#43 支え
フォレスト出版~
「涙の数だけ大きくなれる!」〜母の足〜
ある会社の入社試験のお話。
「あなたは、お母さんの肩たたきをしたことがありますか?」この問いに、ほとんどの学生は「はい」と答えるそうです。次の質問に、学生たちは驚きます。「あなたは、お母さんの足を洗ってあげたことはありますか?」これには、ほとんどの学生が「いいえ」と答えるそうです。
「では、3日間差し上げますので、その間に、お母さんの足を洗って報告に来てください。それで入社試験は終わりです。」
学生たちは「そんなことで入社できるのなら」と、ほくそ笑みながら会社をあとにします。ところが、家に帰って実際にやろうとすると、母親に言い出すことが、なかなかできないのです。
ある学生は、2日間、母親の後をついてまわり、母親から「お前、おかしくなったのか?」と聞かれました。
「いや、あのー、お母さんの足を洗いたいんだけど……」
「なんだい?気持ち悪いねぇ」
こうしてその学生は、ようやく母親を縁側に連れて行き、たらいに水をくみ入れました。そして、お母さんの足を洗おうとして、足を持ち上げた瞬間……。
母親の足の裏が、あまりにも荒れ放題に荒れて、ひび割れているのを手のひらに感じて、絶句してしまいます。
その学生は心の中で、「うちはお父さんが早いうちに死んでしまって、お母さんが死に物狂いで働いて、自分と兄貴を養ってくれた。この荒れた足は、自分たちのために働き続けてくれた足だ」と悟り、胸がいっぱいになってしまいました。
そして、「お母さん、長生きしてくれよな」と、ひとこと言うのが精いっぱいだったのです。それまで、息子の「柄にもない親孝行」をひやかしていた母親は、「ありがとう」と言ったまま黙り込んでしまいました。しばらくすると、息子の手に落ちてくるものがありました。それは、母の涙でした。
そして翌日、彼は会社へ報告に行きました。
「社長、私はこんなに素晴らしい教育を受けたのは初めてです。ありがとうございました」
「君は一人で大人になったんじゃない。お父さんやお母さんや、色々な人に支えられて大人になったんだ。そして、これからも、自分ひとりの力で一人前になるのではないんだ。私自身も、お客様やスタッフや、色々な人たちの出会いの中で、一人前の社会人にならせていただいたんだよ」
一人で大人になったんじゃない。
誰だってそんなことわかっている。
・・・わかっているつもりか。
一人で大人になったんじゃない。
両親やたくさんの人に支えられながら
今日まで生きてこれた。
そこに気づけるかどうか。
親への感謝。
私は若くして母を亡くした。
親孝行したくてもできない。
しかし、感謝の想いを持つことはできる。
親への感謝がまずは出発点。
いろんな事情があり、親に感謝できない人もいる。しかし、両親がいなければ、自分という存在自体この世にない。自分という存在は当たり前ではない。
「一人で大人になったんじゃない。」強いメッセージの反面、あなたはひとりじゃないという優しい想いも込められている。
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