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灰野敬二生誕記念公演 2017.5.3 @高円寺ShowBoat


毎年恒例ShowBoatの灰野さん65歳の生誕記念公演、個人的には3年目。人はそこそこ満員くらい。2年前は亀川さん最後の不失者で、去年はソロ(ひろみさんのブログ貼っとく)だった。ちなみに、2年前のこの日の時点では夏にもwwwで亀川不失者の予定があったと記憶しているのだけれど、結局亀川不失者はあの日の生誕記念公演が最後になってしまった。ちなみに、2年前のこの日以来灰野さんのワンマンと不失者は最前をキープし続けている。スピーカード真ん前と最前がとにかく最高なのでおススメ。

 今年はソロ名義(g, vo, electronics, rhythm machine,

experimental mixture etc.)+シークレット表記。過去2年が前売り\3,500だったのに対し\4,320、当日整列中に開演時間が30分延びて18時からとアナウンスあり。シークレットはKiyasuさんと森重さんの参加だけだったのだけど、4320ていう中途半端な数字には何か意味があるのだろうか?というか会場前に外で並んでる横をシークレットの二人がハコから出てきて通り過ぎて行ったのなんだったんだ 笑

この方のブログにご教授頂きながら、覚書程度にザックリと。

[第1部]

 別に2部制とアナウンスがあった訳ではないけれど、便宜上第一部と呼称する。初めは詩の朗読から。去年の「神はいる 神はいる しかし何もしない そしてまったく個性がない」(去年のひろみさんのブログより引用)に連なるような詩。「神は 神自身は 何もしてはならぬと 証明しているなら 俺は 神は いなくてもいいと 証明してやる」というような背信のゴスペルとでもいうような言葉をルーパー?で重ねて重ねて重ねて重ねて「うた」にしていく荘厳さ(今回のひろみさんのブログによるとグレゴリオ聖歌らしい)。終わってみれば、この神はいなくていい証明のLIVEだったと言えるのかもしれないけれど、そのときはスピーカーから発せられるサウンドの巨大な教会のような奥行のある立体感を前に、ああ、今日はヤバそうって期待と喜びに身震いしていた。

 けれど、そこからは正直ガッカリした。3機使用のCDJが始まった。間にちょこちょこエレクトロニクスMIXさせたりジャズピアノソロの曲に合わせてフルート吹いたりもしたけれど、第一部は基本このスタイルで3時間弱。見様によってはパーティっぽいなという気がしないでもない。一昨年の終演後、クッタクタに疲弊仕切った灰野さんがへたり込みながら談笑していたのを思えば、何もご自分の誕生日にそんな消耗を強いるのも酷な話ではある。ただノリノリで辺境音楽からヒップホップまでかけてはいるものの、フロアはパイプ椅子に座ってるかその後ろで窮屈そうな立見に対してそれはけっこうシュールな絵ヅラだなと。中盤くらいから「ダラブッカ」(というらしい)と共にKiyasuさんと森重さんが登場、DJとバンドの融合を意図していたのかどうかは知りえないけれど、まぁそんな感じ。

※ひろみさんのブログによるとこういうことらしい↓

「Experimental Mixtureとバンド(不失者)のコラボレーションという初の試みこそが本公演の「シークレット」であることが明らかになった。」

 うすうす感じていたことだけれど、私はたぶん一部の例外を除いて、DJが好きではない。それを確信した。広く音楽を好きな人、いろいろな音楽を知っている人、そういう人ならきっとおもしろいんだと思う。向上心というか好奇心みたいなものや知識欲もあるにはあるが、自分は根本的に好きになった音楽や人が好きで、感覚的直観的に好きに「なってから」興味をもつようで、それ以前の段階では物事にあまり興味がないのだろう。よくわからないけど。で、乱暴な言い方をするとその人の音楽が好きでLIVEを観にきているのに、他人の音楽をコラージュしたようなものを聴かされたらそりゃ興ざめもする。大雑把にいえばそんな感じ。最後にチョロット「サズ」(というらしい)を弾いて終了。正直ひどく退屈な3時間弱、ここまでは今迄観てきた灰野さんのLIVEの中でワーストだと思った。でも、そうじゃなかった…そうだけど、そうじゃなかった!それ「だけ」じゃなかった!!続きがあっっった!!!

[第2部]

 ステージチェンジして灰野さんSGオンリーの不失者!危うく過去ワーストLIVEになるところだった。起死回生の不・失・者、大爆発!!!見方はひとそれぞれあると思うんだけど「ああ、そういうことか…」ってなんか納得した。DJとバンドの融合、それってなぞってる音楽なんじゃないか?(たぶん違う)で、その退屈っぷりを3時間弱もかけて実際に味わせてくれちゃってからの灰野さんの「Go!」で始まる不、失、者!そういうことかと、そう深読みさせるだけの説得力ある炸裂っぷり。だってやった曲「暗号」、「おまえ」でしょ?そりゃ深読みもしちゃうよ。2部は2部で灰野さんの指揮のもとバンドとDJの融合っていうエクスぺリメンタルなミクスチャーていう試みで、それもまた灰野さんの音楽なんだろうけど、それでもやっぱり灰野さんは灰野さんでなきゃね。コレだよコレーーーーーー!!!!!!感スーーーゴかった 笑 痛快!

 そしておよそ4時間10分に渡る旅路の果てに待つ音色のもつカタルシス…アレは「ここ」だったのか?うたがなかったからよくわからないけど、すごかった。やさしかった。やさしさそのものだった。音が、言葉になるまえの、うた になるまえのナニカが、SGから耳を通って心の内に流れ込んできて、瞳から感情が溢れてこぼれ落ちた… 灰野さんの、不失者のLIVEは、ひとりの人間の旅路、生と死と、命そのものだ。

今夜の旅路は、不失者の道のりは、Kiyasuさんと森重さんのお供がなければ道半ばにして倒れてしまっていたかもしれない。ふたりに見送られて、灰野さんはまた生まれ、そして再び旅立っていったように感じた。人を成長させるものは何か?って考えると、どうも自分にとっては人に対する「憧れ」のような気がする。何をカッコいいと思うかとか、こうなりたい!みたいな。灰野さんのLIVEを観ると無性にやさしい人になりたくなる。それは真似かもしれないけど、真似とはなんか違う。憧れも灰野さんなら「そうじゃない」っていうのかもしれないけれど、まぁいいじゃない。とにかく、強くなりたい。

とりとめもない話。耳鳴りも特になし。

おしまい

※この方もいつも勝手にだけどいろいろご教授して頂いてる↓

毎度毎度い~いフライヤー↓


[物販]

特別な日に並ぶデッドストックや希少な限定品、今回のはこんな感じ。フランス刊は音源は気になったけどフランス語読めないので。終わってみればだけど、ここに並んでた『The Greatest Hits of The MUSIC(experimental mixture)』と映画『ドキュメント灰野敬二』のサントラ盤が今夜のLIVEを象徴していたような気がする。これもまた「暗号」かな?

ちなみに去年のレア物はこんな感じ↓


あとはまあ通常の。Kiyasuさんのがいくつかレア音源だった。


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