては、「スマホの普及のタイミングと重なった」、「偽札が多い」等も挙げられますが、そのきっかけは中国政府の規制緩和です。微信支付、支付宝等のモバイル決済は、銀行口座と連結して決済する点で日本のデビットカードと類似しています。中国の銀行間ネットワークシステムを用いた決済は、以前は中国人民銀行により設立された「銀聯」の独占業務でしたのは、2013年7月、このネットワーク決済事業に銀聯以外の事業者の参入を可能にしたのです
 その後のモバイル決済の普及は、滴滴出行等のタクシー配車サービス、饿了吗、美团外卖等のケータリングサービス、Mobike等のシェアリングサービス等、新たなサービスを次々と生み出し、この分野での世界における中国の存在感を大きく高めました。中国政府で「インターネットプラス」という言葉が生まれたのもこの頃になります。ITテクノロジー活用に対し、中国政府が実に大胆であることが分かります。

 モバイル決済の普及により多種多様なサービスが登場する一方、これらサービスを利用するのに、各サービスに対応するアプリをそれぞれダウンロードすることは手間となります。そこで、微信自身を仮想OSとして、微信内で他のアプリを利用することを可能にする「ミニプログラム(小程序)」が登場しました。このミニプログラム実に便利です。上記に紹介したタクシー配車アプリもケータリングサービスも、従来個別アプリをダウンロードしなければいけなかったものが、これにより微信を窓口にして、全て微信の中で操作ができるようになったのです。また、これにより、地下鉄の利用、シェアリング充電器の利用、飲食店での注文等、生活の実に細かい分野においてもスマホ一つで利用が可能になりました。

深センの地下鉄も今ではミニプログラムで乗り降りができ交通カードも不要になった

スマホ充電器のシェアリング(利用も全て微信のミニプログラムで完結)

※1 微信(WeChat)
微信、WeChat両者は異なるソフトウェアです。中国国内向けが微信、中国国外向けがWeChatとなります。インターフェイス、主要機能は概ね同じですが、閲覧できるコンテンツ、使用できる機能等に若干の違いがありますので、注意が必要です。

※2 モバイル決済
中国において「微信支付」と並んでモバイル決済の双璧をなすのが、EC最大手アリババが運営する「支付宝(Alipay)」です。「支付宝」が市場全体の5割を、「微信支付」が4割を占め、両者の寡占状態になっています。


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