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ど素人のピュアオーディオ入門(37) DJになる

あるとき、「ちょっと今度表参道でクラブ借りてイベントやるんだけど、なんかいい人いない?」と聞かれた。

吾輩の友人のDJといえばゴトーがそういえばやってたなと思って声をかけたが、あいにく忙しいらしくその日はNG。

「まわしたかった・・・」と言っていたのだがよく考えると別にちゃんとしたクラブのイベントじゃないし、誰も踊るわけがないような場所なのでそんなちゃんとしたDJを呼ぶ必要はないのでは?と頭が切り替わった。もう一人DJといえばVR空間でDJをやってるまつゆう*もいるのだが、まつゆう*もその日はNGだった。

いろいろ打ち合わせをして、「んじゃあせっかくだからAIにテーマに沿った絵でも描かせてDJ/VJ的な演出をしたらいいんじゃないか」ということで、それから一ヶ月、毎日のように3090をぶん回してアニメーションを作った。全部で2時間ということだったが、2時間ぶんのフッテージを全てAIに作らせるとすごい計算量である。

こっちの頭が追いつかなくなるほど絵を吐き出させて、それを京都を往復する新幹線の中で2時間分繋いだ。

さて当日。京都から全速力で表参道に向かう。
会場に到着するとサウンドエンジニア、略してSEの方が準備万端とばかりにPioneer DJのCDJ3000をセットアップしていたが、「カンパケのやつをただダラダラPCから流します」と言ったらガッカリした感じでCDJ3000を片づけられてしまった。

寂しいDJブース

もはややることはフェーダーを最大まで上げたり最小まで下げたりするだけ。これがDJなのか?たぶん本物のDJさんに怒られそうだが、僕の師匠(と勝手に呼んでいる)である水口哲也さんも自分で作り込んだセットリストを流してDJやってたからいいだろう。

さあそしていよいよパーティタイム!

な、別にいいだろこれで
でもヘッドホンすらないとDJっぽく見えないのでみんなが写真を取りに来るタイミングでヘッドホンをかける。

ボリュームを最大にするだけの簡単なお仕事

ところがトラブルが起きた。
2時間作り込んだはずのセットリスト(QuickTime)がなぜか黒飛びしてる箇所があったのだ。ここですかさずQuickTimeのスライドバーをスクラッチ(というかクリック)してことなきを得た。

ちなみに2時間作り込んだやつも曲の繋ぎ目は一応ちゃんとBPMあわせたり細かいことはしてる(Davinciで)。

やってみてわかったのだが、確かにDJ的なプレイは最低でも2系統ないと苦しい。そしてさらにわかったのは、VirtualDJをダウンロードした時だった。

VirtualDJ

え、なにこれ便利!?

当たり前だが、DJソフトはちゃんとBPM調整できるしキュー出しもできるしとにかく便利なのである。こんなに便利とは正直ちょっと思ってなかったのでけっこうびっくりした。

そして浅草橋の技研バー、大久保のLose Devil、さらには銀座のImagination Tankといった箱が常時ある僕としては、DJソフトでDJ的にやるのはむしろ仕事の範疇ではないかと思ったのだ。

ちなみにこんなにぬるいDJを「僕でもやってみっか」と思ったのは、渋谷直角の漫画の影響だったりする。

この渋井直人というデザイナーのおじさんがめちゃくちゃカッコ悪くていいのである。この漫画の中で、カフェDJをやることになった渋井直人が、カフェで見かけた可愛いアパレル店員の気を引きたくて頑張って乃木坂をかけるように曲を繋いだのだが肝心の乃木坂が流れる頃には女の子はとっくに帰っていたというまあかなりどうでもいい話なのだが、「なるほど好きな曲をかけるだけなら俺にもできる」と思ったのである。

というか、普段から技研バーで流れる曲を選んでいるという点で俺はある種のヌルDJだったのである。もはやディスクなどどこにもないが。

そしてVirtualDJは、なんといってもVJと同時にできるところが尊い。まさに正義と言って良い。要はMP3だけでなくMP4も再生できて、しかもなんかちょっとしたエフェクトで合成もできるのだ。つまり、あらかじめ作り込んだトラックを最低二つ用意しておけば好きなように料理できるのである。まあさらに凝ったことをしようと思ったら、VirtualDJから出た画像をさらにVDMXとかに入力すればいいのだが、とりあえずVirtualDJだけで大抵のことができるという点が非常に真っ当という気がしたのである。

さらに、テクノエッジの松尾さんから借りたMeta Quest Proで、Pioneer DJの操作方法が学べるバーチャルコンテンツをやりこんで一通りの操作はマスターした。というかこれマジ神すぎる。自分でいうのもなんだが、本体がすげー高くて気軽には手が出せない(けど、クラブには必ずある)Pioneer DJ機材をバーチャルで使い方レクチャーしてくれて操作できるって凄すぎる。

そして散々それを遊び倒して、なお思った。

「本物のツマミを回してえ・・・」

やはり大事なのは手触りなのである。
そう思ったところで気を失い、65535秒後に朝ごはんを食べに松屋に行った帰りに起き配されていたReloop TOUCHを開封。

タッチスクリーンもついてる

やったぜ。
そんでこれは赤白のRCAコネクタなので、とりあえずCDプレイヤーから結線を奪い、マランツ PM-7000Nに接続。JBL4309から奏でられる低音に痺れる。

え、コレ、ピュアオーディオの人絶対、DJ機材買った方が良くない?むしろ何が「ピュア」なのかわかんないけど、自分のお気に入りの曲を好きな感じで流せるんだぜ。イコライザーで低音だけ取り出したりテンポ調整も自在にできるし。音を楽しむという生活がもっと楽しくなるぜ。

しかもバーチャル空間でトレーニングしたおかげで、いきなり本物のブツが届いても「あーこれがアレね」と違和感なく使えるようになった。すごい。能力が拡張された。

ただ、届く前から映画好きおじさんなどに指摘されていた欠点なのだが、デカすぎる。やはりDJコントローラは小さいものがいいのだろうか。でも、小さいのをヘタに買ってあとで「ああもっとたくさんツマミをまわしてえ」と思うだろうなと思っていたからデカいけどこれで正解なのだ。そういうことにしてくれ。

でもこれを持ち歩くのに何か専用のカバンとか必要そうだなあ。
デカすぎるから俺の「なんでも入るバッグ」であるビクトリノクスのリュックにも入らない。

とりあえず技研バーで使ってみるぜ。イエー!