見出し画像

ご飯が進むお話その1


 「メシウマ」なんて言葉はもう今日日聞かなくなった。「メシウマ」は他人の不幸に対して「ざまあ見ろ」と、いい気分になる様子を示すインターネットスラングであり最近というか僕の周りでは聞かなくなったが、当然そんな状況はいくらでもある。そんな僕のメシウマな話でみなさんに楽しんでもらいたい、ということである。
 まあ、なんというか、誤魔化さずにいうと恋愛のお話だ。僕も人ではあるので恋はしたことがある。今のところ一回しかないが。


 話は15年前、小学一年生まで遡る。僕は同じ一年生の中に、Iさんという好きな子がいた。勉強ができて、器量も良く、目鼻立ちも整っている、いわば完璧な女の子だと一年生ながら思っていた。その子とはそこそこ仲良く(とこっちは思ってた、向こうからは知らぬ)していた。そしてそのまま6年間ずっとクラスが一緒だったのだ。僕としては好きな女の子と一緒のクラスで嬉しいな♪って感じで内心小躍りしてた。

 しかし事件は、6年の12月に起こる。中学受験のために塾に通っていたが、その帰り道に同じ塾に通う小学校の友達にこんなことを言われたのだ。
「お前誰が好きなん?」
そんなもの、その6年間一緒にいたIさんに決まってる。
「えぇ誰やろなぁ」
ここまではいい。ここまではいいのだ。しかし受験で頭がおかしくなっていたであろう僕はこんなことを言い出す。
「ぼくの好きな人当てたら明日告ったるわ!」
全くもってバカである。救いようのない、ただ調子に乗ったクソガキである。もちろんその友達も乗り気である。そこで彼が放った言葉は、
「○○(僕のこと)のことを好きな奴は知ってるねんけど、、、Sさん?」
ここで僕は人生で最大のやらかしをする。


「そう、その子やねん、なんでわかったん?」

もう今思い出してもなんでそんなこと言ったのかわからない。自分のことを好きだと言ってくれた(しかも伝聞)ことが嬉しくなって調子乗ったんだろう。

結局Sさんにはちゃんと次の日告白して付き合うことにはなったのだが、そのあと一度も二人で遊んだこともないし、なんなら卒業以降会ってすらいない。そもそも好きでもない子に対して告白することはほんまにやってる。あまりにも失礼なことをした(本当にごめんなさい)。


ここまでならただ僕が調子乗りのやばい奴なだけであるが、実はこの話には続きがある。
 高3の夏だったか、大学の模試を受けるためにテスト会場に行った(県外の学校に通っていたので友達は誰もいなかった)。そこでふと前の席を見てみると、なんか見たことのある顔がある。そう、Iさんとここで奇跡の再会を果たすのだ。
 当時僕は好意をバリバリ引きずっていた。未練たらたら男である。それでもその子は、話しかけたら「久しぶり!どうしてたん?」と話してくれたし、また仲良く慣れたような気がした。受験前にはお互い頑張ろうね、って言ってたのも懐かしい思い出だ。

落ちた。
僕は落ちた。それはもう当然で、Iさんに再会したのがきっかけで勉強しようと思って高三の夏から勉強を始めた。それまで勉強のべもしてこなかった僕だ。そんなもの落ちるはずである。

その子はちゃんと現役で通った。おめでとう、って言えるほど僕は人間ができていなかった。

その年の3月、小学校の同級生で集まろう、という話があり久々に会える友達もいるから行った。もちろんIさんに会えるかもしれないという下心付きで。
 会えた。会えたが、もう彼女は遠い存在である。自分の目指した大学に合格し、これから華やかな大学生活を送るであろう。それに対して僕はここから1年間予備校という名の牢獄に閉じ込められる。
 焦った。もう2度と会えないんじゃないか、もう喋ることもできなくなるんじゃないか。
 伝えた。振られた。
「あなたのことは友達やけど異性としてはみたことないしこれからもみることはない」
 そりゃそうだ。誰が今から浪人するやつと付き合おうとするんだ。久しぶりに会っていきなり告白されたらそれは誰でも拒否する。たとえ好きであっても拒否されるだろう。

 そんなこんなで3月末に盛大に振られ、そこから楽しい楽しい浪人生活が始まった。

 次の4月、僕は大学入学した。もし、現役で受かってれば、もし、あの時告白するんじゃなくて違う形で伝えれてれば。

もし、あの時友達に調子乗っていなかったら。

 今はもう、その子はいい子やけど諦めがはっきりとついたし、新しい恋愛もそろそろはじめなければと思っている今日この頃である。まあそこでもうまく入ってないのだが。その話はいずれ。

そんなこんなでこれが僕の最大のメシウマな話である。みんなのご飯がこれで進んでくれたら幸いである。

では、またよしなに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?