amazarashi「スターライト」/物語音楽としてのあまざらし

amazarashiのライブを観てきました。

TOKYO DOME CITY HALLでのワンマン「千分の一夜物語 スターライト」。そこで披露されたのがこの曲。というか、ライブ自体が、最後に披露したこの曲のために2時間かけて物語を作っていくような、とてもスペシャルなライブだった。

インディーズ時代の「あまざらし」名義で行われたライブ。基本的には、弦楽四重奏を導入した新しいアコースティックなアレンジでの過去曲の演奏と、秋田ひろむによる小説の朗読が交互に訪れる展開。朗読した小説の中身は「スターライト」の特設サイトで公開されている(→http://www.amazarashi.com/starlight/)。

これまでのamazarashiのライブは、前面のスクリーンに投射された映像と演奏の融合がキモだったんだけど(以前にレポ書きました→http://www.cinra.net/review/20120209_music_amazarashi.php)、今回はそれはなし。たぶん、これまでの演出方法をすべて捨てて、新しい物語の描き方にトライしたんだと思う。

amazarashiのライブは初回のWWWから観てるけど、何というか、今回が一つのターミングポイントになった気がする。去年の渋谷公会堂のライブレポートでも書いたけど(http://music.emtg.jp/liveReport/20130602279966715)、amazarashiの音楽のキーになっていたのは「煩悶する自意識」で、その一方、ライブを繰り返すことで、もともと閉ざされた場所から生まれたその音楽性は、どんどんコミュニケーティブなものになっていった。

「ジョバンニ」とか「カンパネルラ」という単語が出てくるように、新曲は「銀河鉄道の夜」をモチーフにした曲。10月にリリースされるアルバムのなかの一曲。特設サイトの小説にはループ構造も見て取れる。たぶん、新作は今までのamazarashiというプロジェクトを改めて「物語音楽の作家」としてスタートさせる、そういう立ち位置を定めたものになる予感がする。(88/100)

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