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「フランスの50代思春期説」

フランスの50代思春期説
「私の人生、上手く行ってる!」

これ、私の事ではありません。これは45歳~60歳までのフランス人の大半が思っている事なんです。更に輪をかけて自分はまだまだ“いけてる“とも。
「今度生まれ変わっても又自分に生まれ変わりたい」とまで思っているかはわかりませんが、なんせ今時の50代フランス人は思いっきりポジティブ。40代前後の人達を指す「around forty=アラフォー」にも負けてません。
今回はそんな前向きと言うか自己満足感が強い50代「around fifty=アラヒィフ」のお話をしたいと思います。

日本のアラヒィフも最近ではまだまだいけていますが、フランスのアラヒィフはすごい!

国際ジャーナリストであり、日本に20年住んでいらっしゃるドラ・トーザンさん曰く日本の女性は「若い」「きれい」と言われたがるけれど、フランス女性は「知的」と言われる事に喜びを持ち、年齢を重ねれば重ねるほど経験も増え、それが自信につながり自由でいる。
周りからどう見られているかより、自分らしくいられることが大切。若い頃はどうしても今のトレンドを探りながら自分を表現していきますが、年齢を重ねると“トレンド”より“自分らしさ”に重きを置く事で自信にあふれた女性でいられるのだそう。
これはファッションにも表れており、“自分らしいもの”を選ぶ事で、きっちり自己主張が出来る。たまにこの自己主張が過ぎて厄介な時もありますが(笑)

なんにせよフランス女性の特にアラヒィフの女性は情熱的なんだとか。
そんな状況下で今フランスではQuincades=カンカドなる言葉が流行しています。
社会学者のセルジュ・ゲランがかれこれ3年ほど前から使い始めた「50代」を意味しているquinquagenaire(カンカジュナール)と「思春期」を意味しているadolescence(アドレッサンス)を合わせた言葉。

外見的にも内面的にも大変若く、30代のようなアグレッシブな50代の男女の事を指します。ではどんな風に50代が熱いのでしょう?
彼らは1960年代フランスでのベビーブーム時代に生まれ育ちました。日本で言うバブル世代という感じでしょうか。
彼らの両親も一般的には貧しさ知らず。つまりカンカド達はある程度の自由の中で育ち、食べ物にも恵まれ、大変健康でもある。

そう、今の50代は熱い!

これからが彼らの“思春期”なのです。
“思春期”とはちょっと遅すぎないか・・・とは私個人の意見ですが、いやはやどうしてカンカド達は自分を本気で若い・まだまだ行けると思い込んでおり、精神年齢も若く、20~30代の恋人や友人を当たり前のように持っている。もちろん、SNSにも積極的で自分磨きに余念がない。

そんな彼らを見て本物の若者(笑)はどう思っているのでしょう?

「若作りしちゃってちょっと痛い」という声が聞こえてきそう・・・と思ったらとんでもない、彼らは彼らで“カンカド”を認め「極端な若作りでなければ別にいいんじゃない。辛気臭いよりはいい」だとか。

流石は個人主義の国フランスです。

こんな意見が出るのも、親と子供の関係が上下関係から、まるで友達のような関係になってきているがために、ティーンエイジャー達もカンカド達を自分達の友人のように思えるのかもしれません。

又”カンカド“は精神的にも強い。

アンケートによると45歳~60歳位の大半は「人生うまくいっている」と解答。そのうちの約90%の人が「自分は実際の年齢よりも若く見える。(13歳位は若く見える)」とプラス思考が半端ないのです。
確かにフランスでは年齢を重ねたマダム・ムッシューの方が、ただ若いだけのティーンエージャーよりも魅力的とは言われてはいます。彼ら、特に女性の“カンカド”達は「今この50代からこそが人生のスタートラインの時」と考えており、日常を抜け出して旅に出る事も出来るし、タトゥーだってへっちゃら・・・と5人に1人は考えているんだとか。

フランス生粋のパリっ子女優”ソフィ・マルソー。
“1966年生まれの彼女は正に今カンカド真っ只中。御年52歳のソフィは今でも年齢を重ねた分美しさにも磨きがかかっています。
そこで彼女の経歴を見てみました。
13歳の時に女優としてデビューした彼女は映画「ラ・ブーム」で一躍スターに飛び出します。まだあどけなさが残っており、今とは違いふっくらした印象です。
彼女のすごいところは、フランスでこれほどの人気なのだから・・・と甘んじないところです。これからの女優は異国の地でも乗り出して行かないとダメだと思ったのでしょうか。活躍の場をフランスだけに留めず、ハリウッドに進出します。
30歳の時に映画監督としてもデビュー。
その年収たるや約16億円とも言われています。

ではソフィ・マルソーの魅力ってなんでしょう?
あのエキゾチックであり、はかなげな雰囲気もある美貌はもちろんですが、ご本人曰く歳を重ねる事になんの恐怖も感じないそう。
「誰もが歳はとるもの。その年代ごとの美しさにこだわりたい」とは彼女の名言です。
又中国メディアが携帯電話での撮影を要求しても、止める周囲を抑えてOKを出すという大らかさもある。
母として女性として愛に囲まれている事が自分の助けになっており、幸福につながっているとの発言もなるほどと納得させられました。

う~んステキですね~♡これぞカンカドのトップランナーではないでしょうか。

日本ではどうでしょう?もちろん、我が国でもステキなカンカドは沢山います。
あの大女優、浅野ゆう子さん。
今年になって、ご自身に合った素晴らしい伴侶を見つけられました。
57歳にして初婚!なんとも勇気づけられますね。
それもやはり彼女がいつもステキに輝いていらしたから、そんな浅野さんに引き寄せられたステキな方が表れたのだなぁと思います。
さてそんな“カンカド”ですが、本物の若者との違いはなんでしょう?

この答は簡単ですね。それはズバリ!お金!

ある程度の年齢になるとそれなりにお金もあります。そしてそのお金も単にパートナーにプレゼントしたりするだけではなく、自分を喜ばせることに使う。例えば自分の身体を綺麗に維持するためのエステや健康美容器具などの購入だったり、ふらっと旅行に行く時の旅行費用もろもろだったり、自分を磨くためのセミナー参加費用や講習会費用だったり。はたまた家を居心地良くするためのインテリア費用。大好きな人達と共にする食事代、自分を綺麗に見せるための衣装代・・・など挙げたらきりがありません。
こんなに使ったらお金はあるの?と思いますが、もし結婚していたとしても子供のためにあれこれ使う事もあまりないでしょう。日本人のように成人した子供の世話を焼く事があまりないのです。
「あなたはあなたで好きにして。私は私で好きにするから」みたいな感じでしょうか。
つまりは自分のためだけにお金が使える。
そんなカンカド達が一番望むのは沢山のお金でも溢れるほどの物質・愛情でもなく”自由“なのかもしれません。

カンカド大好き!

かのナイチンゲールが言っています。
「私たちは自分の思ったような人間になる」
フランスだけに終わらせず、カンカド達が溢れるようなニッポンであればこの国の未来は間違いなく明るい!

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