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【邦画】容疑者Xの献身(2008)

監督:西谷弘
出演:福山雅治、柴咲コウ、堤真一、松雪泰子、北村一輝、渡辺いっけい、真矢みき、ダンカンなど
上映時間:2時間8分

ドラマ「ガリレオ」の劇場版で、東野圭吾の小説の実写版でもある「容疑者Xの献身」鑑賞しました。ちなみに「ガリレオ」は観たことがないのですが、それでも十分に楽しめる内容でした。

都内の弁当屋で働く花岡靖子(松雪泰子)は、一人娘の美里(金沢美穂)と小さなアパートで仲良く暮らしていた。ある日自宅に元夫の富樫慎二(長塚圭史)が現れる。無職の彼は暴力をふるい金を要求する。しびれを切らした美里が富樫に殴りかかったことをキッカケに喧嘩になり、靖子と美里はつい富樫を絞殺してしまう。そこに駆けつけたのが隣に住む天才数学者・石神(堤真一)。靖子に一目置いていた彼は彼女たちのアリバイを消すことに協力する。

しばらくすると大森の河川敷である男の遺体が発見される。顔は鈍器で強く殴られ誰か判別できないようになっていて、手足も焼かれていて指紋が取れない。しかし富樫の部屋に落ちていた髪の毛と照合した結果、遺体は富樫のものであるとわかった。内海薫(柴咲コウ)ら警察は美里が犯人であると見込み捜査をするが、石神の完璧なアリバイ消しによって決定的な証拠をつかめない。

困り果てた草薙刑事(北村一輝)が天才物理学者の湯川に協力を依頼すると、実は湯川と石神は大学時代の友人であったことが発覚する。湯川ははじめは乗り気ではなかったが、石神が犯行に関わっていることに気づき、独自で捜査を進めていく。

さすが東野圭吾原作といった超面白いミステリー映画なのですが、この映画の感想を一言でいうなれば「堤真一凄すぎ」です。邦画でここまでの演技力を目にしたのは初めてです!超優秀な脚本を凌駕するほどの最高の演技でした。正直震えました。

彼が演じた石神というキャラクターは圧倒的な頭脳を持つのと同時に、社会に適合できず苦悩する暗くて深くて複雑な役です。そのダークで複雑な役を完璧に演じ、さらにクライマックスでは感情を爆発させるという側面も見せるのです。あのシーンはマジで痺れます。視聴者としても、役者としても鳥肌が立ちました。

そして堤真一と同様に素晴らしい演技をしていたのが松雪泰子!美しくも影のある魅力的な母親を、最高の演技で魅せています。いやマジで美しすぎる。この裏のヒーロー&ヒロインが作品を支えています。この映画は「ガリレオ」の劇場版でありながら、主人公・湯川の出番が少ないのですが、そういう意味でもこの二人の存在が非常に大きかったです。湯川不在時でも一切物足りなさを感じることはありませんでした。

脚本は前述のとおりよく練られています。ただ原理はわかりやすく説明されていて、しっかり視聴者をリードしてくれます。そして石神や湯川の推理についていくことで、まるで自分が賢くなったかのように錯覚させられ、とても楽しくストーリーにのめり込めます。

しかしただのミステリー映画ではありません。物語のはじめに「科学で証明できないものはない」という湯川に薫が「ありますよ…愛とか」というのですが、後々思い返すとこれが大きなメッセージだったのです。天才数学者である石神でも、愛する気持ちをコントロールすることはできなかったのです。ラストのあのシーンも大きく総括すると「愛」の爆発なのです。

そして僕はエンドロールで泣かされました。何でかというとこの映画の主題歌である「最愛」です。この歌詞がまさに石神の気持ちを代弁しているのです。

この動画を見返すだけでも泣けます。というか今も泣いています(笑)。
「最愛」は福山雅治の曲なのですが、この作中ではなんと柴咲コウが歌っています!これは福山さんが歌うとどうしても湯川のイメージがよぎり、石神への感情移入を遮ってしまうので、わざわざ女声である柴咲さんに歌わせたのですね。

「容疑者Xの献身」はドラマ「ガリレオ」の劇場版でありながら、助演である堤真一と松雪泰子が大活躍する作品。特に堤真一演じる石神は邦画史上でも最高のキャラクター。そして極上の推理ドラマでありながら、悲しくて切ない恋の物語でもあります。


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