グラフィックデザインを志すお嬢さんを持つ親御さんへ

Q 娘が「グラフィックデザイナーになりたい」と言っています。オススメの本やアドバイスなど、あれば教えてください。

A 最近、クライアントさんから同じような質問を受けることが増えまして、ちょっとそのことについてまとめてお答えできる場を持ちたいと思い、こちらに記すことにしました。

デザインといえばweb、が主流になってきた昨今、グラフィックデザイナーを志したい女の子がいる、と聞けるだけでも正直とても嬉しいし、応援したくなります。しかしなぜだかわかりませんが、アドバイスやオススメの本を即答する気持ちにはなれなかったのです。うーーん、、、お嬢さんにはどんな本がいいだろう?なんて言ったら素敵なアドバイスになるんだろう?有名デザイナーの仕事集やらアイデア思考を鍛える本、わかりやすいデザインの技術書など、どれもいいし、絵本一つ、書一つとってもめちゃくちゃ素敵な資料になるので、どれも必要です!とも言いたいんですが、私が感動した本がお嬢さんにとって良書となるかは、イコールではないなと思い至りました。

41歳、特に有名でもなんでもない私が、グラフィックデザイナーという職に就いたのはもう17年前のことになります。美大を出ず、国立文系の地方大の出で、教師志望から急遽絵の方向へ舵を切り、専門学校に入り直した口なので、両親には「想定外だ」と何度言わせたか。なんとか「グラフィックデザイナー」という肩書き付きの名刺を持てたものの、即戦力には程遠く、数年はお給料をもらいながら修行させてもらってる状態でした。だんだんと独り立ちさせてもらえる案件が増え、会社に貢献できるところまで到達したあたりには、30代が目の前に迫り、結婚、妊娠、出産など、人生の変革期が訪れるわけでして、とは言っても、女性という性の持つ機能や特性ですから、自分も会社も社会も受け止めなければならないと思っています。

まずは女性がデザイナーになるというのは、一日の大半を会社で過ごすことになり、平日のドラマやバラエティ番組を見れなくなることであり、平日会社終わりに買い物に寄ったり習い事したりなどはほとんどできず、そういう変化にまずは慣れていくことなのだとご理解いただけたらと思います。

だからこそ、きついときでも支え合える同僚や敬える上司がいて、クライアントさんや代理店、担当者の高い志や人間力、敬意に応えようと、デザイナーたちも信念を燃やし続けることができます。そういう恵まれた人材に囲まれることも、運と努力が必要かもしれません。

ですので、まずアルバイトでもインターンでも、経験を積みたい憧れの会社を見つけ、そこに入ろうと努力する経験が、デザイナーとしての最初の栄養になるのではないかと思います。
あとはどれだけお嬢さんが行けるところまで行ってみようと思い、行動するか?次第だと思います。

若輩者が長々と語ってしまってすみません。
本から学ぶことはたくさんあるのですが、今振り返ってみて、1番、自分の血となり肉となっているのは、他でもない、人との出逢いと経験だと確信できるから…。ママになってフリーランスになってからも、その時こなしてた仕事の質や肌感覚がものすごい無形財産となりますので!

もしお嬢さんが将来出産をする機会があるならば、その後の人生の一つの選択肢として、子育てしながらデザイナーを続けてる私のような女性たちの存在を知っていて欲しいし、 「そんな人生も楽しそう! 」と思ってもらいたいです。

好きなデザインの仕事を、より社会的意義あるものに育てていけたら。そんな思いも含まれて、つい熱く語ってしまいました。 生意気なことばかり述べてしまいました。 私も親御さんの問いかけのおかげで、自分を見直す貴重な機会となりました。 ありがとうございました。お嬢さんの夢、一緒に応援しています!

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