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食わずに死ねるか

美味いものが食いたい、と昨日書いたのだが、よく考えたら家に美味いものが埋蔵されていることを思い出した。

吾輩の乞食遍歴は偏っていて

10代 食べられればどうでもいい
〜21歳 東京最高!東京こそ美食の都
〜30歳 ニューヨーク、パリ、ロンドン、北京に行ってみたがやはり東京が最高
〜35歳 香港と台湾の飯が美味い!やっぱり現地で食べるのが最高。フレンチは東京が最高
〜40歳 魚介類ならアメリカ沿岸部、BBQなら中南部、フォアグラなら南仏。カタルーニャ地方の白ワインが美味い。
〜44歳 しかし結局は北区の焼きとん屋が最高なのではないか。
〜45歳 金沢の寿司屋が最高なのではないか
〜47歳(現在) 中東に行ってみたけどフムスが美味い。まあ結局なんでも美味い

という感じで、「どこかに行く→美味い→帰国→東京最高」のループを繰り返すのである。

その中でも、30代の時に西麻布のエスペランスで初めて出会ったイベリコ豚の生ハム、すなわちハモン・イベリコ・ベジョータの衝撃は忘れられない。たかがハム、されどハムである。

せっかくだから原木から買ったらいくらするのかな、と思ったらとんでもない値段で諦めた。

しかし先日、ハモン・イベリコ・ベジョータをもらったのが冷蔵庫に入っていたのだった。これを食えばよかったのだ。

ショルダーとハムをそれぞれ。
当然、肉だから場所によって肉のつき方も脂肪のつき方も全く異なる。
個人的にはショルダーの方が脂身が少なくて美味しかった。まあここは好みの問題かな。

ハモン・イベリコ・ベジョータは、イベリコ豚の中でもどんぐりだけを食べさせて飼育させ、ハモン・イベリコの中でも1割しか認定されないという希少品。

なので、どんぐりの風味を感じながら食べるのが正しい。「いくらなんでも食べたものの匂いが肉からするわけないだろ」というツッコミもあるにはあるが、初めて食べた時、「ああ、これがどんぐりの香りか」と感じた経験が吾輩の主義を曲げさせる。そもそもよく考えたら、吾輩はどんぐりとか食べたことない。でも確かにナッツっぽい風味がするのだ。これは本当。

先日、六本木の某店で黒トリュフとハモン・イベリコ・ベジョータを試食する会があったのだが、信じられないことに、ドアを開けっぱなしにしていたため、階下のタバコの匂いが部屋に充満していてとても香りを楽しめるような状況ではなかった。そんなところで食べたらトリュフもイベリコ豚も台無しになってしまう。

こういうのを楽しむには、ちゃんとした店に行くか、家でゆっくり食べるのがいい。

スペインの赤ワインに、ハモン・イベリコ・ベジョータ。
これはこれで自宅でないとできない贅沢かもしれない。

というかスペインのワインは美味しいものほど全く日本に輸入されないので、スペインに行くしか美味いものを飲む方法がない。

これまで一度も訪れたことがない南米には、マルベック主体のもっと美味いワインがあるらしいのだが、南米とか用事もないし治安が悪いという話なので怖くて行く機会がない。最近はマルベック使ったワインもスーパーで買えるようになってきたけどね。

マルベックの、あのネトっとした、濃厚な舌触りが肉に合うんだよな。
まあマルベックと合わせるなら、繊細なハモン・イベリコ・ベジョータよりは、アルゼンチン風スカートステーキが合うだろうな。アルゼンチン料理の店とか都内のどこにあるのか知らないけど

スカートステーキはハラミのことなので自分で作ればいいのだが