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競技活動自伝No.17〜げんせき〜

この文章は、書籍『大陸を走って横断する僕の話。』
(2016年11月23日 台湾 : 木馬出版社より発行)の日本語原稿です。

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〜げんせき〜

何のために、走るのか?

その答えは、苦しいマラソンの後半戦で失速しないためには必要だ。

200kmを越えるようなウルトラマラソンなら、なおさら。



2007年5月2日

東京湾(太平洋)から新潟市海岸(日本海)をつなぐ荒川から信濃川に沿った522kmの道のりを制限時間120時間以内で走り抜ける「川の道フットレース」というウルトラマラソン大会へ出場した。未知の超長距離レースを走る意義をどれだけ人へ伝えてゆけるかの挑戦にしたかったので、レース中の様子はガラケーで写真を撮り、自分のブログへアップしてゆくことにした。

完走した結果だけを言葉で伝えるより、その臨場感がリアルタイムで伝わったほうが、少年時代に観た「24時間テレビ」のようにマラソンの共感は得られるかもしれないと感じていたから。

レース中は、給水所で出会ったボランティアスタッフさんや、コース上で声をかけてくれた人たちへ、ブログのURLを記載したメッセージカードを手渡しながら走った。

レースは当然過酷で、48時間を過ぎてからはレース前半ほどブログの更新やメッセージカードの手渡しをする余裕はなくなってしまったけれど、1件、2件と応援コメントがもらえたことは、励みになった。

疲労困憊な中、交通事故に巻き込まれかける危険はあったが、レースは118時間35分で五体満足完走。

「26歳の君は現在の大会最年少完走者だ」と主催者の館山さんは言ってくれた。

そのことと、ジュニアランニングクラブの子供たちもお母さんと一緒にブログを見てくれていたということが、嬉しかった。



2007年8月6日

北海道最北端の宗谷岬から、北海道最南端のえりも岬までを14日間で往復するステージレース「北海道縦断往復トランス・エゾ」へ出場した。

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一冊の書籍原稿を章ごとに配信する連載形式でお届けします。(2019年7月8日〜29日) 期間終了後も、一冊の書籍原稿としてお楽しみいただけます。

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